嚥下は高次脳機能ではない?? | あじあん Asian ST(言語聴覚士ブログ)

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回復期病院→JICAボランティア→大学院で学び、その後は神経発達症のお子さま等の支援に関わらせてもらい、現在は総合病院に勤務しています。言語領域に関わるトピックや、問題解決に役立つ情報を提供していきます。関心のある方はどうぞお立ち寄り下さい。

こんにちは‼

 

今回は

「嚥下は高次脳機能ではない??」

をテーマにお届けします☺!

 

皆さんはこれについて

どのように考えますか?

 

嚥下の問題は、小児や高齢者問わず

取り上げられますし重要ですよね~

 

こういった問題をもつ人に

関わりがある人にとっては

なおさらです😑

 

それでは

説明させていただくと

 

まず嚥下には

”食べる””飲み込む”機能があります

(そんなことは分かってるという方は

 以下の説明はスキップして下さい😓)

 

みたことがある方もいると思いますが

以下のような流れがあります↓

 

 

 

 

つまり

 1 最初に食べ物をみて認識する

  (食べ物を口に入れる)

 2 食べ物を咬む

  (唾液と混ぜて飲みやすくする)

 3 舌を使って喉の方に送り込む

 4 飲み込む

 5 食道から胃に流れていく

のような流れになる訳ですね

 

今回は嚥下の知識をお伝えする目的

ではありませんが

 

テーマの内容を説明する上で

前提となる知識なので共有させて

もらっているところです😊

 

ところで高次脳機能は

以前投稿した内容でも

お伝えさせてもらったのですが

高次脳機能には”意識”

が伴います

 

その時のブログ内容をみていない方も

おられるかもしれないので

おさらいすると…

 

”意識”

と言っても

ここでは

突然人が倒れて

まだ意識はあるのかないのか

というようなものではなく

 

自分で自分が何をしたのか分かっている

自分が失敗したことなどを分かっている

という意味で説明していきます

 

つまり

「覚醒」とか「意識レベル」と言った話

ではなく

「認知」という意味

意識という言葉を使っていきます

 

神経学的には

前者の覚醒は脳幹、後者の認知は大脳皮質

が担っています

 

結論を言いますと
1,2,3は高次脳機能であり
4,5は高次脳機能とは言えない
となります
 
1については目の前にある食べ物に
自ら注意を向けて認識する訳ですから
意識を含みます
 
2,3も自分が咬んでいる食べ物が
どの程度咬めたのか
意識しながら咬んでいます
 
どんな食べ物が口に入っても
常に3回だけ咬んで飲み込みます
という人はいないはずです
 
食べ物によって
咬み方や咬む回数、送り込み方は
変わってきます
 
これらはすべて意識によって
制御されます
 
つまり
「口に入れた食べ物が大きすぎて
 飲み込めないからよく咬もう」
とか
「魚の骨があるから骨を出してから
 咬んで飲もう」
などのように…
 
そういった理由から
1~3は高次脳機能
と言えます
 
一方で4,5は
意識してコントロールができない
領域になります
 
のどに送り込んだ食べ物は
嚥下という飲み込みの動きが
反射として起こりますが
この反射が起こった後は
もはやコントロールはできません
 
後は食道を通って胃に送り込まれますが
意識して食べ物を食道で止めておく
ようなこともできません
 
ということで
4,5は高次脳機能ではない
ということになります
 
起きてはいても
ぼんやりしていて
目の前の食べ物がどの程度分かっているのか
あやしい状態で食べている方
(特に認知症の高齢者では多いと思います)
はたとえ嚥下(飲み込み)にはあまり
問題がなくても注意が必要になってきます
 
嚥下にあまり問題がない人でも
のどにつまらす事故が起こるのは
こうしたことが大きな理由のひとつ
と言えます
 
つまり
意識が介入する
食べ物の認知、咀嚼、
飲み込むタイミング
において十分機能しない
可能性が高く
注意が必要になってくる
ということになります
 
ここまでで
4を高次脳機能ではない
と説明しました
 
確かに4だけをみれば
反射であり
高次脳機能とは言えません
 
しかし
嚥下機能というのは
(嚥下に限りませんが)
実際には
上記や教科書の説明のように
ひとつひとつの機能を分けて
使っている訳ではありません
 
一連の流れの中に
4の嚥下機能も含まれています
 
説明や理解のために
機能は1~5のように区切られていますが
 
実際は
嚥下反射も
食べ物が送り込まれてこなければ
起こらない訳です
 
私達は
食べ物は意識して動きを
コントロールすることで
送り込んでいくので
 
嚥下反射自体は
実際に反射であり
高次脳機能ではありませんが
 
人間は
ひとつの意識下で
食べることから飲み込むことまで
一連の流れとして行っている
ことから
この一連の流れは
高次脳機能と言って良いのでは
ないか

と考えています

 
今回も

最後までお読みいただき

ありがとうございましたm( _ _ )m  

また次回お会いしましょう(*^▽^*)!