夫婦別姓と江南市議会 | いち江南市民のブログ

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 令和3年、江南市議会6月定例会に提出された「選択的夫婦別姓に関する請願」に対する議員の意見は次のようになった。

 

 

委員長  これより審査を行います。ご意見はありませんか。

 

伊藤委員  この夫婦別姓の選択制については、もう世界では当たり前のことであって、先進国で日本だけが取り残される、そんな感じを受けておりますし、現実的には夫婦の別姓は日本でも国際結婚では基本的なことでございます。国がジェンダー平等社会を目指す観点から、請願書にもございますように、昨今の共働き家庭の増加に伴って、改姓した女性がビジネス現場で不利益や不自由などの混乱を招くことは絶対あってはならないことだと思います。

 この別姓についてのメリットとしては、よく言われていることは、夫婦が同じ姓だと一体感が生まれて、別々の姓だと一体感が生まれないようなことを言われております。つまり、別姓だと夫婦や家族観の絆や一体感が希薄になると言われますが、そう思えば別姓にせずに同性を選択すればいいことだと思いますし、また一方、子供の姓を夫婦のどちらかの姓にするのかの問題も心配されてございますが、結婚前によく話し合って、これも解決できると思います。また、子供が生まれてから、学校で親と姓が違っていれば、子供がいじめられるとかわいそうだ、とこのようなことを言われておりますけれども、これもそれを気にするようだったら同姓を選択すればいいと思います。

 また、請願書にもありますように、江南市は現在、男女平等でいかなる差別も受けることなく、男女が互いの人権を尊重しあうという基本理念を掲げた県内で唯一の男女共同参画都市を宣言している市でございます。

 以上の観点から申しますと、私は夫婦の姓の問題については、結婚する前に当事者間でメリットやデメリットについてよく話し合っていただいて、同姓にするのか別姓にするのかを決めることが出来る選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書に対する請願書の採択には賛成の立場でございます。以上です。

 

牧野委員  私は反対の立場で意見を申し上げます。

 平成29年に内閣府が調査をいたしました。夫婦別姓、日本人に調査結果は63%が反対であるというデータが出ております。今の憲法には規定されておりませんけれども、家族とか家庭の大切さというのが子供の育つ一番基本の基本ですね、学校教育以前として。

 この夫婦別姓を認めていくということは、親にとっては個人の自由でいいかもしれませんけれども、2人の間に生まれた子供にとっては、ファミリーネームをどうするか、なくなっていくという可能性が非常に強いと思います。子供にとって、いろんな影響が懸念されておりますので、国民世論の63%が反対であるということを踏まえ、私個人も家庭の大切さ、夫婦、これは男女共同参画と同じことなんですね。支え合うということですから、一つのルールの中で支え合っていくということが、個人をばらばらにして家庭を分解していくような法律を日本としては作るべきではない、と。日本の歴史を考えてみて、世界の趨勢の中では少数ではありますけれども、私は日本の伝統、家庭、そういったものを大切にして、男女共同参画社会を作り上げていく日本のモデルが大切だと。自分のことしか考えない、子供のことを考えないような制度に対しては反対です。以上です。

 

堀委員  あそこに江南市男女共同参画宣言都市という宣言文が額に入っておりますけれども、男女共同参画と夫婦別姓とは、あまり関係ないと思います。国の方もこの件に関しましては意見が相当分かれているようであります。報道等によりますとね。そういうことを鑑みまして、もっともっとよくこれは勉強させていただきたいと思いますので、私個人としては、これは賛成・反対はともかく、もうちょっと勉強したいということで、今回は保留という形でさせていただきたい。

 

宮地委員  私的には、賛成とも反対ともちょっと言えない立場、考えております。というのは、今、社会情勢は確かに男女で姓を別々に名乗るということも、だんだん社会情勢は強くなってきてはいるんですけど、やはりコロナ禍で男性と女性が結婚した場合、どちらの姓を選ぶとか、それはいいですよ。子供の場合、姓を選択できないもんで、ここのところの法律がまだきちんとされていないということが、結局子供の場合、親はどちらかの姓というふうに決めるんですけれども、その決め方もきちんとされていないし、途中で成人になったときに姓が正確に変更できるかと言う法律も今多分出来ていないと思います。だから、やはり難しい面も出てくると思うし、また女性同士の結婚もあり得る。そういう場合にはどうなるのか。男性同士の結婚の場合はどうなるのかと。今ここに出されておる請願書というのは、男性と女性が結婚した場合のことが書かれてはいるんですけども、これをもっと深く考えた場合、女性同士結婚した場合どうなるか、また子供を設けた場合。男性同士もそうですけど、子供を。これはやはりいろいろ困ってくる面があるんですけれども、やはり私は、今この日本の社会はどっぷり封建制度の中で私も長男として生まれ・・・。

 どちらにしても、かなり難しい。さっき堀委員も言われたんですけど、しっかりとまだ勉強していくことが必要かと私は思っております。今ここで賛成・反対はなかなか言い切れない部分がありますので、保留ということで。

 

東侯委員  私は、この請願書、反対する理由が1ミリも感じられないと思っております。理由は、伊藤委員も述べられた通り、時代の要請であります。そういう時代でありますので、私は大賛成です。

 

長尾委員  副委員長として最後の話とさせていただきます。が、先ほど堀委員が言われたように、江南市男女共同参画都市宣言と夫婦別姓の選択というのは直接的には関係がないといえば関係ない部分だと私は認識しております。ただ、時代の流れとして、あくまでも別姓の選択ができるというだけであり、必ずしも別姓にしなければいけないということではないということで、江南市もいろんな多様な暮らしが選べる未来都市ということを言われているところもありまして、その中の一つとして結婚した際の姓をどちらにするのかというのも選べるというのは、江南市の未来のあるべき姿として、将来何十年後かの未来としてはある話だろうということを思っております。なので、直近数年間でどうのこうのという話ではなく、本当の将来はどうなのと考えたときには、これはそちらの選択できるという面では当然ある世界なんだろうということで思っておりますので、これを請願としては、結論、賛成の立場で行きたいと思います。以上です。

 

堀委員  ちょっと暫時休憩して。

 

委員長  暫時休憩します。

 

委員長   休憩前に引き続き会議を再開いたします。

 ご意見も尽きたようでございますので、これをもってご意見をいただくのを終結いたします。

 各委員のご意見は継続審査とするという意見と採択及び不採択とする意見に分かれておりますので、まず継続審査とすることに賛成の方の挙手を求めます。

   〔賛成者挙手〕

 念のため、継続審査について反対者の方の挙手をお願いします。

   〔反対者挙手〕

 可否同数となりますので、委員会条例第16条の規定により、委員長において本案に対する可否を採決いたします。

 全会一致を私は思っておりますので、今回については継続審査といたしますので、お願いいたします。

 

 って感じで継続審査になったのだが、きちんと理解している議員がいる一方で、理解するどころか「家庭や夫婦の大切さ、これは支え合うという意味で男女共同参画と同じ」とか、「男女共同参画と夫婦別姓はあまり関係ない」と述べる議員には、おいおいってカンジ。彼らには、9月の次定例会までにちゃんと勉強してほしいと思った。

 すんなり採択されなかった請願だが、こういう形で議員の男女共同参画理解度、ジェンダーに対する認識が明らかになるのはいいことだと思った。