日本語ができれば誰でも芥川賞を受賞できるわけではない。でも翻訳をしようとする人は英語を勉強し始め | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

日本語ができれば誰でも芥川賞を受賞できるわけではない。でも翻訳をしようとする人は英語を勉強し始め

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芥川賞と直木賞の受賞者が発表されましたね。

 

私は、小説はあまり読まず、文学にも疎いので、受賞者の発表の時期になるといつも「ふうん」という感じでテレビを見る程度。

 

賞のこと自体、よくわかっていません。

 

誰が主宰しているのか(まさか、芥川さんや直木さんが発起人だったわけでもないでしょうし)、誰が選考して、誰が選考対象なのか、賞金はいくらなのか、どんなメリットがるのか…

 

そして、1年に2回(上期と下期)発表されていることすら知りませんでした。

 

そういわれれば、確かにしょっちゅう芥川賞が発表されているなぁという感覚も、なくもありませんでした。

 

(流行語大賞よりも多い気はしていました)

 

芥川賞に朝比奈秋さん・松永K三蔵さん 直木賞に一穂ミチさん | NHK | 文芸

 

 

 

それはともかく…

 

日本語が書ければ芥川賞や直木賞を受賞できると考える人は、まずいないと思います。

 

日本語がいくら上手にできても(文法の間違いがなくて、語彙をたくさん知っていたとしても)、芥川賞や直木賞をとることは、普通の人にはできないわけです。

 

受賞に関しては、「努力すればきっとできる!」などと考える人は少数派でしょう。

 

それは、芥川賞や直木賞の受賞レベルと言わずとも、「ベストセラー」の作家になれるとも、簡単には思わないでしょう。

 

どうやったら芥川賞や直木賞を受賞できるような作品を作れるのか、私もまったくわかりませんが…

 

少なくとも、受賞レベルの本を書きたいと考えて、「語学をブラッシュアップしよう!」などとは思わないわけです。

 

言葉のセンスを磨くということはあるかもしれませんが、語学以外のところにもっと力を入れるのだと思うのです。

 

ところが、「翻訳」となると、なんだか世間の考え方が違ってくるのです。

 

「海外の書籍の翻訳をしたい」と言って翻訳者を目指している人たちの話をきくと、「語学のブラッシュアップ」的なことをやろうと意気込む人をとても多く見かけます。

 

突然、英会話を習いだしたり、海外に語学留学をしに行ったり…

 

その人たちも、果たして受賞レベルの文芸翻訳者を目指しているのかどうかはわかりませんが、「書籍の翻訳をしたい」と思う人が、いまさらのように語学のブラッシュアップに走るのは、ちょっと違う気がするのです。

 

まあ、受賞作の翻訳者にまでなりたいとは思っていないとしても、翻訳の仕事をしようと思って、いきなり英会話をブラッシュアップしたり、英文法を中学レベルからやり直したり… そういうことではないと思うのです。

 

まあ、それは極端な例としても…

 

何を言いたいかというと、「売れる翻訳者になりたい」と思って、やるべきことは語学ではないということです。

 

もちろん、言葉で表現をするセンスがないとすれば、そこを磨くところから始まるわけですが、それは文法や語彙ではないわけです(そこが不足している人はそこからのスタートになりますが)。

 

小説に限りませんが、「本を書く」という仕事は、単に言葉を書き連ねるだけではありません。

 

何か1つの本を書くには、その何百倍もの時間をかけた調査や勉強、検証なども必要になってきます。

 

小説だって、すべてが作家の想像の世界なわけでなく、入念な下調べや構想の作業があるわけです。

 

そのために、実際の場所に行ってみたり、作品の中の登場人物にやらせる仕事の体験をしてみたり…

 

いろいろですが、とにかくさまざまな準備や勉強の上に成り立っているのです。

 

つまり、ものを書くということは、文章を書き連ねる作業というよりは、自分の研究や勉強、調査の結果をまとめるという作業なわけです。

 

実際に「書く」という作業は、作品作りの最後の部分でしかないのです。

 

それは翻訳でもまったく一緒です。

 

原文があれば、それを日本語(あるいは別の言語)に書き写すだけだろうと思われがちなのですが、実はその作業は最後の仕上げの部分でしかありません。

 

実際に、原文を読んで、検証して、知らない知識を補い、体験に基づいた調査をして… さまざまな作業の末に出来上がった形が(翻訳の)「書籍」なわけです。

 

芥川賞や直木賞を受賞された方々が、果たしてそういう作業をやっているのかどうかはわかりません。

 

もしかしたら、筆一本をもってスラスラっと想像だけで書きしたためているのかもしれません。

 

ただ、一つ言えることは、(そうだったとしても)それまでの経験や体験、思考や刺激など、あらゆるものが土台となって作品が完成しているということ。

 

書籍を翻訳する場合でも、翻訳者が持っている知識や語彙力だけでなく、その翻訳者がそれまでどんな経験・体験をして生きてきたか、その作品に向きあうときに、どこまで調べものをしたか、考えぬいたかが、すべてあらわれるのが「本」だと思います。

 

そういった意味では、「本の翻訳」という作業をするにあたって必要なことは、完璧な英語力とか、日本語の語彙力とか表現力というものに目を向けるだけではまったく足りないわけで、そのほかにもたくさん勉強すること、知っておくべきこと、体験するべきこと、調べるべきことがあるということになります。

 

翻訳のついて付記すれば、翻訳の場合、必ずしも自分の得意とする内容のものが自分に割り当てられるわけではありません。

 

また、あるときは科学的な内容、あるときには文学的な内容、あるときには法律的な内容と、(断るという選択肢はあるとはいえ)そのときそのときでさまざまなジャンルの仕事が割り当てられるのが翻訳者で、それに対応するために、ときと場合によってはかなりの時間をその「準備」にとられてしまうこともあります。

 

それが翻訳の仕事です。

 

自分の得意分野だけ、自分の好きなことだけでやっていくのは、もしかしたら難しいこともあるでしょう。

 

とにかく、語学以外の部分の膨大な勉強や調査、準備が必要になるのが「翻訳者」という仕事です。

 

それは、作家という仕事も、もしかしたら同じなのかもしれません。

 

ハチハチハチ

 

余談ですが…

 

今回受賞者が発表された「芥川賞」と「直木賞」。

 

「芥川賞」は「芥川龍之介賞」が正式名称だということは、うすうすわかっていましたが…

 

「直木賞」は、フルネームをみなさんご存じですか?

 

私は知りませんでした。

 

なんだと思いますか?

 

少し考えてみてください。

 

宝石紫

 

宝石赤

 

宝石ブルー

 

宝石緑

 

宝石白

 

直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)です。

 

直木三十五さんは、小説家、脚本家、映画監督で、文藝春秋社社長の菊池寛が友人の直木三十五を記念して1935年に芥川龍之介賞とともに創設したのだそうです。

 

いくら文学に関心がないとはいえ、こんなことも知らなかったとは、自分の無知さにちょっとがっかりした今日でした。

 

直木三十五さんは、こんな方のようです。

 

撮影者不詳 - 直木三十五 (1934年) 直木三十五随筆集、中央公論社 巻頭, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=141365714による

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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