WHOLE がんとあらゆる生活習慣病を予防する最先端栄養学
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日頃から常々思っていることがあるのですが・・・
2つの国や文化圏で使われる表現は、必ずしも対応するものではないと思っているのです。
つまり、「そんなフレーズ自体をその場で使うべきではない」ということが良くあります。
分かりやすい例でいうと、ビジネスレターのようなものです。
メールでもいいのですが、たとえば日本のビジネスシーンでは、メールの書き出しでこういう表現を使うことが多いと思います。
お世話になっております、●●株式会社の丸山です。
日頃よりお世話になっております。
こんなビジネスメールを英訳するとき、これをそのまま訳すという人(翻訳者)はさすがにいないと思いますが、これをたとえば簡単な英語のあいさつ文で置き換えたりするという翻訳者は多いかと思います。
翻訳を依頼する人も、そういうのを望んでいるかもしれません。
しかし、たとえばアメリカのビジネスシーンの現場ではどうでしょうか?
(アメリカでなくてもいいのですが)
時と場合にもよりますが、それでもこういう挨拶なしに、単刀直入に用件に入ってしまうことの方が多いと思います。
欧米式のビジネスメールの一例を挙げると・・・
Dear Madam or Sir,
Hope all is well.
Good morning John,
I would like to see if you are available for a business translation due June 11th.
こういった感じ。
日本人にすると、いきなり要件に入って、なんだか不自然だなぁと感じることもあるかもしれませんが、むしろ挨拶が2行も3行もある方が不自然だったりします。
これは、ビジネスシーンだけに限りません。
たとえば、金融機関の富裕層向けの顧客向けの御案内状であっても、メールなどで「この度、新しいサービスが開始されました!」みたいな文で唐突に始まったりします。
それがむしろ自然なのです。
しかし、翻訳の発注を受けると、多くの場合は日本語のビジネスレターそのままを英語にしてほしいとい依頼が多く、私としては「それでいいのかなぁ?」と思ったりするものです。
私の場合、発注者からの直接のご依頼であれば、「ビジネスレターらしく再構成してもいいですか?」と尋ねたうえで、レターそのものの書き方から変えてしまうこともあります。
「そんなの、当然誰でもその方がいいだろう」と思われるかもしれませんが、ところがどっこい、お客様によっては「原文のまま(でも自然に)訳してください」ということも少なくありません。
個人的な印象では、翻訳会社と通すと、特にそういうことが多いです。
やはり、めんどくさいのでしょうかね・・・
ともかく、翻訳の現場はさまざまです。
そういうことも、少し知っておいていただけたら幸いです。
ところで、これにちょっと関連したことですが、先日、やはりあるビジネスレターで、こんな表現が個人的には気になりました。
英文を和訳する仕事の場面です。
You will receive your pass code by mail in the next few days.
ある企業のお客様専用ページへのアクセスキーとして「パスコード」が(登録後に)遅れてきます、ということをお知らせする内容のレターの一部にあった表現です。
具体的にはこの文の「in th next few days」というところ。
このフレーズを見て、みなさんはパスコードをいつ受け取ると期待しますか?
「2~3日」ですか?
それとも、どの国の人が言っている言葉であるかによりますか?
正解はないのですが、これを和訳するときに、ちょっと迷ったのです。
「2~3日以内に」などと訳すのか、「数日以内に」と訳すのか・・・
あるいは、他の表現があるでしょうか?
問題は、原文の意味がどうであり、それを日本語でどう的確に表現するか?
さらに言うと、同じような場面(シーン)で、日本語のビジネスシーンではどんな表現が使われているのか?
ちなみに、DeepLに翻訳させると、こういう訳文が出てきました。
みなさんなら、これをどう処理しますか?
編集しますか?
そのままでOKですか?
まあ、「数日中」で特に問題になることはないと思うので、私としてはこのままでもOKだと思います(in the next few daysの部分に関しては)。
でも、日本のビジネスシーンにおける慣習(一般的な表現)では、ちょっとしっくりこないというか・・・
個人的には「数日中」には、ちょっと「翻訳くささ」があるような感じがしました。
そして、日本のビジネスシーンでよう使われる表現はなんだろう・・・と考えたときに、このフレーズが頭に浮かびました。
「パスコードは、一両日中に郵送されます」
この「一両日中」という言葉、よく使われると思うのです。
そして、いかにもビジネスっぽいという気がします。
もしかしたら、それは私だけかもしれません。
あるいは、「一両日中」なんて、おっさん臭い!と思われるかもしれませんね。
確かに、私がこの言葉を覚えたのは、もう20年以上も前の太古の昔ですから。
もしかしたら、古日本語かもしれません。
でも、「数日中」はなんとなく直訳くささが出ているし、そういう表現は正確性と速効性を求められるビジネスシーンで好まれるだろうか?と考えてしまったのでした。
この辺について、自信を持って翻訳をするには、あるいはビジネスレターを書くには、現場ので感覚を養う必要があると思うのですが、実際に翻訳をする現場で求められる「言語運用能力」とは、実はこういうところなんですね。
現場の感覚をいかにリアルに表現できるか!
UnsplashのAnnie Sprattが撮影した写真
要するに、翻訳の現場には、(学校とは違って)添削や編集をしてくれる人がいないわけで、すぐに現場で(しかも効果的に)使える文章を書ける人が、とても重宝されるわけです。必要とされるわけです。
まあ、翻訳会社によっては、編集や修正をしてくれる専門スタッフがいるところもあるでしょう。
しかし、そういうスタッフの手を借りずとも翻訳できる人が、本当に現場で求められる人材なわけです。
人手を1人分減らせる人が、その分多くのお金(報酬)を手にすることができるわけです。
フリーランス翻訳者が手取りを増やそうと思ったとき、この観点から自分のスキルを伸ばすというのも、大事なポイントだと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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