9月に渡米した船がなぜ「メイフラワー号」という名前だったのか? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

9月に渡米した船がなぜ「メイフラワー号」という名前だったのか?

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April showers bring May flowers.

 

これ、私の好きな言葉で、4月~5月になるといつも頭のどこかに浮かんできます。

 

春が来るのが遅い(私が住んでいる)山形県でも、5月に入ると一斉にあちこちで花が咲き始めます。

 

(4月の)ソメイヨシノが散ると、他の花が一斉に咲き出すといった感じです。

 

こうして花がどんどん咲くのは、一見すると当たり前のようなのですが、でも実際にはそれ以前にしっかりと雨が降ってくれるからなわけですよね。

 

さらに言うと、特に山形県の場合はミネラルや栄養を含んだきれいな雪解け水が流れてきてくれるからであり、また、その水を準備してくれる「冬」の存在があるからでもあります。

 

花を咲かせるための入念な準備が、どんなに厳しい冬であろうが行われるからこその「開花」なわけですよね。

 

花が咲くのはほんの一瞬ですが、それまでの途方もない準備が鍵を握っているわけで、それは人生と同じだなぁと、年々強く思うようになります。

 

その思いから、先日SNSでもこんなことをつぶやいたのでした↓

 

XユーザーのMarusan🇯🇵拙訳『WHOLE』5刷出来(コリン・キャンベル著)📚6ヶ国語翻訳者&通訳さん: 「April showers bring May flowers. 好きな言葉。4月に雨がなければ5月に花は咲かない。「どうせ無理」と諦めて水をやらなかったら、どう足掻いても結果は出ない。「やる」「頑張る」と言うだけでなく、行動が必要。結果が出ている人を羨ましがっても始まらない。その人は水をやった人なのだから。 https://t.co/FPlN6v7PQ5」 / X

 

 

 

April showers bring May flowers.という諺と一緒にいつも頭に浮かぶ言葉が、私にはもう1つあります。

 

それが「Mayflower」という言葉。

 

特に、この名前を冠した船のことが、いつも連想されます。

 

アメリカの歴史を(学校などで)少しかじったことがある人であれば耳にしたことがあるかと思いますが・・・

 

歴史の教科書にも出てくる、ピルグリム・ファーザーズが1620年にイギリスからアメリカに渡ったときの船の名前です。

 

この船のことを思い浮かべるとき、いつも思うのが「なぜあの船は『メイフラワー』という名前だったのだろう・・・」という疑問です。

 

いつも思っているのに思うだけだったので、今回はちょっと調べてみました。

 

この際、長年の疑問を解決しようと思ったのです。

 

ハチハチハチ

 

私の推測ではてっきり、「5月」に渡航したので「メイフラワー」(Mayflower)だと勝手に想像していました。

 

今日はアメリカ史でも重要なあの有名な「メイフラワー号」のお話なのですが、実はあのメイフラワー号がアメリカへ向けてイギリスを出港したのは「9月」でした。

 

航行は66日間だったそうで、紆余曲折を経て11月中旬にアメリカに錨を下ろしました。

 

つまり、「5月」は航行とはまったく関係なかったわけです。

 

ではなぜ「メイフラワー号」という名前だったかというと・・・

 

実は当時のイギリスでは、「メイフラワー」という名前を船につけるのがちょっとした流行りだったようで、たくさんあった「メイフラワー号」のうちの1つだったようです。

 

このメイフラワー号自体は、この渡米のために造船されたわけではなく、当時の流行りでその名前を冠した船の1つだったわけです。

 

もちろん、この渡米に抜擢された理由はあったと思いますが。

 

ともかく、新天地アメリカへの渡航にちなんで意味が込められた名前というわけではなかったのです。

 

では「メイフラワー」という名前には意味がないのかというと・・・

 

「メイフラワー」という花は、「lily of the valley」という花の別名だったようです。


この「lily of the valley」とは、日本で言えば「スズラン」。

 

正確にはヨーロッパで一般的にみられる「ドイツスズラン」のことを指します。

 

(日本でよくみられるスズランは、その変種だそうです)

 

出所:Lily of the valleyはどんな植物? わかりやすく解説 Weblio辞書

 

5月に咲く、象徴的な花だったようで、人気があった花のようです。

 

(今でも人気がありますが)

 

人気の花の名前をいろいろなところで使うのは今にも共通していますよね。

 

そのため、当時の船には「メイフラワー号」という船が多かったようです。

 

その一つが、ピルグリム・ファーザーズと呼ばれた、清教徒たちがジェームズ1世の弾圧を恐れてアメリカに渡ったときに乗った船だったわけです。

 

ちなみに、メイフラワー号は主に貨物船として、ヨーロッパ各国(主にフランス、ノルウェー、ドイツ、スペイン)とイングランドの間で貨物(主にワイン)を運んでいた船だったようです。

 

スズランは、現代の日本でもとても人気のある花ですよね。

 

日本では、室蘭と札幌を結ぶ特急列車の名前にもなっています。

 

MaedaAkihiko - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=129530046による

 

また、敦賀と苫小牧東港を結ぶ新日本海フェリーも、「すずらん」と名付けられています。

 

これこそ、日本版の「メイフラワー号」と言えるかもしれません。

 

Alpsdake - File:Tsuruga Ferry Terminal.jpg 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52831658による

 

そういえば・・・

 

 

先日、鶴岡市の由良地区にある白山島を散策していると・・・

 

「あれ、スズラン!?」と思うような植物が自生しているのを見つけました。

 

 

こんな感じ。

 

でも、こんなところにスズランなんか生えているのかなぁ?

 

誰かが植えたとは思えないし・・・

 

 

近くで見てみると、スズランっぽいですが、どうやら「アマドコロ」という別の植物のようです。

 

ただ、全く関係ないのかというとそうではなく、どちらも「キジカクシ科」という、大きな分類ではおなじ科目に属しているようです。

 

スズランより長い感じですが、まあ生態としては似ていますよね。

 

しかも、ちょっと調べてみたところ、スズランは「ラン科」だと思っていたのですが、「ラン科」に属する植物ではなく、「キジカクシ科」という分類で、その中ではスズランとアマドコロは同じ科ということになっているようです。

 

どうやら、スズランは以前「ユリ科」とされていたのが、「キジカクシ科」に鞍替えとなったようです。

 

そういうこともあるんですね。

 

スズラン - Wikipedia

 

いずれにしても、アマドコロもスズランも、どちらもかわいらしい花だなぁと思います。

 

そして、まさに「メイフラワー」と言うべく、この5月にしっかりと花を咲かせていました。

 

5月はさまざまな花が咲いて、本当に気分が上がりますね。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

話を「メイフラワー」に戻すと・・・

 

イギリスやヨーロッパでは、5月と言えばこの「スズラン」(lily of the valley)だったようで、アメリカへ渡った移民たちは、この「lily of the valley」の自生していな北米で、それはたいそうこの花のことを懐かしんでしたようです。

 

そして、とうとう「アメリカイワナシ」の花を「Mayflower」と呼んでしまっていたそうです。

 

By Justin Russell - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1337522

 

「スズラン」とは似ても似つかない花ですが、それだけアメリカへ移民した人たちは、故郷のヨーロッパに対するホームシックが強かったのかもしれませんね。

 

ホームシックと言えば、私も最初は大学に行くために東京へ行ったとき、そして、アメリカへ行ったとき、それから5年間アメリカに住んでから東京に帰ってきたとき、ホームシックになったのを今でもよく思い出します。

 

アメリカに渡った人たちが「メイフラワー」に対して抱く思い、なんとなく分かる気がします。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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