たどたどしい日本語ナレーションの広告を発見!違和感だらけのネット広告がまん延するのはなぜか?
AIの普及により翻訳業界も自動化が進み、最近は「外国語からのおそらく自動翻訳だろうな」と思われる広告もかなりよく見られるようになってきました。
特に、YouTubeなどの動画サイトやオンラインゲームなどの広告で、そういうのが目立ちます。
中国系の翻訳会社を通じて処理されたんだろうなと思う広告が目立つ気がします。
というのも、和訳されているのですが、中国語フォントが使用されているため、日本語の漢字とはちょっと違う文字になっていて違和感があるやつです。
この文字の違和感については、以前このブログでも何度か話していますが・・・
中国の人は文字の違いをあまり気にしないそうなのですが、日本人としては、ちょっと気になりますよね。
よろしければ以前書いたこちらの記事もお読みください↓
あの有名ユーチューバーHさんも指摘していた!「翻訳の書体の違和感」を何とかしたい
こういう、書体が違う広告が最近ほんとうに目立つようになったと思います(日本語の広告なのに、書体が中国語フォントになっているやつ)
おそらく、日本の翻訳会社に頼んでいれば、こういうことは起きないと思うのですが。
これは、中国の翻訳会社に限らずだと思いますが、私が仕事をいただいている欧州系の翻訳会社も、担当者が中国系の人が多く、その人たちからチェック用に渡される和訳の原稿の書体が、中国語文字になっていることがよくあります。
私はこれを日本語の書体に直して戻すのですが、果たして、クライアント(発注者)にわたるときにはどうなっているのか、正直分かりません。
日本語のことがよく分かっている人が担当しないと、こういうところまではなかなか行き届かないのかもしれません。
ところで、つい最近ですが、さらに違和感のある広告に遭遇しました。
これは、無料オンラインゲームに挿入されている広告なのですが、なんとナレーションの日本語が・・・
これも自動化(AI化)の流れなのでしょうか?
いや、AIならばもっと日本語が上手にできると思うので、これはあえて日本語があまり上手ではない人をナレーターに起用したということなのでしょうか?
こういうナレーションの方が、ゲームが売れるのでしょうかね。
意図があってこういうナレーションにしているのだとは思いますが、個人的にはこれでゲームが売れるとは思えないのです。
まあ、私はこういったタイプのゲームにまったく関心がないからそう思うのかもしれません。
これで欲しくなる人、いらっしゃいますか?
ちなみに、日本語がちゃんと読めていないところ(噛んでいるところ)もありました。
だから、AIではなく、生身の人間ナレーターさんが吹き込んでいるようではあります。
なんでAIにしなかったのでしょうかね?
「とりあえず、日本語があればいいや」といった感じだったのでしょうか・・・
話はちょっと脱線してしまいますが、英訳の仕事をしていると、実はそういう感じで発注してくる企業や官公庁も少なからずあります。
つまり、「とりあえずホームページの英語版を作っておこう」とか「パンフレットを多言語にやくしておこう」とか。
それ自体は問題のないことなのですが、よく考えて、意図して作成しないと、お金の無駄になってしまうことも多いので注意が必要です。
何も考えずに、単に日本語から英語に訳すだけでは、お金の無駄になってしまうこともあるのです。
どういうことかというと・・・
ターゲットが海外の人たちなのに、その人たちにまったく刺さらないようなことが書いてある内容のまま訳してしまうとか。
日本人でなければ分からないような内容を、そのまま直接訳してしまったりとか。
要するに、ターゲットとなる人たちにとって魅力ある内容や構成で書かないと、せっかく翻訳してもあまり役に立たないということがあるのです。
そして、日本の英訳ページを見ていると、そういうケースが本当に多いと感じます。
それは、ちょっとお金の無駄だと思うのです。
また、折角英訳(や他の言語に翻訳)しても、実際にその会社に問い合わせが来ても、それに対応する準備ができていない(英語ができるスタッフがいないとか、商品が英訳されていないとか)というケースも多くあります。
ですから、折角の英訳が活きない(死んでいる)のです。
英訳や多言語展開をするときは、そこまで総合的意に考えてやらないと、本当にお金がもったいないなぁと思います。
「とりあえず英訳があれば売上が増えるだろう」とか「みんなやっているから」では、折角の投資が無駄になってしまいます。
まあ、翻訳者としては、無駄だろうがなんだろうが、仕事が増えれば嬉しいですが。
でも、実際の現場では、そういうもどかしい気持ちを抱えながらの仕事になってしまい、必ずしも楽しいとは限りません。
ともかく、これから翻訳を発注しようと考えている方は、その翻訳がちゃんと「活きる」ように、プランニングからしっかりとやられることをお薦めします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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