ちょっとトリッキーな国名「ラトビア」の訳語 | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

ちょっとトリッキーな国名「ラトビア」の訳語

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翻訳者・通訳者は、固有名詞には神経質になりがちです。

 

特に人名や地名は間違えてしまうと失礼に当たってしまうことも多く、特に当事者が気分を害してしまうこともあるので、私は特に注意を払っています。

 

漢字やスペル、濁点の有無などを間違えてしまうことも多いです。

 

他人にしてみれば、「些細な違い」かもしれませんが、当事者にとってはとても大きな問題です。

 

コミュニケーションの橋渡し役である翻訳者・通訳としては、気をつけたいものです。

 

まあ、名前を間違えないように気をつけるのは、翻訳者・通訳に限ったことではないかもしれませんが。

 

ハチハチハチ

 

先日、私も危うく間違えそうになった固有名詞がありました。

 

「あれ、何だっけ?確かこれでいいんだよな・・・」と思いつつ、「念のため」と思って確認したのが功を奏しました。

 

「ああー、そうだった!」と。

 

すっかり勘違いしたまま言ってしまうところでした。

 

「ラトビア」

 

北ヨーロッパの共和国で、「バルト三国」の1つとされているあの国のことです。

 

何を間違えそうになったかというと・・・

 

フランス語で「Latvia」と危うく言ってしまうところだったのです。

 

フランス語を話すみなさんは、お分かりかと思います。

 

フランス語では「Latvia」ではありません。

 

Lettonie(レトニー)と言います。

 

「Latvia」は英語です。

 

国名は何でも英語のように言っておけばいいと高をくくっていると、とんでもないミスを犯してしまいますので注意が必要です。

 

では、原語(ラトビア語)ではどうなのでしょうか?「レトニー」に近い?

 

Latvijas Republika

 

だそうで、「ラトヴィアス」のように発音するみたいで、むしろ英語のLatviaに近いですね。

 

では、「レトニー」はどこから来たのでしょうか??

 

 

UnsplashDarya Tryfanavaが撮影した写真

 

「Latvija」という国名の語源は、「ラトガリア」(Latgalian)という民族名だそうです。

 

「ラトガリア人」とは、ㇻトガレ地方に住む人たちのことで、ラトガリア語を話しているそうです。

 

ラトガリア語は、ラトビア語の方言という位置づけのようです。

 

で、問題はなぜ「ラトビア」が「レトニー」になったか?ということですが・・・

 

ラトビア島北部のリヴォニアの司祭ヘンリク(ヘンリー)がラテン語で「レッティガリア」(Lettigallia)と「レティア」 (Lethia)と書いたことが起源なのだそうです。

 

ラテン語で「ラトビア」は「レットニア」(Lettonia)。

 

その証拠に、ラテン語の系統を組む現代語(ロマンス諸語)は次のようになっています。

 

イタリア語:Lettonia(ラテン語と同じ、レットニア))

 

フランス語:Lettonie(レトニー)

 

カタルーニャ語:Letònia(ラトーニア)

 

スペイン語:Letonia(レトニア)

 

ポルトガル語:Letónia(レトニア)

 

ちなみに・・・

 

ドイル語:Lettland(レットラント)

 

スウェーデン語:Lettland(レットランド)

 

ハンガリー語:Lettország(レットルサーグ)

 

ゲルマン諸語は(ハンガリー語はゲルマン諸語ではなりませんが)、司祭ヘンリク(ヘンリー)が使った「レッティガリア」(Lettigallia)という語の系統を踏襲しているようです。

 

いずれにしても、「ラトビア」とはちょっと語感が違うので気をつけなければいけません。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

ちなみに、ほかのバルト諸国は・・・

 

エストニア(エストニア語:Eesti、英:Estonia)

イタリア語:Estonia

フランス語:Estonie

カタルーニャ語:Estònia

スペイン語:Estonia

ポルトガル語:Estónia

 

ドイツ語:Estland

スウェーデン語:Estland

ハンガリー語:Észtország

 

リトアニア(エストニア語:Lietuva、英:Lithuania)

イタリア語:Lituania

フランス語:Lituanie

カタルーニャ語:Lituània

スペイン語:Lituania

ポルトガル語:Lituânia

 

ドイツ語:Litauen

スウェーデン語:Litauen

ハンガリー語:Litvánia


こうして見ると、エストニアとリトアニアは、ロマンス語もゲルマン語も原語に近い音になっていますね。

 

間違えるリスクは低そうです。

 

 

私はまだラトビアに行ったことがないのですが、今回こうしてラトビアという国に関心を寄せるきっかけがあったので、いつか(近いうちに)ぜひとも訪れてみたいです。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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