「たなおろし」の漢字は「下ろす」ではなく「卸す」なのはなぜ? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

「たなおろし」の漢字は「下ろす」ではなく「卸す」なのはなぜ?

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先日、「在庫管理の仕事」をしていたという話をしましたが・・・

 

その記事はこちら↓

翻訳は、言語知識だけでなく専門知識や現場知識が必要な理由(〇〇が嫌いな人は翻訳に向いていません)

 

 

 

そのときに、ふと・・・

 

「たなおろし」は「棚卸し」という漢字を使うけど、在庫管理の「棚卸し」って、「卸す」じゃなくて「下ろす」の方が適切なんじゃないか?

 

という疑問が浮かんだのでした。

 

 

「卸す」は、「卸売」の意味で「おろす」というときに使う感じだと思うので、在庫管理のために棚から「おろす」のであれば、物理的に下ろすという意味の「下ろす」であるべきで、ゆえに「棚下ろし」のほうが適切なのでは?と思ったのです。

 

そう思ったら、「棚卸し」という漢字の使い方に、急に自信がなくなったのでした。

 

そこで調べてみました。

 

もしかしたら、ご存じの方は多くて、一般常識なのかもしれませんので、特にお役に立てつ情報でもないかもしれませんが、そのときはご容赦ください。

 

予め、貴重なお時間を使って読んでいただいたことに、感謝申し上げておきます。

 

ハチハチハチ

 

ネットでざっと調べてみたところ、実のところ、納得できる回答が見つかりませんでした。

 

「卸す」と「下ろす」はもともと同義

 

このような回答が多かった気がします。

 

つまり、もともと、モノを下ろすという動作を表す漢字自体が「卸す」だったということ。

 

それはそれで納得できるといえば納得できるのですが、もしそうなら、じゃあ普通の動作に「卸す」という漢字を使うと違和感があるのはなぜだろう??と思うのです。

 

つまり、「あそこの棚からちょっと荷物をおろして!」みたいなときです。

 

ここに「卸して」をつかうと、違和感バリバリです(私だけかもしれませんが)。

 

要するに、私が今回知りたかったのは、「卸す」と「下ろす」がもともと同義だったならば、どこかで使い分ける事情があったと思うのです。

 

現在の私の感覚では、「卸す」は「問屋から小売店に売り渡す」というとき限定で使われる感じ。

 

そして、これはいろいろな辞書に載っている意味(定義)とも合致しています。

 

卸す(オロス)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

 

 

その他の場合の「おろす」、つまり物理的に何かを高い場所から低いところにおろす場合が「下ろす」「下す」、あるいは「降ろす」。

 

繰り返しになりますが、これはあくまでも私の個人的な感覚の話です(みなさんはどうですか?)

 

そう考えると、仮に、もともと同義で使われていた「卸す」と「下ろす」がなんらかの事情で使い分けられるようになったのなら、もしろ「たなおろし」は「棚下ろし」なのではないか?と思うのです。

 

だって、工場やお店の「たなおろし」って、別に小売店に売り渡すためにやっていることではなく、むしろ、在庫を数えるために棚から製品や商品を「おろして」数えるという話でしょ?

 

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

いろいろと調べてみたものの、結局、「これ」という答えはいまだに見つかっていません。

 

ただ、「卸」という漢字の意味を確認してみると、なぜ「たなおろし」の作業が「卸し」なのか合点がいきました。

 

★「卸」という漢字の成り立ち

 

「両人がかわるがわるつく、きね」の象形と「立ち止まる足」の象形と「ひざまずく人」の象形から、ひざまずく2人がきねをかわるがわるつきおろすように、昔、荷物を宿駅ごとにおろして別の馬に積み替えていく所から、「おろす」を意味する「卸」という漢字が成り立ちました。

 

出所:「卸」という漢字の意味・成り立ち・読み方・画数・部首を学習 (okjiten.jp)

 

端的に言うと、この字は荷物を積み替えるときの「おろす」ということ。つまり「つみおろし」のことであり、まさに荷物(製品や商品)の積み替えをする動作・作業の事をあらわす字なわけです。

 

そう考えると、在庫管理の「棚卸し」の作業は「下す」よりも「卸す」のほうが、業務の実態をより的確に表現できています。

 

また、「卸売り」にいたっては、まさにに文字の成り立ちに忠実に即した用法だということになるのではないでしょうか。

 

個人的には、かなりすっきりしました。

 

「卸」という漢字のイメージが変わりました。

 

今までは「商売」という、狭い視点でしか見えていなかったのが、今では立体的なイメージで捉えることができるようになった気がします。

 

棚卸しの作業も、一旦棚から下して(物理的には降ろさないこともあるかもしれませんが)、在庫数を数えて、また積み戻すわけですから、まさに「卸す」なわけですよね。

 

とても良い勉強になりました。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

先程、漢字の成り立ちを引用したサイトでは、「卸」の意味の2番目に

 

「結んだりしばったりしてあるものをゆるめて分け離す」、「着ていたもの、身に取り付けたものをはずす」(例:卸頭)

 

とありました。

 

これは、そもそも中国語での意味なのでしょうかね?

 

でも、これももしかしたら「棚卸し」のイメージに近いかもしれません。

 

そして、「卸す」という漢字の用法がいろいろと繋がって納得がいってきたところなのですが・・・

 

ふと思いついたのがこの単語。

 

「おろしがね」

 

 

これ、漢字でどう書くかご存じですか?

 

卸金

 

ですよね?

 

これは、なぜ「卸」なの??

 

「すりおろす」の「おろし」だと思ったのですが、それだと「摺り下ろす」などと、やはり「下」を使って書くようで・・・

 

「卸金」はなんとも謎。もしかして、当て字とか慣用的といった用法なんでしょうかね。

 

ただ、「卸」の漢字の2つ目の意味、「ゆるめて分け離す」、「着ていたもの、身に取り付けたものをはずす」といったイメージからの用法でしょうか・・・

 

野菜などの繊維をゆるめて離す・・・みたいな(ちょっと強引ですかね?)

 

「卸金」の話は蛇足でしたが、ちょっと謎が深まってしまいました。

 

蛇足ついでに余談ですが・・・

 

個人的におろし器が好きで、いろいろ揃えたいなぁと常々思っています。

 

今は実家のキッチンを使っているので調理器具を増やさないようにしていますが、両親と同居する前は卸金をいくつか持っていました。

 

といっても、普通のシンプルなものでしたが。

 

私が欲しいなぁと思うものは・・・

 

勝手にランキングで紹介してみますね。

 

第3位:鬼おろし

 

Haragayato - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39648970による

 

大根おろしをするときにこれを使うと、ザクザクした食感が残って美味しい大根おろしができますよね!

 

写真出所:おろし金のおすすめ15選。プロクオリティのおろしを家庭でも (sakidori.co)

 

 

第2位:鮫皮おろし

 

写真出所:おろし金のおすすめ15選。プロクオリティのおろしを家庭でも (sakidori.co)

 

これは、わさびを摺ることしか思いつかないのですが・・・

 

以前、伊豆の知り合いに採れたての山葵を送ってもらったときに、鮫皮おろしを購入しました。

 

今はどこにいったか、引っ越しの荷物のどこかにあると思いますが・・・

 

今の生活では、なかなか生の山葵をいただく機会もありませんが、いつかまた美味しい山葵を食べたいですね!

 

 

第1位:グレーター

 

 

ご存じですか?

 

チーズなどをするやつです(で合ってますよね?)。

 

これ、是非手に入れたいのですが・・・

 

私自身、今チーズというものをあまり食べない生活をしているので、個人的には使い道がないのですが・・・

 

それでも、誰かのために料理をするとき用に手元に置いておきたいなぁと常々思っています。

 

ということで、「たなおろし」から随分と話が飛躍してしまいましたが・・・

 

どなたか「卸金」の漢字がなぜ「卸」なのかご存じの方がいらっしゃいましたら、是非教えてください!
 

 

そして、今日の本題は(最後にもう一度言うと)、「棚卸し」の「おろし」は、漢字の成り立ちを考えると「下ろし」よりはむしろ「卸し」の方が適切だということでした。

 

今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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