翻訳に必要な3つの能力の内訳とは?(言語、一般的スキル、専門分野) | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

翻訳に必要な3つの能力の内訳とは?(言語、一般的スキル、専門分野)

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あくまでも、個人的な感覚の話ですが・・・

 

私の中で、翻訳の仕事をしているとき、「自分に必要だなぁ」と感じる能力の内訳は、このグラフのような感じです。

 

このグラフは、たとえば「言語の能力が20%あれば翻訳できる」という意味ではありません。

 

翻訳するときに「言語の能力」が原因で躓く場面が、全体の10%ほどだろうということです。

 

翻訳の仕事をしていて、言語的なところで躓くことはほとんどなくて、躓くとすれば、ほとんどが専門分野の知識や能力、傾向や流行などを知らないことが原因のような気がするのです。

 

つまり、言語的な能力があっても、要するに、文章が(字面的には)100%理解できても、それが何を意味しているのか、日本語で(あるいは別の言語で)どういう言葉を使うのが常識なのかが分からないとか、そういうことで躓くことが大部分だと思うのです。

 

「専門分野の知見」が「60%」と書きましたが、実はもっと多いかもしれません。

 

30%の「一般的なスキル」というのは、文章を書く能力といいますか、慣れというのもあると思いますが・・・

 

要するに上手い表現ができないとか、その場面でどういう言い回しや表現、言葉を使うのが効果的であり、その業界で受けるのかを、うまくアウトプットできないというときです。

 

これも、私の場合は結構悩むといいますか、うまく書けなくてもどかしいと感じることが多くあります。

 

「ああ、こういうとき、上手な人ならもっとうまい言い方するんだろうなぁ・・・」といった感じ。

 

 

仮に、外国語が100%理解できて、日本語が100%理解できたとしても、満足いく翻訳ができるための貢献度はわずか10%程度だろうということです。

 

要するに、言語能力だけを磨いても、翻訳の仕事ができるようにならないということです。

 

文章力や表現力など能力もとても大事です。

 

しかし、実は、ある程度下手くそな文章でも、何とか許されることもあります。

 

これは、機械翻訳という、文章があまり上手ではない翻訳者が登場したお陰かもしれません。

 

でも、現場で求められる文章は、かなり高度な文章です。

 

ライターと同等の文章力は求められます。

 

ですので、言語的な部分で100%理解できても、クライアントにはあまり受け入れられないということがよくあります。

 

さらに、「専門的な知見」がないと、適確に表現できなかったり、場合によっては大きな誤訳をしてしまうことさえあります。

 

業界で常識的に使われている言葉が使えなければ、読んでいる人に通じないこともかなり多くあります。

 

私がここで「知識」ではなく「知見」(見て知ること。見、観察、考察して知り得た内容)と書いた理由は、単に知識を持っているだけでは、原文が理解できないからです。

 

原文が適切に書かれていないこともありますし、場合のよっては間違っていることさえあります。

 

学校のテストであれば、「先生、問題が間違っていました!」と言えば、許してもらえるかもしれません。

 

しかし、翻訳の現場では、翻訳者もそういうところを点検しながら作業をしているという部分があります。

 

要するに、成果物を作り上げるために作業をしているグループメンバーの1人になるわけです。

 

でないと(間違ったままでは)現場では使えません。

 

ハチハチハチ

 

「翻訳の実務」は、要するに現場の資料作りなわけです。

 

ですから、矛盾しているところや間違っているところがあれば修正するというのも、翻訳者の役割になるのです。

 

これが学校と現場の最も大きな違いと言ってもよいかもしれません。

 

最終的に「翻訳を発注した人(お客さま)が、自分の翻訳した成果物を使って目的を達成すること」これが翻訳の目的なのです。

 

「原文(問題文)をそっくりそのまま正しく訳文に置き換えるだけ」が仕事ではないのです。

 

そういう観点からして、「翻訳に必要な能力」は、私の感覚では上のグラフのような内訳になります。

 

繰り返しますが、「原文を20%しか理解できなくても翻訳ができる」という意味ではありませんのでご注意ください。

 

100%分かることが前提です。

 

でも、100%分かったとしても、翻訳ができるようにはならない、100%の言語能力があっても、それが翻訳に寄与する割合は、私の感覚では10%ほどしかないだろうということです。

 

いつも躓くのは、自分の表現力(一般常識なども含め)と専門的な知見の能力不足からくると感じています。

 

翻訳者を目指しているみなさんの、勉強の指標として参考になれば幸いです。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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