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中国語フォントの違和感、みんなが気にしないのなら、私が気にしてお金を稼ぐ

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みなさんは、これを見て何か気になることはありませんか?

 

「ローマ直行便か・・・ いくらなんだろう?」とか、「イタリアに行きたいな・・・」でしょうか・・・

 

 

こちらはいかがですか?

 

職業病でもあると思うのですが、こういうところがとても気になってしまうのです。

 

 

 

なんともないような感じもするのですが、どこかにある違和感のために、全体がちょっと嘘くさく見えてしまうというか・・・

 

今回ご紹介しているのは、YouTubeの広告で表示されたものですが、最近、海外の企業の広告の日本語版をかなり多く見かけるようになりました。

 

これも、機械翻訳の発達のお陰かもしれませんが、おそらくそのせいで、「品質的にどうなんだろう・・・」と、翻訳者としてちょっと首をかしげてしまうようなものも、かなり目立つようになった気がします。

 

今回指摘しているのは、日本語の広告に目立つ「漢字の違和感」です。

 

つまり、日本語の漢字にしては、ちょっとフォントデザインがおかしいんじゃないの?ということです。

 

上の写真に出ているので言うと「直行」「今」、それから微妙ですが「航」もちょっと違うような・・・

 

この辺は、まだ気づかない(気にならない)人もいるかもしれませんが、以前、あるウェブサイトで「東京」が「东京」となっているのを見つけたときには、「これはちょっと厳しいだろう」と思いました。

 

実は、以前にもこの「漢字問題」を取り上げた記事があります。

 

よろしければこちらもお読みください。

 

あの有名ユーチューバーHさんも指摘していた!「翻訳の書体の違和感」を何とかしたい

 

 

 

書体の違和感は、翻訳の質に55%も影響する重要なポイントだった

 

 

この(前者の)記事に対して、Atsushi のドラム in The Age of Aquariusさん が貴重なコメントをしてくださったのですが、確かに国や文化によっては、こういうのが気にならないというのもあるのかもしれません。

 

先日も、香港のある翻訳会社の仕事で、ある銀行の告知文の和訳をしたのですが、もちろん私は、日本語のフォントで和訳を納品したのですが、たまたま修正が入り、確認のために戻された原稿がこういう文字になっていました。

 

 

これも、気づかない人は気づかないのかもしれませんが、「強化版」の文字が、中国語フォントになっていて、ちょっと違和感があったのです。

 

このように、私たち(日本語の)翻訳者がきちんと(ミスなく)納品したものでも、翻訳会社によっては、社内のシステムの中で勝手に別のフォントに変換されてしまい、結果的にエラーを含む文章をお客様に納めてしまうということはあると思います。

 

当然のことながら、クライアント(発注者)は十中八九、日本語を読めないので、このミスには気づきません。

 

今回は、翻訳会社に私から指摘できたのでよかったのですが、修正されていないというケースもたくさんあると思います。

 

また、以前も話ましたが、あるプロジェクトマネージャーは、これを問題視しませんでした。

 

私が指摘すると、「こっちには日本語フォントがシステムに入ってないから、変えられないのよ。ごめんね」で済まされたことがあります。

 

こういう状況を考えると、翻訳を依頼するとき、翻訳者の質も重要なわけですが(当然のことながら)、プロジェクトに関わっているスタッフの質もとても重要だということになります。

 

私の経験上、翻訳会社の社内のスタッフは、わりと異動が激しいような気がします。ですので、質の高い担当者が1人いたとしても、担当者が変われば、どういう人がくるか分かりません。

 

ですので、翻訳会社として、その辺をいかに緻密に考えてくれているか、社風とか会社方針とかいうものを、発注する側がしっかりと見極めなければならないということだと思います。

 

もちろん、翻訳をしている当事者として、その辺の「質の保証」については、しっかりと翻訳会社とコミュニケーションを取るように心がけているわけですが、会社自体、あるいは担当者個人の資質として、その辺を気にしないというところがあれば、やはりお客様には翻訳者が提供する「質」が届かないということになります。

 

ハチハチハチ

 

さて、長くなりましたが、今日はというと、別にまた同じ問題をほじくり返したいわけではありません。

 

今日、焦点を当てたいことは、このようなことを「気にしない」ことがそれだけヤバいことなのかという話ではなく、「気にすること」にどんなメリットがあるのかというお話しようと思います。

 

恐らく、このようなフォントの違いを気にせずに広告を出している企業は、そういう違いに拘るよりも、「(翻訳の)コストの安さ」だとか「(広告を打つ)素早さ」だとかを優先しているという部分もあると思います。

 

ですから、特にそれに関して、私個人としては「けしからん」とか「直すべきだ」とかいう風には思いませんし、そういうつもりもありません。

 

それはそれでいいと思いますし、それぞれだと思います。

 

それは、会社の方針ですし、その会社を選択するお客様の自由。

 

しかし、このような細かいポイント、人によっては「そんなの気にしない」と済ませることができるポイントでも、こだわることによって付加価値を生むことができると、私自身は思っています。

 

「付加価値」=お金

 

です。

 

「お金なんかい!」ということですが、まあ、仕事(事業)として翻訳をやっている以上、これを追求することはなんらおかしいことではないと思います。

 

翻訳の質自体も重要なのですが、たとえばフォントの違和感や、ちょっとした誤字・脱字があるだけで、翻訳全体に対する印象が悪くなってしまうことがあると思います。

 

全体は何も問題ないのに、たった1つだけ下手な文や誤字があるだけで、なんだかその翻訳者に対する印象が悪くなってしまったり・・・

 

一度もウソをついたことがない人が、たった一度だけウソをついただけで、その人のことをずっと信用できなくなったり・・・

 

間違いや嘘って、そういうところがあると思うのです。

 

もちろん、100%エラーフリーということはなかなか難しいと思うのですが、少なくとも、できる限りの「違和感」や「不信感」は取り除くべきだと思うのです。

 

翻訳の「信頼性」に関わる問題だと思います。

 

宝石ブルー宝石ブルー宝石ブルー

 

以前、私が翻訳した日本語を読んだチェッカー(レビュワー)の人から、「日本語の表現が不自然で、日本人が書いた文章ではないと思う」という風に評価されたことがありました。

 

そのときを最後に、その業務は私のところに来なくなりました。

 

もちろん、私は日本で生まれ育ち、大学まで教育を受け、(途中、海外に移住しましたが)日本で普通に仕事をしてきて、今まで翻訳を仕事にしてきた人間です。

 

ですから、「不自然」なのは、「日本人でないから」ではなく、私の文章力のなさの結果だと思うのですが、このチェッカーさんには「日本人ではない」と思われたようです。

 

いや、この際、「日本人であるか日本人でないか」は問題ではないと思うのです(「日本人ではない」という言い方に、悪意のようなものを感じなくもないですし・・・)。

 

しかし、そんなコメントを付けられてしまいました。

 

このチェッカーの本意は、実は「日本人か否か」と言うことに対してクレームを付けているわけではなく、下手な翻訳をした私に対する「皮肉」だったのだと思います。

 

仕事のコメントに、このような「皮肉」を書くことについての賛否はさておき、このチェッカーは、要するに私の訳文に「失望した」ということなのだと思います。

 

そして、おそらくそのような低い評価を付けられた翻訳者は、翻訳会社としても使う訳にはいかなかったのだと思います。

 

こういう評価は、通常はクライアントと共有されるわけで、いずれにしても何らかのクレームが付いた翻訳者を、同じプロジェクトにキープしておくわけにはいかなかったのでしょう。

 

その翻訳会社とは、もう10年以上の付き合いになりますし、他のプロジェクトでは幸いまだ使っていただけています。

 

要するに、あのときの私は、1つのミス(低品質の訳文)を出すことで、「信頼」を失ってしまったのだと思います。

 

この例は、ちょっと極端かもしれませんが、「ミス」というものは、1つでもかなり大きなインパクトがあるので、あまり軽視すべきではないということを言いたかったのです。

 

宝石白宝石白宝石白

 

こんな細かいこと、翻訳にはあまり関係ないのでは・・・ と思われる人もいるかもしれません。

 

翻訳を提供する側(翻訳者やコーディネーターなど)にいると、「そんなこといいじゃん」と思ってしまう人も少なからずいるようです。

 

しかし、クライアント側はそうはいきません。

 

もちろん、「そんなこといいよ」と言う人もいるかもしれませんが、そうでない人もいるわけで、そうでない人に当たってしまったら、ビジネスを失ってしまいます。

 

信頼を失えば、仕事はもらえなくなります。

 

信頼してもらえる仕事をするということも、1つの大事な「価値」になると思います。

 

もう1点、先ほど、世界には、フォントをあまり気にしない人達もいるという話でしたが・・・

 

それなら、「気にする」ということ自体も「価値」になるのではないかと思います。

 

要するに「差別化」です。

 

「フォントの違和感」は、たくさんある要素の中のたった1つですが、こういう「文章の質」から少し外れた部分、舞台のわき役のような部分にも気を配って、全体としての質を高められるような仕事をするというのも、立派な「価値提供」だと思います。

 

「気にしない人がいる」というのも事実ですが、それなら自分が気にできる人になって、その価値を売りにすればよい、そういう風に思います。

 

みなさんは、どう思われますか?

 

また、そういう「価値提供」で、何か気を配っていることってありますか?

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

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