海外の翻訳会社と仕事をするときの不安や疑問にお答えします(実際に海外から仕事をもらう流れ)
海外のエージェントは英語でのやりとりや、仕事の時間、支払いなどいろいろと不安がありハードルが高いと思われているようなのですが、実はそれほどでもないというお話を先日しました。
もし、まだお読みでない方は、(ちょっと長いですが)お読みいただければと思います。
海外の翻訳エージェントはハードルが高いと思っている人へ(私はこれで翻訳の仕事の世界がグンと広がり | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所 (ameblo.jp)
海外のエージェント(翻訳会社)と仕事をする場合、どのような流れになるのでしょうか・・・
仕事が回ってくる流れにはいくつかのパターンがあるのですが(私の場合)、どんな流れで日々、海外のエージェントとの仕事が進んでいるのか、私の仕事が毎日どんな風に流れているのかお話ししてみたいと思います。
・そもそもどんな風に仕事が回ってくるの?
・時差がある場合、仕事を逃したりしないの?
そんな観点から、具体的なイメージを持ってもらえるのではないかと思います。
まず、そもそも海外のエージェントといってもたくさんあり、それぞれ発注フローが違うと思うので一概には言えませんが・・・
私の場合、今コンスタントに仕事をもらっている海外エージェントが3社あるのですが、発注フローはほとんど同じです。
主に2つの流れがあります。
1つ目は、コーディネーターさんから新規案件の打診がメールで来て、それに対して引き受け可否を返答して仕事が始まっていくパターンです。
ちなみに、今私が話している翻訳とは、産業翻訳とか実務翻訳とか呼ばれる分野でして、ビジネスや契約書、財務や医療、IT、工業といった、企業業務の一環で使われるような内容の仕事です。ウェブサイトとかの翻訳もあります。
日々、仕事が限りなくあります。
ですから、翻訳者の得意分野に応じて、コーディネーターさんが受注した翻訳の仕事を振ってくれるわけです。
この仕事のフローは、多くの人が想像する流れかと思います。
翻訳の仕事を割り当てるフローには、実はもう1つのパターンがあります。
それは、何人もの翻訳者に一斉に割り振られるパターンです。
この場合、一斉メール(BCCなど)で来るパターンと、翻訳会社の受注ポータルサイトみたいなのがあって、そこに新規案件が随時掲示される受注システムのパターンがあります。
一斉メールの場合、「〇〇というクライアントから英日の依頼が来ていますが、引き受けられる人は返信ください」と連絡がメールなどが来て、多くの場合は早い者勝ちです。
受注システムの場合、新規案件が掲示されると、メールなどで通知が来るので、自分でポータルサイトにアクセスして、「Accept」みたいなボタンを押して受注するわけですが、これも早い者勝ちです。
1つ目の、1対1のメールで受注する場合に比べて、一斉メールや受注システムだと「早い者勝ち」になるので、結構大変そうに思われるかもしれません。
ただ、そのメーリングリストや受注システムに参加している人数にもよりますが、私の取引先の翻訳会社の場合、おそらく1つのリストに参加している人数はそれほど多くなく(おそらく数人だと思われます)、あっという間になくなっている(取られている)場合もありますが、誰にも引き受けられずに残っている場合もあります。
残ってしまうと、放置されてはいけないので、コーディネーターさんから直々に個別メールが届いて、調整をするということもよく起こります。
いずれにしても、個別に打診が来るか、一斉メールやシステムで自分のタイミングで仕事をゲットして作業に入るという感じです。
そうすると、心配になるのが、海外のエージェントの場合は時差があることだと思います。
私の場合は、基本的に欧州の翻訳会社ですので、仕事をする時間が半日ほどずれます。
リアルタイムに仕事をしようとすると、欧州の翻訳会社の場合、先方の時間に合わせようとすると、日本時間で夕方から夜にかけて仕事をすることになります。
しかし、基本的にその心配はありません(私の場合)。
個別メールは、確かに夜中に来ていることが多いですが、朝まで放置しておいて、それから返信するのが普通です。
そうすると、朝こちらから返信しても、先方がその返信を読むのが日本時間の夕方になってしまいますので、確かに時間のロスはあります。
しかし、個別メールで受注する場合、コーディネーターさんもそのことが考慮していますので大丈夫です。
ただ、緊急案件の場合もあります。
夜中の3時くらいに打診があって、返信ができない場合もあります。私の場合、それは仕方ないと割り切っていますが、それを逃したくないという人は、夜中仕事をするしかありませんね。
ただ、コーディネーターさんもその辺は対策が出来ているといいますか、他のリソースに頼って、代わりの人を探して対処するようになっています。
それでも、どうしても翻訳者がみつからないという場合もありますが、その対処もコーディネーターさんがやってくれるので、翻訳者としては、基本的に日本時間で仕事をしていれば大丈夫です。
まあ、「欧州時間で仕事をやりますよ」というのを売りにすることはできるでしょうね。
1対1のメール対応だと、このようにやり取りで時間をロスしてしまうのは確かです。
ですので、一斉メールや受注システムがあります。
これだと、24時間、世界のどこかの(登録)翻訳者が拾ってくれるので、スムーズにいくわけです。
私も先ほど、受注システムで流れてきた仕事を2件ほど拾いました。
いずれも納期が明日以降なので、受注だけしておいて、作業は明日朝起きてからやろうというわけです。
海外のエージェントと仕事をすると、エージェントの営業時間に合わせないといけないと思われるかもしれませんが、まったくそのようなことはありません。
普通に、日本時間で仕事をしています。
朝起きて、受注システムにアクセスすると、2~3件仕事が来ていたりするので、そしたらそれをポチポチっと受注するなんていうこともあります。
私が仕事をしている海外のエージェントは、アジアにも北米にも欧州にも支社があり、1つのプロジェクトを全世界で管理しているようなところもあります。
ですので、たとえば日本時間に朝作業をしていて、何か困ったこと(足りないものとか、質問とか、ファイルが開かないとか)があっても、24時間、どこかしらの担当者が対処してくれるので、その点でも海外の大きなエージェントは仕事がやりやすいです。
UnsplashのCharanjeet Dhimanが撮影した写真
翻訳の仕事は、翻訳の作業をして「納品」するまでが仕事なわけですが、先ほどお話した、1対1のメールで受注する場合、納品もメールで直接コーディネーターさんに納品します。
ですので、先方に届いたかどうか、あるいは翻訳に問題がないかどうかは、コーディネーターさんが出勤してきてチェックしてくれるまで分かりません。
その点でも時間がかかります。
しかし、受注システムのようなものがあると、納品はそのシステムにファイルをアップロードするだけですので、「届かなかった」というトラブルは起きません。
ですので、作業を終えた時点で、朝だろうが夜中だろうが、好きな時間に納品して安心して寝れるというのも、システムの良いところだと思います。
また、最近は、受注システムの請求システムが一体化していて、納品すると自動的に請求も完了するというシステムになっているエージェントもあります。
以前は、自分で1件1件の仕事を確認して、1カ月分とか半月分とかまとめて請求書を提出していたのが、最近は請求書すら提出する必要がなくなり、とても楽ちん。ITの自動化さまさまです。
以上が、海外エージェントからの仕事を受注する流れの簡単な説明でした。
私の場合、欧州の会社が多いので、夕方くらいから打診メール(システムからの通知も含めて)がちょこちょこ入ってくるようになります。
夕方からかなり件数も増えるので、1件1件チェックしている余裕がない場合もあり、スルーしてしまうものもありますが、そういうこともOKです。
しかし、興味のある案件の打診がくれば、すぐに内容をチェックして、コーディネーターさんに返信したり、受注してファイルをダウンロードしたりといった作業をするので、夕方が忙しいことが多いです。
それでも、南米や北米からも打診があるので、割と朝から晩まで、打診メールや通知を見ながら、既に受注している翻訳をしているという感じです。
その打診の多い少ないは、おそらく自分が登録している専門分野によるとは思います。
ですので、どの分野を専門とするかは、割と大事だと思います。
しかし、仕事の多い分野で仕事をすれば、ほぼ仕事が来なくなるという時期はないと思いますし、それが海外の大手エージェントと仕事をする最大のメリットかもしれませんね。
どうでしょうか、海外のエージェントから仕事をもらう流れが少しはっきりしたでしょうか。
また、働く時間(時差)などの不安・疑問を抱えていた方は、少しは解消されたでしょうか。
仕事がなかなか増えずに困っているという人は、海外のエージェントも是非とも検討してみてください。
何かご質問などがありましたら、コメントなどでお寄せください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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