機械翻訳で将来的に拡大するチャンスを掴む(翻訳業界の「変化」についていくための思考法) | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

機械翻訳で将来的に拡大するチャンスを掴む(翻訳業界の「変化」についていくための思考法)

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翻訳や通訳の仕事をしていると、「いずれ無くなる職業」だとか「単価が安くなって成り立たなくなる」とかいう、不安の声がよく聞こえてきます。

 

私も、そういう不安に襲われたことが、もちろんあります。

 

初期のころ、まだ翻訳という仕事についてよく分かっていなかったころは特にですね。

 

今でもまったく不安がないといえば、それはウソになります。自分の仕事がずっと安泰だとは思いません。

 

特に、最近の機械翻訳の出現で、そのプレッシャーが大きくなっていることは事実だと思います。

 

しかし、それについて、「自分の仕事を奪うな!」とか「機械になんかできるはずがない!」と言い張るのも、ちょっと違う気がします。

 

ハチハチハチ

 

機械翻訳などのITの発達によって、今までとは翻訳業界の仕事のしかたはがらりと変わるかもしれません。

 

でも、それによって翻訳の仕事がなくなるわけではありません。

 

確かに、昔のように、辞書を引き引き、ワードでポチポチ文字を打って、スペルチェックをして、メールで添付して「はいどうぞ」という仕事をずっとやっていこうとする人には、回ってくる仕事がなくなるかもしれません(実際に、今そういう仕事はあまりなくなってきているでしょう)。

 

しかし、それは「翻訳」という仕事が奪い去られたわけではないのです。

 

機械翻訳に奪われたといえば奪われたわけですが、今まで私たち翻訳者に回ってきていたお金の一部が、機械翻訳の開発者に回っていっているだけです。

 

そして、今後もその流れは加速するでしょう。

 

なぜなら、機械翻訳にはかなりの期待と希望がかけられているからです。機械翻訳がもっと発達すれば、もっと安く、気軽に翻訳ができるようになるという「期待」があるからです。

 

機械翻訳は、今は非効率だという人もいると思いますが、それでも非効率化よりは効率化のために開発されていますから(お金もつぎ込まれて)、今後は効率よくなっていくのでしょう。

 

その分、機械翻訳の開発者にお金が回るわけですし、それに対する投資を回収するためにもお金は流れていきます。

 

ですから、先ほど言ったような、ワードでポチポチ打つ翻訳者に回ってくる仕事は減るか、安くなるかのどちらかです。

 

しかし、これは「翻訳という仕事がなくなる」という話とはまったく別次元の話なわけです。

 

そこを取り違えると、翻訳という仕事に将来性が感じられなくなるでしょう。

 

でも、「翻訳」という作業自体が必要なくなるまで(仮にそういう方向に向かうとしても)、それはもうかなり途方もなく遠い未来の話がします。

 

そして、実際のところ、私個人的な意見としては、それはあり得ないと思うのです。

 

なぜなら、翻訳が必要なくなる時代とは、外国語がなくなる時代。つまり、全世界の人が同じ言語と同じ文化を共有する時代でなければ、「翻訳」という作業がなくなることはないからです。

 

 

UnsplashNaassom Azevedoが撮影した写真

 

 

ただし、先ほども言ったように、翻訳という作業のしかたは、どんどん変わってくるでしょう。

 

ITの発達によって、さらに変わってくると思いますし、これから100年後、200年後は、どんな革命があるか分かりませんよね。

 

ITを超える技術革新が起き、翻訳(通訳)の仕事のしかたが、さらにガラリと変わるかもしれません。

 

しかし、翻訳(通訳)という作業自体は残る。

 

その作業へのかかわり方が変わっていくだけであり、作業自体はなくならないわけです。

 

先ほど言ったような、ワードでポチポチやる作業は好きだけど、機械翻訳でやる翻訳はいやだ、と言う人は、この業界から(もうすぐ)去っていってしまうかもしれません。

 

しかし、「翻訳」というもの自体は変わらないわけです。

 

「どうやるか」の話ではなく、「何をするか」の話。

 

外国語で書かれた誰かの言葉を、自分の言葉で表現する仕事です。

 

それが本来「翻訳」というべきものであり、どのようなツールを使うかというのは、翻訳の手段に過ぎません。

 

私は、「翻訳」という仕事のその部分に気づいたときから、「自分は翻訳の仕事を生涯やっていけるな」と確信できたのでした。

 

それは、「翻訳」そのものの面白さに気づいたからかもしれません。

 

そういう意味ではラッキーですね。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

正直なところ、私も機械翻訳でやるのは好きではありません。

 

機械翻訳の質が悪いという理由だけではなく、機械が提示してくる訳文にちょっと振り回される感があるというのが1つです。

 

「それなら、最初から自分でやりたい!」と思うわけです。

 

しかし、特に産業翻訳という、効率や量、納期が求められ、他の翻訳者との共同作業が欠かせない業界においては、機械翻訳の活用はやむを得ないのかなとも思います。

 

機械を使わずして、今のような大量翻訳を短期納期で成し遂げる方法が思いつかないからです。

 

もちろん満足ではありませんが、一方で、そういうニーズがあるわけです。

 

当然のことですが、そのニーズに応えるために「機械翻訳でも人間と同じ質でできますよ!」という嘘八百はダメだと思います。

 

しかし、人間翻訳のようにはいかないということをきちんと理解していただいたうえで、機械翻訳を活用することが可能な部分については、活用していけば良いと思いますし、その流れは止められないと思います。

 

それが止められないのなれば、「いかにして、その不完全な技術を活用する中で品質を最適化していくか」ということに取り組むというのも、翻訳という仕事のもう1つの側面なのかなとも思うこの頃です。

 

個人的には、「ワードをポチポチ1から自分で」のほうが実は好きなのです。

 

で、実際にそのような作業のほうが適しているという仕事もありますので、私はそちらも追求しつつも、次の時代にも仕事を失わないように、やはり前に進み続けなければならないなぁと思っています。

 

今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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