「価格」と「価額」の違いの説明が分かりやすかったのでご紹介
金融業界でよく使われる言葉に「価額」というものがあります。
たとえば、投資信託では「基準価額」という言葉がありますし、会計用語としては「帳簿価額」というものがありますし、保険業界では「保険価額」といった言葉があります。
私は長い間、金融翻訳のチェックや校正の仕事もしてきましたが、この用語を「価格」あるいは「価値」と訳す翻訳者が多いことに気づきました。
響きとしては「かかく」と「かがく」・・・ 確かに似ていて、意味の違いも分かりづらいのですが、明確に使い分けなければなりません。
で、チェックの仕事で訂正すると「価格ではだめなのですか?」と聞かれることがあるのですが、「業界用語だから」という回答では、ちょっと無責任なような気がして、自分なりに短い言葉でまとめようと、改めて概念や定義を調べていたのですが、とても分かりやすい説明がありましたので、今日はご紹介したいと思います。
やはり、定義と違いを明確に知っておくと、自分で説明するときも、説明が明確になり、嫌味もなくなるなぁと実感しました。
気になる方は、どうぞご参考になさってみてください。
今井経理事務所さんの説明が、短くてとても分かりやすかったです。
↓
「価格」と「価額」の違いについて整理してみましょう。 | 今井経理事務所 (imaikeiri.com)
端的にまとめれば・・・
「価格」は売り手と買い手の間で授受されるお金の価値。
「価額」は(実際の授受とは関係なく)モノやサービスの価値の評価を金額で表したもの。
ということでしょうか。
最近気になったところでは、損害保険の関係で「保険対象の価額」とするべきところ、「保険対象の価格」と訳されていたことがありました。
確かに、原文では「price」とあったのですが、意味合いとしては、まさに「価額」のこと(つまり、保険金が支払われるべき基準のvalueのこと)を言っていたので、原文からの「訳」としては間違っていないとはいえ、原文の意味を正しく表しておらず、原文が読めない人(日本語訳だけしか読めない人)にとっては、完全に誤解を招いてしまうということで、翻訳としては成立しないことになります。
もしかしたら、その翻訳者さんは機械翻訳を使ったのかもしれませんが、確かに、機械翻訳では、まだこういう訳は難しいかもしれません。
最近は、わりと出来の良い機械翻訳も出てきているようですが、その機械翻訳が、絶対に間違わずに翻訳してくれるという保証が得られるようになるまでは、もう少し人間の活躍の場が残されているようです。
翻訳という仕事には、このように、言語運用能力だけでなく、実務上の知識もないといけないのです。
また、その実務からしばらく離れていると、知識や感覚が鈍ってきますので、そこについていくためにも、日々の勉強が欠かせません。
翻訳の仕事をしたいと思っている方は、この点も意識して準備されるとよろしいかと思います。
UnsplashのSix Acre Filmsが撮影した写真
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