翻訳者として捨てられないようにするために私が毎日欠かさずにやっていること(ポイントは4つ) | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

翻訳者として捨てられないようにするために私が毎日欠かさずにやっていること(ポイントは4つ)

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私は(会社員時代も含め)20年以上、翻訳の仕事をしていますが、何年経ってももどかしさを感じるのが、自分の表現力の乏しさ。

 

書籍の翻訳をするときはもちろんなのですが、定型文のようなものが多い契約書や利用規約、財務諸表でさえ、「こういうとき、日本語ではどういう表現をするんだろう」と思うことが多々あります(毎日のように)。

 

もちろん、原文の意味は分かるのですが、要するにそれを直訳するだけでは、不自然に聞こえるだけでなく、読む人に訴えかけることのできる文章は書けないわけです。

 

そこで、翻訳をしているときは、自分の脳内に貯えてある日本語表現を総動員するわけですが、それがなかなか自分の場合は、十分にストックされていないので、すっきりとした表現、かっこいい表現が浮かんでこなくて、もどかしく思うわけです。

 

契約書の場合は、文章表現が他に比べたら限られているわけですが、それでも、「この条項は日本語で書くとすれば、どんな表現になっていたっけ?」とか、「この言葉は、IT企業の契約書の場合、どんな用語を使ったっけ?」と思うわけです。

 

そんなとき、もちろんインターネットなどを利用すれば、じっくり勉強することもできますが、実際問題、翻訳を仕事としてやっていると、締め切りがあったり、他の仕事が舞い込んできたりして、納得いくような調査や勉強もできないまま、クライアントに提出しなければならない期限がやってくるのです。

 

また、普段から勉強しよう勉強しようと思っているにも関わらず、なかなかそういう時間を取れずにいるという人も多いと思います。

 

これは多くの翻訳者の課題であり、問題であり、悩みでもあると思います。

 

なぜそんなに難しいか?というと、最も大きな要因は「情報が生きていること」です。

 

つまり、特に実務翻訳の世界では(たとえば、契約、ビジネス、財務、IT、特許などなど)、過去の情報はもう古いわけで、今日世の中に出ている情報は、すでに昨日よりも新しい情報なのです。

 

言い換えると、情報が日々どんどん新しくなっていっており、それに合わせて翻訳者も情報の更新が日々必要になるということです。

 

翻訳の仕事をしていると、「情報が生きている」ということがよく分かります。

 

特に、私がメインでやっている財務や金融市場、取引などの業界(フィンテックなども含め)は、毎日毎日新しいことが起こり、新しい技術が開発され、日進月歩です。

 

しかも、まだ一般に出回っていないような情報も多く、金融の専門家でなければ分からないこともたくさんあります。

 

訳語が存在しないなんてのはザラなわけです。

 

そこで翻訳者がこの業界の最先端で働いていくためには、日々の情報更新が必須となってきます。

 

また、スキル更新・技術更新もかなり重要です。つまり、翻訳の文章能力です。

 

私たちが書く訳文は、そのまま、日本の市場に届けられ、ターゲットとなる人々が直接読みます。

 

ターゲットとなる人々は、業界の最先端の人たち。その人たちを、その文章に引き込まなければならないわけです。

 

翻訳した文章が新技術についてであれ、セールスの文章であれ、注意事項であれ、読んでもらって売れなければならないのです。

 

「翻訳なんで、この程度ですいません」というわけにはいかないのです。

 

文章を書くスキルについては、ライターレベルのスキルが必要となるわけです。

 

そのうえ、日々更新される情報に追いついていかなければならない。古臭い文章も書いていられない。もう大変なことです。

 

翻訳者は、翻訳をすることも大事なのですが、勉強をすること、腕を磨くことも、同じくらい大事になります。

 

ハチハチハチ

 

とはいえ、仕事に追われる毎日で、時間が取れない。どうしても、日々の業務に追われて、やらずじまいというループに陥りがちなのですが、結局やらないままで、自分の表現力が乏しいまま(売れない文章を書いているまま)では、やはり仕事が増えなかったり、仕事の幅が広がっていかなかったりします。

 

それに気づいた私は、1日5分でもいいから、スキルアップの時間を作らないといけないなと思ったのです。

 

実際には、1日5分ではスキルが上がるまでに何年もかかってしまうので、朝起きてから1時間は、情報収集を兼ねてスキルアップのトレーニングを毎日するようになりました。

 

結論から言うと、結果的には自分の文章力も(おそらく)上がり、クライアントに買ってもらえる文章が書けるようになりつつあり、結果として、スキルアップにかけた分の時間に対する投資が回収されていると実感しています。

 

回収はあっという間です。

 

ただ、じっくりと時間をかけたわけでもなく、誰かに教わったわけでもないので、ここに至るまでには相当の時間がかかっていると思います。

 

しかし、時間と労力がかかることだからこそ、毎日少しずつでもやっておかなければならないと感じています(やらなければ、いつまで経っても到達できない)。

 

「これをやればOK」とか「これだけやれば大丈夫」というものは、正直なところ分かりませんし、おそらくないと思います。

 

しかし、私のやっていることを真似していただいても、できるようになるかどうかは分かりませんが、私が毎日、1時間だけやっているスキルアップの勉強法を、すこしご紹介したいと思います。

 

これは、毎日30分やるだけで違うと思いますし、たった30分だからこそ、毎日やらないと意味がないと思っています。

 

で、私の翻訳の専門分野はいくつかあり、それぞれやっていることは微妙に違うのですが、今日は私のメインの仕事である「財務・金融系」のスキルアップ術として、どんなことをやっていて、それを実践するコツのようなものをご紹介したいと思います。

 

わんわんわんわんわんわん

 

まず、朝起きてすぐに、アメリカ市場の情報収集を兼ねて、Twitterやマーケット情報のアプリの情報を確認します。

 

最近は、ラジオNIKKEIの「おはようマーケット」という番組を聞きながら情報収集しています。

 

おはようマーケット|マネー・投資|ラジオNIKKEI (radionikkei.jp)

 

 

これはだいたい30分くらいやっています。

 

情報は英語でも日本語でも見るのですが、この時間は実は主に日本語の情報を見ます。

 

ラジオが日本語だというのもあり、この時間はアメリカ情報が中心ですが、日本語にどっぷり浸ります。

 

情報を収集しながら気をつけることは、やはり日本語表現です。

 

気になる言葉、そのときのキーワード、自分でも使えそうな表現、気に入った表現などをメモリます。

 

ノートパッドやメモ帳にメモりますが、重要な表現などは、エクセルのまとめて自分の辞書も作っています。

 

1日に3~4ワードくらいしか追加できませんが、でも1年もやれば1000ワード(表現)くらいにはなります。

 

それほど集中してやっているわけでもありませんが、大事なのは、そのときそのときのキーワードやトレンド、流行りの表現のようなものを頭に入れることです。

 

あまり真剣に覚えようとはしません。なぜなら、半年後には聞かれなくなる言葉かもしれないからです。

 

でも、ポイントは、こういう作業を毎日軽くしておくことで、情報に敏感になるということです。

 

宝石白宝石白宝石白

 

これを30分ほどしたら、少し事務作業をしたり、ストレッチをしたりするのですが、その後、その日の業務に入る前に、Reutersで前日のアメリカ市場のサマリーを確認します。ここで要約英語の情報を頭に入れます。

 

私は、英訳をすることがほとんどないので、それほど英語の表現を覚えるために勉強するということはないのですが、それでも市場の感覚を身につけておくことで、海外の情報を日本語に訳すとき、その雰囲気をなるべく日本語に乗せられればと思って、英語の情報もかならず読みます。

 

英語の情報を読むのには、他にも目的があります。それは(英語の勉強という意味合いもありますが)、やはりメディア(媒体紙)による報道内容の違いもあるかり、その違いを把握するためです。

 

報道は、それぞれの媒体で内容や視点が違ったりするもので、私は性質の違う媒体を複数チェックしています。

 

媒体はさまざまありますが、読める時間が限られているので、日本語と英語とで性質の違う媒体を選んで読むことで、言語的な勉強をすると同時に、異なる角度から同じ情報を見るという一石二鳥を狙っています。

 

時間があるときは、Reutersの記事を写経したりします。

 

さらに時間がるときは、これをスペイン語やポルトガル語など、私が扱っている他の言語でもしたりします。

 

写経ももちろんやります。スペイン語やポルトガル語など、日本語と英語以外の言語は、より積極的に写経をするようにしています。日英と比べると、まだまだ未熟なところもありますので。

 

仕事で、スペイン語訳やポルトガル語訳をする機会はあまりないので、それほどやる必要性は現場ではないのですが、しかしいつ要請が来てもいいように、やはり最新の言語感覚は身につけておかなければならないと思っています。

 

宝石緑宝石緑宝石緑

 

暇なときは、こんなふうに情報収集を兼ねた勉強・スキルアップのトレーニングを自分でしつつ午前中を過ごします。

 

午前いっぱい、こういう時間に使ってしまうことも結構あります。

 

そして、私が欠かさないのは、夕方、東京市場の大引け後、東京市場の報道が出てからです。

 

主に日本経済新聞の市況を読みますが、それに関連して、そのひ相場を動かした情報を中心に、日経新聞の記事を読み、1つか2つは写経をします。

 

日本語の写経も欠かしません。

 

これもだいたい30分くらいです。

 

以上のように、私は財務・金融の仕事をしている関係もあり、ほぼ毎日情報収集をしており、それと同時に言語感覚のスキルアップのための自主トレもしています。

 

これは、野球選手であれば、毎日バッティング練習をしたり、守備練習をしたりといった、毎日のトレーニングのようなものだと思っていただければよいと思います。

 

これをやっておかないと、実際の試合(翻訳の仕事)で、思ったような成果を出せずにゲームオーバーとなってしまうのです。

 

つまり、「ここでどういう表現を使うのがいいのか?」「こんなとき、腕のあるライターならどんなふうにいうのだろうか?」と悩む場面で、より満足度の高い解を出せるか出せないかの分かれ目になってしまいます。

 

上で紹介した、私のスキルアップ法と言いますか日々の勉強は、多いときにはこれくらいやっているという事例です。

 

しかし、少ないときでも(最低でも)、用語・表現チェックを兼ねた情報収集は、少なくとも30分はやります。これはとても大事だと思っています。

 

朝、起きがけの寝ぼけた頭を覚ますという意味合いも大きいですし、やはりこの30分が日々のパフォーマンスに大きく影響を与えていると思います。

 

そして、1年、2年経ったときに差も大きいと思います。

 

仕事として翻訳をやっていくうえで、今たくさん仕事をすることも大事ですが、将来のためにスキルを上げていくこともとても重要だと思います。

 

今、スキルアップに使っている午前中の時間が、将来の午後の時間にやる作業の質に、大きく貢献するはずです。

 

やるとやらないのとでは、随分と違います。

 

 

Unsplashmk. sが撮影した写真

 

 

スキルアップ・勉強法のポイントをまとめてみたいと思います。

 

ポイントは4つあります。

 

・毎日短時間やること

15~30分くらいが、毎日やるには適当。それ以上やろうとすると、毎日は無理。

 

ダイエットもそうですが、まとめてやろうとするので、普段やらなくなるし、時間が取れずにやらなくなるのです。時間がないときでもできるような、15分とか30分くらいのメニューを考えるのが必須。

 

・毎日起こることに勉強(スキルアップ)を絡める

私の場合、市場の情報収集という、毎日やらなければならないタスクに勉強を紐づけている。毎日起こることに関連づけないと、わざわざやらなくなります。

 

ダイエットでも、毎日の習慣になっていることにダイエット効果のある動きを絡めるのがお薦め。

 

・自分の悩みの解決につながるようなポイントに対処するようなことをやる

私の場合は、自分の表現力の乏しさが悩みだったので、表現力磨きや語彙力アップを狙って、情報収集をしながら気になった表現や用語ピックアップしてノートにつけるといことをやっています。闇雲にスキルアップするのではなく、悩みを洗い出してから、それに重点的に取り組むと、短時間で集中してやれるスキルアップ法が見つかると思います。

 

ダイエットでも、どの運動が何に効果を発揮するのか、目的意識を持っていると随分と効果が違いますし、継続しやすいです。

 

・あまり根詰めてやらないこと

私の業界の場合、展開が早すぎ、日進月歩であり、まともに頭に入れたところで、来年には使えなくなるような情報も多いので、あまり覚えようとせず、情報を浴びることで、どこかに引っかかっていればいいなぁくらいの考えでやっています。実務の世界は、じっくり頭に入れて1年後に使えるなんてことはあまりないので、とにかくスピーディーに、じっくりやることに拘らずにやった方が、実務的であり、かえって効果的だと思います。

 

これ、ダイエットでは最も大事なポイント。今日1時間やっても、30分しかやらなくても、実はたいして効果に変わりはないんです。だったら、楽な30分で終えたっていいんです。よくないのは、やらないこと。

 

宝石紫宝石紫宝石紫

 

最後に、私が金融系の情報収集に活用しているリソースを紹介しておきます。

 

これは直接参考にならないかもしれませんが、自分の仕事のリソース探しの参考になればと思います。

 

Reuters | Breaking International News & Views

 

日本経済新聞 - ニュース・速報 最新情報 (nikkei.com)

 

(その他、各新聞社の記事は斜め読みしていますが、上の2つは毎日チェックします)

 

おはようマーケット|マネー・投資|ラジオNIKKEI (radionikkei.jp)

 

(ラジオは、市場のみんなが知っている情報を把握するのに役立ちます)

 

Twiter

(Twitterでは、新聞社やファンドなどのアカウントをたくさんフォローしています)

 

以上は、日本語と英語のものだけですが、他にも私の場合はフランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、カタルーニャ語(仕事で扱うので)の情報も随時チェックしています。

 

ホームページでじっくり情報を読むというよりは、目に入る情報をざっと頭に入れる程度です。

 

その意味で、Twitterはかなり活用していますし、有用だと思います。

 

ただ、注意点は、新聞社やTwitterの情報は、必ずしも正しいとは限らないことです。

 

ゆえに、私はたくさんの情報源を参考にしていますし、それに基づいてああだこうだいう発言はしていません。

 

また、翻訳するときに、自分で収集した情報に基づいて翻訳をするということもありません。

 

翻訳をするときは、あくまで原文を提供してくださったクライアントの情報を元に翻訳をしています。

 

自分で情報収集するのは、言語的なセンスを身につけるためです

 

もちろん、個人的な判断に使うことはあります。仕事では使いませんが。

 

 

以上、何かの参考になれば幸いです。

 

とにかく、情報が流れるスピードが速いので、今の翻訳者は、そのスピードにいかに乗れるかだと思います。

 

1年間かけてじっくり勉強してから翻訳をする、なんてのは、現実的ではありません。

 

じっくり勉強なんかしないで、どんどん勉強することです。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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