ベルリンのホテルの水槽が爆裂した記事を自動翻訳させてみたら予想を超える誤訳をしてきた! | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

ベルリンのホテルの水槽が爆裂した記事を自動翻訳させてみたら予想を超える誤訳をしてきた!

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みなさんは

ベルリンのホテルで

ロビーに設置されていた

鑑賞用の巨大水槽が破裂して

負傷者も出た事故のニュースを

ご存じですか?

 

現地時間の16日早朝に起きたそうですが

1000トン以上の水と

1500匹以上の魚が

ホテルの外の通りまでぶちまけられるという

大惨事になったそうです

 

独ホテルで巨大水槽が破裂 大量の水と熱帯魚が道路に(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

 

 

私もインターネットのニュースで

知ったのですが

そのあと

いろいろとTwitterを見ていたら

こんなニュースのリツイートを発見しました

 

 

「ベルリン中心部にある水族館から」

 

 

先週公開された

私の連載記事で

「誤訳」についてお話をしましたが

 

その中でも

誤訳は必ずしも翻訳者が悪いわけではない!

というお話をしたと思うのですが

 

この記事は

明らかに翻訳者の間違いですね

 

ダメな誤訳です

 

 

ちなみに

先日の連載記事は

こちらです↓

プロの翻訳者が「誤訳」をしてしまう本当の理由【翻訳者のスキルアップ術】 - ENGLISH JOURNAL ONLINE (alc.co.jp)

 

 

 

しかも

この誤訳をした記事の新聞社は

編集部も悪い

 

恐らく

他の報道を見たり

状況をきちんと取材していれば

これが「ホテル」だったことは

明らかだったと思います

 

仮に

他人の報道をパクったとしても

大騒ぎになっていた

最大のポイントが

「ホテル」だったこと

 

つまり

普通の街中のホテルのロビーが

水浸しになったことが

ニュースだったわけです

 

そこがポイントであり

関心事だったのですから

取材した記者も

そのポイントをすっかり

落としてしまったわけです

 

ハチハチハチ

 

実は

翻訳の「チェッカー」って

そういうチェックの仕事もしたりします

 

チェッカーも

かなり時間のない中で

もらえる情報も限られているなかで

チェックをするのですが

 

多くの人が勘違いするところでもあるのですが

 

原文と訳文を突き合わせて

間違いがないか

誤字・脱字がだにかをチェックするだけ

だと思っている人が

かなり多いのです

 

チェッカーの仕事は

そういう単純な仕事ではなく

誤字脱字、文法的なチェックはもちろんのこと

事実関係や理論に破綻がないかを確認しながら

オーディエンス(ターゲット)が

難なく読めるか

読者の関心を引けるか

という観点から

文章が仕上げられているかを

確認しながらチェックをします

 

新聞社でいえば

編集者のような仕事です

 

ですから

チェッカーには

言語学的

翻訳業的な高いスキルだけでなく

業界の幅広い知識と

文章力

マーケティングの能力が

かなり必要となります

 

ですから

翻訳者よりは

数段高い技量が求められるのです

 

翻訳業界でも

そういうチェックなどを経て

訳文というものが

世の中に出されるわけです

 

上で紹介した新聞記事が

かりに

現地やイギリスの報道機関の記事を

翻訳したものを題材に掲載した記事であったとすれば

翻訳をした人にも

大きな責任はあると思います

 

ただ

ちょっと世界のニュースを見れば

あるいは

現地の誰かに取材をすれば

それが

「水族館」ではなく「ホテル」で起こった事故

あるいは事件だった

ということはすぐにわかるわけです

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

ところで

この記事が

海外の報道のパクリだと

私がここでいうには

根拠があります

 

それは

この「誤訳」です

 

それは

「水族館」という日本語を使っている点です

 

どう考えても

aquarium 

という単語を見たうえでの

報道としか考えられないのです

 

確かに

aquarium は

日本語では「水族館」

という意味もあります

 

しかし

aquarium という単語は

そういう

海洋生物を展示した公共施設

という意味にとどまらない

もっと広い意味を持つ単語なのです

 

端的に言えば

あれは

「水槽展示」

というものを指す単語なのです

 

生け簀とか

貯蔵するための「水槽」は

aquarium

とは言いませんね

 

しかし

ホテルの中に展示している水槽などは

aquarium 

と言います

 

水族館のように

鑑賞のための水槽です

 

でも

あれは

日本語で言う「水族館」

ではないわけです

 

日本語の記事を見て

あれは

江ノ島水族館とか

鳥羽水族館とか

加茂水族館のような

公共施設で起こった事故だと

思う人が圧倒的多数だと思います

 

そういうふうに

読者に誤解をさせた時点で

翻訳は「誤訳」となるわけです

 

翻訳者としても

事実関係をしっかりと確認してから

翻訳すれば

「水族館」

と訳すことはなかったでしょう

 

ちょっとした調査を

するかしないか

それだけの話なのです

 

実は

翻訳者のなかには

そういうちょっとした調査をしないひとが

とても多い

 

いくら時間がないからといっても

それくらいの調査は

10秒か20秒くらいでできます

 

この誤訳が

翻訳者のものであるとすれば

翻訳の仕事の基本中の基本である

「調査」

を怠った

ということになります

 

それなら

機械翻訳で十分なわけです

 

ここが

人間の翻訳者が必要とされるか

機械翻訳に仕事を取られてしまうかの

境目があると思います

 

ちなみに

機械翻訳は

この辺の選択を

自主的にすることは

まだできません

 

いろいろな情報を与えてあげないと

「水槽」と「水族館」の訳しわけは

無理です

 

上の新聞社

もしかしたら

海外の記事を

機械翻訳にかけてしまったのかもしれません

 

あるいは

安い翻訳者に

頼んでしまったのかもしれません

 

Twitterの自動翻訳を使っても

もしかしたら「水族館」と

訳してしまうかもしれませんね

 

とにかく

機械だろうが人間だろうが

翻訳をするときには

文字だけを機械的に変換するだけでなく

背景情報やご時世など

いろいろなことを

総合的に判断して

訳語や表現を選択することが

必要なのです

 

翻訳をしている方は

是非

その点も気をつけていただきたいと思います

 

また

翻訳を発注する人は

やはり

信頼できる翻訳者に依頼することを

お勧めします

 

仮にそれが

たった20文字のヘッドラインであろうとも

 

宝石ブルー宝石ブルー宝石ブルー

 

最後に余談ですが…

 

ここでふと思い立って

Twitterの自動翻訳に

翻訳させてみました

 

「aquarium」を

Twitterはどう翻訳するんだろう・・・

と思って

 

そしたら

衝撃の事実!

 

 

巨大な水族館が

オープンしてしまったみたいですww

 

これが

今の自動翻訳の限界ですね

 

aquarium を「水族館」と

誤訳するとは予想していましたが

その私の予想をはるかに上回る誤訳をしてきましたね!

 

 

今日も最後までお読みくださり

ありがとうございました

 

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