キルギスタンからスタンがなくなった理由 | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

キルギスタンからスタンがなくなった理由

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昨日、キルギスタンのお話をしました

 

もとい、「キルギス」ですね

 

まだお読みでない方は

こちらからどうぞ↓

 

「キルギスタン」はどこに行った?(プロの翻訳者が気を付けなければならないこと)

 

 

この記事を書いていて

気になったことがあります

 

それは…

 

そもそもなぜ

1993年に

キルギスタンからキルギスへ

国名が変更になったのでしょうか?

 

その点について

あまり多くの解説は

見当たりませんでした

 

国名が正式に変更された1993年の2年前

1991年にソビエト連邦から独立して

キルギスタン共和国

Кыргызстан Республикасы

となったのですが

 

なぜそのときに国名が変更されたのか…

当時どういう運動があったのか…

 

裏付けとなるような資料は

ざっとウェブで探したところでは

見つかりません

 

ロシア語やキルギス語が読めれば

見つかるのかもしれませんね

 

悔やまれます!

 

言語が分かるって

ほんと大事ですね

 

ハチハチハチ

 

根拠が示されていないので

信憑性のほどは分かりませんが

それらしき説明は

いくつかありました

 

まず

「スタン」という言葉自体が持つ意味によるもの

 

「スタン」-stanとは

ペルシャ語由来の言葉で

あのあたりの地名に多いそうです

 

意味は「~が多い場所」

 

キルギスは

過半数はキルギス人であるものの

次に多いのがウズベク人

その次がロシア人と

やはり多民族国家なのです

 

ソビエト時代の名残ということもありますが

ロシア語はキルギス語とならんで

公用語です

 

こういった少数民族に対する配慮から

「スタン」(~が多い場所)という言葉を削除した

という説です

 

この「スタン」という言葉は

現代ペルシャ語では

estan(エスターン)だそうで

-istan

-estan

-stan

などと語尾につく地名が多いようです

(接尾辞)

 

確かに

国名でも

あのあたりには「スタン」が付く国が

多いですね

 

とはいえ

正式な国名になっているのは

6つだけ

 

パキスタン

アフガニスタン

ウズベキスタン

カザフスタン

タジキスタン

トルクメニスタン

 

これに

キルギスタンを入れれば

7つですが

キルギスタンは通称として認められている国名で

正式国名ではない

とされているそうです

 

ただ

英語ではなく

他の言語では

国名に「スタン」が付く国が

もっとあるようです

 

たとえば

ペルシア語で

サウジアラビアは

「アラベスターン」

عربستان/Arabestan

 

アルメニア語で

中国は

「チナスタン」

Չինաստան/Chinastan

 

トルコ語で

セルビアは

「スルビスタン」

Sırbistan

(ペルシア語もスルビスタン)

 

他に

地方名などを含めれば

「スタン」が付く国が

たくさんあります

 

たとえば

ロシア連邦の

バシコルトスタン共和国

などもありますね

 

気になる方は

Wikipediaにも載っていましたので

読んでみてください

 

スターン (地名) - Wikipedia

 

UnsplashIrene Strongが撮影した写真

 

 

キルギスタンから「スタン」が取り除かれた理由として

他にあった説は

政治的なものです

 

1つは

ソビエト時代の影響を減らす狙い

というもの

 

キルギスタンという国名は

ソビエト連邦の遺産であるため

そのイメージを払拭しよう

という意図があったと言います

 

もう1つは

「スタン」の持つ悪いイメージを払拭する狙い

 

具体的には

「アフガニスタン」のことのようですが

たしかに

「スタン」の付く国は

あまり政情が安定しておらず

混乱しているイメージがあります

(根拠のない個人的見解ですが)

 

これは

「尊厳」(アル=ナムィス(Ар-Намыс))

という政党の提唱とのことです

 

ただ

この説はちょっと信憑性が低くて…

 

この説を見つけたのが

こちらの記事なのですが

'-Stan' At Its End In Kyrgyzstan? (rferl.org)

 

 

Radio Free Europe/Radio Liberty (rferl.org)

が2014年9月18日に掲載した記事でして

 

「次の国民投票で『スタン』の除去について問う」

と書いてあるのです

 

私はすでに「スタン」が正式に除去されているものと

思っていましたので

ちょっと混乱しています

 

記事の読み方が悪いのか

キルギスの国自体の経緯(歴史)を私が知らないので

もしかしたら「キルギスタン」に戻っていたのか

あるいは

まだ国全体で認められていなかったのか!?

 

何か経緯があっての記事だと思いますので

またよく調べて

何かわかりましたら

お知らせしたいと思います

 

ただ

「スタンを除去したい」

という思いがあっての

スタン除去だと思いますので

こういう政治的な意図があった

というのもうなずけます

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

以上を踏まえると

他の「スタン」諸国では

そういう動きはないのか?

ということですが…

 

実際にあったようです

 

カザフスタンなど

他の国でも

特に以前のソビエト連邦の国々では

とくに

「スタン」を取り除こう

という話はあったそうです

 

しかし

ほとんどの場合

ある問題点がネックとなり

実現していないようです

 

それは

「お金がかかる」

ということ

 

お金だけでなく

銀行券や

さまざまな表記を変更するのに

お金だけでなく

手間も時間も労力もかかります

 

資源が無駄になる

とうこともあるでしょう

 

そういう問題のほうが

変更した効果よりも大きいということで

積極的に国名を変えようという動きには

なっていないようです

 

そう考えると

1993年に国名の変更に踏み切ったキルギスは

すごいですね

 

ちなみに

「キルギス」とは

キルギス語では「クルグス」と発音し

「40」を表すкырк(クルク)

が語源だそうです

 

つまり

40の民族を指すのだそうです

 

 

こちらは

キルギスの国旗ですが

この国旗の意味は

中央の丸は太陽で

太陽から出ているヒダヒダは

太陽光線を表していて

40本あるそうです

 

40の民族のことを指しているのだそうです

 

(参考:キルギス共和国|東京都立図書館 (tokyo.lg.jp)

 

そうすると

国名を変えた意図と国旗が表すものは

ちょっとずれている気もします

 

そこは気になりますが…

 

それはともかく

そもそも

キルギス人自体が多民族だった

ということですよね

 

そういう意味でも

民族の多様性について寛容だったということも

国名変更に踏み切ることができた

ひとつの大きな要因なのかもしれません

 

国境がますますあいまいになりつつある今

アイデンティティとしての民族性は

大切にしながらも

民族とは関係なしに

相手を受け入れるという寛容性は

高めていきたいと

個人的には思うこの頃です

 

 

最後までお読みくださり

ありがとうございました

 

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