単価引き下げ競争の渦に巻き込まれない仕事のしかた | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

単価引き下げ競争の渦に巻き込まれない仕事のしかた

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仕事をするとき

特に

フリーランスの翻訳者などは

自分の価値を高めるような仕事をしなければ

いずれ

誰かに自分の仕事を奪われてしまったり

あるいは

今であれば

その奪われる相手が

機械(AI、ロボット)だったりするわけです

 

翻訳の世界も

その厳しい世界のひとつであり

その競争相手については

機械の存在が取り沙汰されます

 

Google翻訳などの

機械翻訳(自動翻訳)の存在です

 

「自動翻訳が完成したら

いずれ翻訳者は要らなくなるんじゃない?」

 

「翻訳者はいずれなくなる職業」

 

などと

言われるのを

よく耳にするのではないでしょうか

 

そして

このような主張に対して

(特に翻訳者の側から)

 

翻訳は完全に自動化(機械化)することはできない

だから

人間の翻訳者の仕事がなくなることはない

という

反論もあちこちで

見受けられます

 

私も

そういう主張をすることがあります

 

ただし

それは

無条件に仕事がなくならない

という意味ではありません

 

翻訳者も

ぼーっとただ仕事をしていては

いずれ仕事がなくなってしまう可能性はあると

私も思っています

 

その前提として

 

翻訳を発注する人

あるいは

翻訳会社は

常に低コストで高品質の翻訳を求めている

という背景があります

 

特に営利事業をやっている人であれば

この意識はなくならないでしょう

 

ですから

ただ翻訳をしているだけでは

この「競争」の渦に巻き込まれてしまうのです

 

つまり

「単価引き下げ競争」の渦中の人に

なってしまうわけです

 

言い換えると

仕事がいつまでもなくならないでいるためには

この需要に応える必要が出てきます

 

つまり

同じ質の仕事をする人が2人いた場合は

単価の安い人に仕事が行ってしまう

というわけです

 

これは

多くの翻訳者の求めることとは

正反対の流れです

 

つまり

多くの翻訳者は

単価を引き上げたいわけです

 

ところが

発注する側の求めるものは

その逆

単価の引き下げです

 

ただし

これは

発注者側の要求の

「単価」という1つの側面を見た場合の話

 

発注者の要求には

もう1つの側面があります

 

それは

「高品質の翻訳」

 

同じ単価の翻訳者がいれば

質の高い人に仕事が流れていくわけです

 

ですから

「単価の引き下げ」をしたくなければ

他人よりも高品質の仕事を提供すればよい

というわけです

 

ここでのポイントは

「他人よりも」

という点です

 

この「他人」が誰なのか

はっきり見えないところが難しいわけで

ゆえに

誰か正体の見えない人よりも

質の高い仕事をするために

目に見えない努力を

常にしていなければならない

ということになります

 

これを怠ると

その目に見えない「他人」に

仕事を奪われることになります

 

ハチハチハチ

 

「他人よりも質の高い仕事をする」

とは

言い換えると

「他人のできない仕事をする」

ということになります

 

逆に

他人ができる仕事をしていては

自分の市場価値は

単価の安さしかなくなるわけで

安い人に仕事が回されてしまいます

 

これはなにも

翻訳の世界だけの話ではありません

 

たとえば

電話交換手の仕事はなくなりましたし

改札で切符を切る駅員の仕事もなくなりつつあります

 

さらに

最近では

スーパーやコンビニの

レジ打ちの仕事も淘汰されつつあります

 

以前は

これは

「単価の安い人」との競争でしたが

現代では

ご存じのように

その競争相手は主に「機械」です

 

翻訳業の場合

この「機械」という相手は

上記の業界に比べると

まだ未熟であり

まだまだ

人間の翻訳者の方に

分があるようです

 

そして

他の業界ほど

機械ができる部分が

もしかしたら大きくないかもしれません

 

しかし

現在の翻訳業界を見ていただければ

お分かりのように

機械は着実に市民権を得てきています

 

人間の手が必要であり

人間の手が不要となることは

もしかしたらないかもしれませんが

それでも

翻訳の機械の発達で

仕事を失ってしまう人は

一定数出てくると思います

 

それは

機械と同じ仕事をしかできない人

です

 

え?

そんな人いるの?

 

と思われたかたも

いらしゃるかもしれませんが

実は

多くの人が考えている

「翻訳者の仕事」は

機械翻訳でできるレベルの話なのです

 

つまり

多くの人が

翻訳の仕事は

機械翻訳にかけて訳文を出す程度の仕事

と勘違いしているのです

 

機械翻訳を導入することで

翻訳のコストを下げようとしていますよね

 

これは

翻訳の仕事の

ほんの一面しか見えていない人の考えです

 

機械でできてしまうと思っている人が

多いのです

 

しかし

現実には…

 

特に機械翻訳のみの翻訳を依頼したことがある人は

お分かりだと思いますが

機械翻訳だけでは

現場で使える文書は

手に入らないのです

 

人の手がかなり必要です

 

これは

機械が未熟だ

ということも

要因のひとつにありますが

 

実は

それだけではありません

 

翻訳は

機械(デジタル)のように

1+1=2

(デジタルなら1+1=10でしょうか)

という風に

原文を機械に入れて

1通りの訳文が得られる

というふうには

いかないという現実があります

 

つまり

1+1=0

であったり

1+1=3

であったり

あるいは

人によっては

1+1=田

という答えを求めている場合も

あるのです

 

そこを

発注者との対話や

時代の流れ

分野や

言語の特性

などなど

さまざまなものの「温度」を測りながら

発注者の期待に応える訳文

あるいは

発注者の期待を上回る訳文を出す

という仕事

 

それが

翻訳の仕事であり

これは何も

未来の仕事とか

クリエイターの仕事とかではなく

今も昔も

ずっと人間の翻訳者がやってきたことなのです

 

これは

翻訳者以外の人は

分からないかもしれません

 

分からないけど

翻訳を発注してみたら

なんだか素敵な訳文が返ってきて

満足した

という話だったのかもしれません

 

それを

一般の人は

「質の高い翻訳者」

と言うのです

 

その質の裏付けは

英語力の高さや

語彙力の多さや

翻訳歴の長さなど

ではありません

 

これらの言語的要素は

技術的な裏付けとしては

必須の要素ですが

翻訳自体の質の裏付けの

ほんの一部でしかありません

 

翻訳の質の背景にあるものは

これ以外のもの

翻訳者が持っている

背景知識

業界の慣習についての知識や経験

原文を読み取る力

発注者の希望を読み取る力

など

「人間性」に依存する部分が

私に言わせれば

半分を占めていると思います

 

この

「人間性」の部分を

しっかりと翻訳に反映できる人が

機械にはできない仕事をできる翻訳者であり

機械に仕事を取られないようにするためには

この点がとても重要になります

 

 

Photo by Bench Accounting on Unsplash

 

 

話しが少し大きくなってしまいましたが

「他人のできない仕事をする」

あるいは

これからの時代であれば

「機械のできない仕事をする」

これを意識しないと

仕事がなくなってしまうでしょうね

 

これができない人は

最初に話したように

単価引き下げ競争の渦中の人に

ならざるを得ません

 

実は

多くの翻訳者が

今すでに

この渦中にいて

単価引き下げ圧力に

苦しんでいるようです

 

それを

「けしからん流れだ!」

と声を上げるのも

いいとは思いますが

根本的な解決にはならないと思います

 

なぜなら

 

常に低コストで高品質の翻訳を求めている

 

これがあるからです

 

翻訳業界で生き残るためのポイントは

これを「けしからん」

と言うのではなく

「他人のできない仕事をする」

「機械のできない仕事をする」

ということです

 

少なくとも

健全な「市場経済」のなかでは

何の取り柄もない一般のフリーランス翻訳者が

単価引き下げ競争に巻き込まれずに

仕事を他人や機械に奪われずに

ずっと続けていくには

「他人のできない仕事をする」

という基本を忘れてはいけないと

強く思います

 

 

最後までお読みくださり

ありがとうございました

 

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