【今さら聞けない…】「しゃ」はshaかsyaのどっちが正しい? ローマ字の綴り方のルール
日本語のものを
アルファベットで書くときの綴りって
悩むことってありませんか?
喜多川歌麿 - from en:, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=534316による
たとえば
三味線
syamisen?
shamisen?
新幹線
sinkansen?
shinkansen?
抹茶
mattya?
macha?
matcha?
本間さん
Honma san?
Homma san?
特に
人の名前は
その人によっても
スペルのしかたが違ったりして
迷うことがよくあります
小学生のときでしたかね・・・
私も学校で「ローマ字」を習ったのですが
そのときは
日本語の50音表にあてはめた
ローマ字表で覚えたものです
多くの人がそうだと思います
その方式は
「訓令式」と呼ばれているのですが
実は
パスポートなど
日本の公文書で使用が推奨されているものとは
ちょっと違うんです
パスポートなどでは
「ヘボン式」
と呼ばれる綴り字の方式が使われます
聞いたことがある人も
多いのではないでしょうか・・・
これは
学校で習うのローマ字とは
ちょっと違うのです
だからよく分からない・・・
困りますよねぇ
実はこの日本式ともいえる「訓令式」よりも
「ヘボン式」の方が先にあったのです
ヘボン式は
江戸時代末期に来日した
ヘボンさんが考案したものであり
「訓令式」の綴りは
昭和12年内閣訓令第3号で定められたもの
だそうです
ヘボンさんよりも
随分と後のことなんですね
要するに
ヘボン式は
日本語の音がラテン語に近いので
そのラテン語の綴りを基本として
決めた綴りのようです
それに対して
訓令式は
綴りに重点が置かれて作られたもので
ですから
簡単に言えば
あいうえおの五十音表にあてはめて
系統立てて作られた綴り
ということのようです
ですから
音と綴りが
必ずしも一致しないところが出てくるわけです
たとえば
「新幹線」
ヘボン式は
Shinkansen
訓令式は
Sinkansen
日本語の「し」の音は
英語の si ではなく
she に近いわけで
sinkansen
と書くと
「すぃんかんせん」
になってしまいます
音と綴りが
食い違っています
ヘボン式のほうが
実際の音に近いというわけです
Shinkansen
JRなどでは
こちらの綴り(ヘボン式)ですね
JRの駅名も含め
ローマ字表記はヘボン式のようです
他にも
食い違いが結構あります
私が今住んでいる
「鶴岡市」は
ヘボン式では
Tsuruoka
と綴りますが
訓令式だと
Turuoka
「とぅるおか」
と読まれてしまうわけです
ま
「つ」は
アメリカ人には
とても難しい音のようですがww
語尾などの「つ」は
難しくないのですが
語頭にくる「つ」は
難しいようです
特に
tsu というスペルを見ても
なかなか「つ」とは
すんなり読んでもらえません
話しは逸れますが
私がライティングを教えてもらっていた
チューターはアメリカ人で
初めて私の作文を見たとき
Tsuruoka の紹介を書いたのですが
この文字を読むのに
一苦労していました
とぅすぅるーおーかー
とはいえ
Turuoka と書いていたら
確実の
とぅーるーおーかー
になっていたわけですから
まあ
いずれにしても
難度の高い言葉だったのは
間違いありません
話はそれましたが
ローマ字の綴りには
訓令式とヘボン式の2通りがあるので
それが
悩むことが多い理由なわけです
ご自身の名前にも
悩みの種となる音が入ってる方も
多いかと思います
人によって
スペルがバラバラでは困るので
日本政府などの公文書では
「ヘボン式」を使うように
指示されています
パスポートは
ヘボン式でなければだめだったような気がします
違いましたっけ?
パスポートの場合
特に海外で身分証明書として使うときには
自分が書く名前とパスポートのスペルが
全く同じでないと
とんでもないトラブルになります
伊藤さんが
パスポートは ITO なのに
書類に自分で ITOH と書くと
トラブルになるのです
名前が違う!
といって
認められません
「そんな大げさなぁ」
と言う人もいるかもしれませんが
海外ではスペルの違いは
一大事です
名前だけでなく
都市の名前などもそうです
私は
あちこちの街の観光案内など
日本の固有名詞をアルファベット化しなければならない場面が
よくあります
そういうとき
基本的には
「ヘボン式で」
と指示されます
政府がヘボン式を使う方針だからでしょうね
指示がない場合は
発注者に確認をとります
それくらい
スペルは大事です
だから
政府も
「ヘボン式」
と統一を徹底するのだと思います
今は
訓令式よりも
ヘボン式のほうが一般的のようです
そうなると
なぜ、昭和12年に訓令式をわざわざ制定したのか
実務上の疑問は残りますが・・・
ともかく
今は、名前や地名などを表記するときには
我々が学校で習った綴りではなく
ヘボン式を使うことになっていますので
注意が必要です
特に間違いやすい点を
ここで簡単にご紹介しておきましょう
(これだけではありませんが)
しゃ、しゅ、しょ
sha, shu, sho
※これは訓令式のsya, syu syo と間違える人が多いです
つ tsu
tu
じ ji
zi
※築地は
Tukizi
ではなく
Tsukiji
です
ちゃ、ちゅ、ちょ
cha, chu, cho
tya, tyu, tyo
※これによると
抹茶は
macha
とか
maccha
になるはずなのですが
matchaと綴られることが
多いようです
これは
ヘボン式でも例外ですね
じゃ、じゅ、じょ
ja, ju, jo
zya, zyu, zyo
※神社は
zinzya
ではなく
jinja
です
それから
間違えやすいのが
Homma さんのように
「ん」が間に来るときのスペル
Homma
Honma
※これは
m, p, b の前にくる「ん」は
N ではなく M で綴るのが
ヘボン式では
基本ルールとなっています
ですから
本間さんは
HONMA ではなく HOMMA
「ん」の次に
他のスペルがくるときには
Nで綴ります
Enka (演歌)とか
Donki (ドンキ)とか
「ん」の次がm, p, b でないので
N です
赤ちゃん本舗という
ベビー用品の会社がありますが
この会社の英語表記は
Akachan Honpo Co., Ltd.
だそうで
これは
ヘボン式ではありませんね
あ、
でも会社がそう決めているのだから
Akachan Honpo
でいいのであり
会社が間違っている
とは言えません
ただ、すべてをヘボン式で書けば
Akachan Hompo
となります
Akachanはもともとヘボン式ですね
訓令式で書けば
Akatyan Honpo
となります
それから
大崎(おおさき)のように
「お」が重なっていたり
長音の場合
Ôsaki
JRの駅名表では
Ô のように、屋根がついています
しかし
お名前などを書くときには
一般的にはこの屋根記号は
付けないことになっています
ですから
大崎さんは
Osaki
となります
Ôsaki
(JRとはちょっと違うので要注意)
王さんも
Oさん
となります
プロ野球のレジェンド
王貞治さんは
OH
とスペルしているようです
ま
このように
人名の場合は
その人によって違うこともあるようで
特に、王さんはOhさんとすることが多いようです
しかし
それ以外の場合は
今は長音に H は入れないようになっています
たとえば
伊藤さんも
Itoh と書く人もいると思いますが
一般的には
Ito
と書くようにとされています
東海もTohkaiではなく Tokai です
しかし
「いい」は II と、Iを重ねることになっています
新潟は Nigataではなく Niigata
飯田橋は Idabashi ではなく Iidabashi
です
以上が最も間違いやすい点を
網羅できたかと思います
このほかにももう少し詳しいルールがあります
詳しく興味のある方は
外務省が「ヘボン式ローマ字綴方表を出していますので
参考にしてみてください
今日も最後までお読みくださり
ありがとうございました
よろしければ最後に
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