「姉妹都市」はなぜ「兄弟」ではなく「姉妹」なのか? それは戦争と関係がありました | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

「姉妹都市」はなぜ「兄弟」ではなく「姉妹」なのか? それは戦争と関係がありました

先日、

姉妹都市関係の仕事をしていたところ

ふと思ったのですが・・・

 

「姉妹都市」って

なぜ「姉妹」なのか?

 

英語でも

sister city

と言います

 

ちなみに

スペイン語でも

ciudad hermana

(姉妹都市)

 

ですが

 

フランス語では

villes jumelée

(双子都市)

 

と言います

 

ハチハチハチ

 

まあ

日本語の「姉妹都市」は

英語から来ているのだろう・・・

と思い

英語の語源を調べてみました

 

 

ところが

なぜ「姉妹」なのか

決定的な語源が

分かりません

 

ネットや辞書で調べたところ

いくつかの説は出てきました

 

ただ

どれも自信をもって「語源」と言えるものは

ないようでした

 

1つ目の説は

「city」という単語が女性名詞だから

というもの

 

確かに

名詞に性別のある欧州言語では

「市」は女性名詞であることが多いです

 

スペイン語で

市はla ciudad

女性名詞です

 

ですから

ciudad hermana

(姉妹都市)であり

兄弟都市にはならない

というのは納得いきます

 

フランス語も

la ville

女性名詞です

 

でも

なぜ「姉妹」なのか?

 

つまり

兄弟ではなく

しかも

双子でなく

親子でもなく

姉妹・・・

 

年齢の上下がある

姉妹・・・

 

その辺は

具体的には

よく分かりません

 

宝石緑宝石緑宝石緑

 

別の説に

 

「姉妹都市の関係」

を表す

sistership や

friendship といった言葉の

-ship という単語が

「船」という意味で

英語で「船」は女性名詞だから

sister が使われる

というものもありました

 

ship(船)は

英語では

女性とした扱われるのです

 

それは確かにそうです

 

船を代名詞で表すときは

she

です

 

しかしこの説は

ちょっと違うようです

 

まず

sistershipとかfriendshipのshipは

「船」ではないようです

 

-shipの語源は

「質、条件、状況、地位、関係」

といった意味合いの

中期英語(Middle English、11~15世紀)

-schipe

だそうです

 

「船」のshipは

古英語の頃から

「scip」

だったそうで

この音になってから

歴史がずっと古いようです

 

その語源は

ゲルマン祖語にまで

遡るようで

恐らく

別系統の単語ということになると

思います

 

-ship | Origin and meaning of suffix -ship by Online Etymology Dictionary (etymonline.com)

 

 

「関係、状態」の意味のship(元schipe)は

ゲルマン祖語では

-skapaz

だそうで・・・

 

語感としては

似ているので

「船」という意味が

どこかに共通しているのかも

しれませんが・・・

 

英語のshipとしては

同じ単語ではないようです

 

少なくとも

sistershipのshipは

「船」という意味の「ship」という

接尾辞ではないようです

 

ですから

sistershipのshipは

「船」(女性)ではないのだそうです

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

語源としては

cityという単語自体が

女性名詞だという概念が

どこかにあるのかもしれません

 

しかし

少なくとも現代の「姉妹都市」については

やはり「兄弟」ではなく

「姉妹」だった理由が

歴史からわかるかもしれません

 

sister cityの歴史をひもとくと

近代の「姉妹都市」の起源のヒントが

第二次世界大戦にありました

 

イギリスの都市、コベントリーと

ソビエトの都市、スターリングラード(今のヴォルゴグラード)

との間で生まれたのが

「姉妹都市」の起源なのだそうです

 

つまり

スターリングラード攻防戦を受けて

コベントリー市の女性830人が

自分たちの名前と

「Little help is better than big sympathy」

というメッセージを添えた

テーブルクロスを

スターリングラード市に

贈ったのだそうです

 

これが「姉妹都市」という

友好都市関係の

最初の形だったのだそうです

 

このとき

思いを寄せて名前を書いた女性たちが

相手の市の女性たちを応援する意味で

「姉妹」

という概念を

取り入れだということなのです

 

まあ、

このエピソードを今考えると

戦時中のプロパガンダのような感じもして

なんとも

現代のコンセプトとは

ちょっとずれてしまっている気もします

 

でも

「姉妹都市」の最初の形は

これだったようです

 

ちなみに

ロシア語で「city」は

город(ゴーラッド)で

これは男性名詞だそうです

 

ということで

「姉妹」都市である理由が

「市」が女性名詞だから

というのは

この関係では成り立たないようです

 

やはり

女性同士の活動ということで

「姉妹都市」なのかもしれません

 

この

第二次世界大戦の

女性の交流活動が

その語源であることが

有力な説かもしれません

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

ところで

私が住んでいる

山形県鶴岡市の姉妹都市は

 

北海道木古内町

北海道名寄市

ニュージャージー州ニューブランズウィック市

 

です

 

このほかにも

友好都市や

兄弟都市があります

 

鹿児島県鹿児島市は

姉妹都市ではなく

兄弟都市

です

 

あえて

兄弟都市

 

海外では

「兄弟都市」

という盟約は

稀なようです

 

それは

もともと

このような友好関係の都市は

「姉妹都市」というコンセプトだったからでしょう

 

しかし

鹿児島市と鶴岡市は

「西郷の縁によって兄弟の契りを結ぶ」

という経緯があり

あえて

兄弟都市

とされています

 

沖縄市と豊中市も

兄弟都市だそうです

 

「いちゃりばちょーでー」の

精神だそうです

 

(出会った人はみな兄弟)

 

その他

英語でも

「姉妹」だと

上下が生まれてしまうので

Twin town

(双子都市)

とか

friendship city

(友好都市)

と呼んでいるところも

多いようです

 

フランス語では

そもそも

双子都市

という呼び方です

 

このように

呼び方はいろいろあると思いますが

国際的に2つの都市が

友好関係を結び

市民同士の交流をはかり

それぞれの都市の発展を促進するという

基本的な理念は共通しているようです

 

Photo by Patty Brito on Unsplash

 

 

余談ですが

私も

鶴岡市などの友好都市行事の

通訳をなんどか務めたことがあります

 

ニューブランズウィック市

ラフォア市(ニューカレドニア)などの

式典などの仕事は

とても楽しかった記憶があります

 

本当に

友好的な雰囲気で

ハッピーなイベントです

 

そんな機会に

再び恵まれればいいなぁと

願っています

 

今日も最後までお読みくださり

ありがとうございました

 

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