童謡「めだかの学校」と英語表現「a school of fish」は関係があるのか? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所

童謡「めだかの学校」と英語表現「a school of fish」は関係があるのか?

英語で

a school of fish

という表現は

ご存じですか?

 

この「school」は

「学校」という意味ではなく

「群れ」

という意味です

 

要するに

 

群れになっている魚の集団を指すときに

a school of fish

 

と言います

 

人だったら

a group of people

 

鹿の群れだったら

a herd of deer

 

鳥の群れだったら

a flock of birds

 

みたいな感じです

 

a school of fish

 

なぜ魚の群れは school なのか

 

疑問じゃありませんか?

 

私は

いわゆる学校(school)に

生徒がたくさん集まっていて

それが「群れ」の象徴として

「a school」が「群れ」の意味になったのか

と思っていました

 

ところが

違うようです

 

語源が違うそうです

 

うお座うお座うお座

 

そもそも

学習の場であるschoolと

「群れ」を意味するschoolは

お互いに無関係なのだそうです

 

ご存じの方も多いかもしれませんが

「学校」という意味のschoolの語源は

古代ギリシャ

 

スコラ学派とか

歴史の授業で出てきたのを

覚えている人もいるかもしれません

 

あるいは

倫理の授業でやったかもしれません

 

この

「スコラ」の語源は・・・

 

ギリシャ語の
 
σχολή
(skhole)
 
この単語の意味は
「空き時間」
「レジャー」
「休憩」
「暇」
「ぶらぶら遊ぶ時間」
といったものです
 
Online Etymology Dictionaryによれば
「スコラ」の元々の概念は
「レジャー」「暇時間」
であり
それが徐々に
「無駄な議論」
とか
「よけいな話し合い」
といった意味合いになっていくのだそうです
 
要するに
暇つぶし
というわけです

 

school | Origin and meaning of school by Online Etymology Dictionary (etymonline.com)

 

 

学校のschoolは

ギリシャ語の

skhole

が語源

ということです

 

一方で、

「群れ」の方の「school」の語源は

中期オランダ語の

 

schole

 

中期オランダ語とは

12世紀~15世紀くらいまでの

オランダ語のことを指します

 

発音は

恐らく「スコーレ」に近かったのではないかと

思います(推測)

 

この

schole

という単語は

「多数」「たくさんの」「大勢」

という意味だそうです

 

つまり

a school of fish

school は

「多数の魚」という意味となる

オランダ語の

schole

が語源

ということです

 

現代の英語に

shoal

という単語があります

 

これもschoolと同じ

「群れ」とか「多数」

という意味です

 

この語源も

同じオランダ語の

schole

だそうです

 

だから

「群れ」という意味の

school

shoal

同じ語源ということになります

 

だから

こちらには「学校」という意味は

まったくない

ということです

 

宝石緑宝石緑宝石緑

 

ところで

インターネットでぶらぶらしていると

こんな面白い記事を見つけました

 

Why Fish Don't Need to Be "Schooled" in Swimming - Scientific American

 

 

この記事は

群れで行動する魚が

はぐれずに群れで行動する

メカニズムについて説明したものです

 

Why Fish Don't Need to Be "Schooled" in Swimming

魚が泳ぎを覚えるために「学校に通う」必要がない理由

 
これはまさに
魚の群れを表すときに
school
という言葉が使われるということを前提に
洒落たタイトルです
 
それはそれでいいのですが
 
記事の中に
shoal と school の違いが
説明された部分がありました
 
 
shoaling, 
については
fish merely swim loosely together
 
つまり
魚がただ緩いまとまりで泳いでる様子
 
schooling
については
requires coordinated body positions and synchronized movement
 
つまり
秩序ある位置関係で、動きがシンクロした状態でなければならない
 
要するに
ただなんとなく
ぼーっと一緒に泳いでいるのは
school of fish
とは言わないわけです
 

Photo by Brent Storm on Unsplash

 

上の写真のような
ザーっと群れが同じ方向に
同時的に泳いでいるのが
a school of fish
 

 
こういうのは
厳密には
a school of fish 
とは言わず
a shoal of fish
と言う
ということでしょう
 
かたつむりかたつむりかたつむり
 
ちなみに
 
みなさんは

「メダカの学校」

という歌はご存じですか?

 

 

この歌のタイトルは

英語の

a school of fish

と関係があるとかないとか・・・

 

Wikipediaやその他のエピソードによると

この曲を作詞した

茶木滋さんの息子が

「大丈夫、またくるよ。だってここはメダカの学校だもん」

と言ったことが

定説とされていました

 

ということは

英語の a school of fish とは

関係がない

ということのようです

 

ただし、

どうやら

この作詞家のエピソードは

佐藤義美の創作である

とのことで

真相は分からないみたいな?

 

まあ

茶木さんは

薬剤師でもあったので

英語の知識は持ち合わせていたと思うので

もしかしたら

a school of fish

インスピレーションの一部に

あったかもしれません

 

ただ

本家本元の

school 

という単語は

「学校」の意味ではありませんので

 

英語的な視点からいうと

めだかの学校と

英語のa school of fish は

関係がない

という結論に

なろうかと思います

 

余談ですが

この「メダカの学校」には

英語版の「KILLIFISH」という曲があるそうですが

音源は見つかりませんでした

 

<参考>

めだかの学校 - Wikipedia

 

 

 

 

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