【悲報】ブッシュ・ド・ノエル という名前は間違い… 見落としがちなアクセント符号の意味
みなさんは
アクセント符号
ってご存知ですか?
アルファベットの上にチョンとある
ひげみたいな記号です
最近は
(最近というほどでもないですが)
街中で見られます
もしかしたら
e の上についているものは
ゴミか
ただの飾り
と思っている人も
いるかもしれません
でもこれは
タダの飾りではないのです
実はこれは
「アクセント符号」
または
「アクセント記号」
専門用語でいうと
「ダイアクリティカルマーク」
と言います
このアクセント符号には
é だけでなく
いろいろな種類があります
e の上につくもので
è や ë もあります
その他にも
a i u o
の上にもつきます
詳しくはWikipediaなどで
調べてみてください
アクセント符号は
英語の在来語には
使われません
ダイアクリティカルマークを使わない言語は
メジャーな言語では
英語だけです
「え、英語にもあるよ!」
とおっしゃられる方も
いらっしゃるかもしれません
その方たちは
英語をよく知っている方たち
確かに
英語でも使われる場合があります
例えば
resumé
café
naïve
など
他にもたくさんあります
でもこれらはすべて
外来語です
先ほども言いましたが
これはただの装飾文字では
ありません
ちゃんとした役割があります
言い換えると
ないとダメなのです
逆に
あるとダメな場合もあります
ダイアクリティカルマークは
日本語では
発音区別符号
とも呼ばれます
その名が示すように
この記号がつくと
発音が変わってしまうのです
また
その作用は
言語によっても
微妙に違います
この e の上についている記号は
アキュート・アクセント
Acute accent
と呼ばれます
「アキュート」とは
「鋭い」
という意味
ですから
アキュート・アクセントがついている e は
普通の e よりも
鋭く発音します
つまり
強く、短く
という感じです
もちろん
その発音のしかたは
言語によって微妙に異なります
でも
基本は「強く、短く」です
上記の
街中で見られるサインの例は
すべて
e の上にアキュート・アクセントがついています
だから
これらの e は
短く強めに「エッ」と発音します
偶然ですが
これらはすべて
フランス語の単語です
フランス語をしゃべっている人を聞くと
__ _ _ _ /
__ _ _ _ /
__ _ _ _ /
と
しり上がりになっているのが
特徴になっているのに
気付いた人もいると思います
これは
語尾の e に
アキュート・アクセントのついている単語が
多いから
とも言えます
スペイン語やポルトガル語でも
この符号は使われますが
こちらは
アクセントが語尾にくることは少なく
語尾の1つ前の音節にくることが
多いです
これが
これらの言語の特徴です
e の上にアキュート・アクセントがある単語は
スペイン語・ポルトガル語でも
アクセントを置いて強く読む
という指示になります
さっきのは
右上がりでしたが
こちらは右下がり
逆のマークです
こちらは
グレイブ・アクセント
Grave accent
と呼ばれ
「重く、長く」発音します
Graveとは
「抑音」
という意味があり
「重々しい、おごそかな」
という意味があります
この記号がついていたら
少し厳かに
ずっしりと発音してみましょう
こちらは
スペイン語には存在しません
スペイン語では
アクセントをどこに置くか
ということが重視されますが
e の音を
鋭く言うか
おごそかに言うか
という区別はないのです
ポルトガル語でも
その点はあまり気にしないのですが
イタリア語やカタルーニャ語では
結構気にします
「コーヒー」は
フランス語では
café(キャフェ)
一方
イタリア語で
caffè(カッフェ~)
私がイタリアで
イタリア語の勉強をしていたとき
「カフェ」
と、「エ」を短めに
フランス語のようなアキュートな音で発音したとき
「それは caffé ではなく caffèだよ」
と注意されました
イタリア人は
気になるようです
以上のような発音の違いは
日本人には気にならないかもしれませんが
現地の人には
気になったりするものです
でも
間違ったからといって
まったく通じないわけではありません
でも
ダイアクリティカルマークを間違えると
かなりひっかかる文字もあります
ネイティブであれば
まず、理解されないことはありませんが
ちょっとわかりづらかったりします
発音を間違える人はいないと
思いますが
文字だけ見たら
発音を確実に間違っていまいます
それが
C の下についているやつです
インクがにじんだのでは
ありません
このひげは
「セディーユ」
と呼ばれます
日本語では
「セディラ」と呼ばれることは
今日知りました ww
これはもともと
スペイン語に由来するものだそうで
古いスペイン語の z (セダ)の筆写体という書体
Ʒ
だそうです
C はもともと(ラテン語)
カ行(k)です
casa とか condition とか
ラテン語では
Cicero
は
「シセロ」
ではなく
「キケロ」
シーザーサラダも
ラテン語式に言えば
カエサルサラダ
です 笑
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現代語になると
ci や ce は
si や se と
同じように発音されるようになり
c
に「s」の音価が与えられます
フランス(France)も
「フランク」ではなく
「フランス」
となります
そこで
「フランス語」という単語は
「フランセ」
になるわけですが
フランス語で
francais
と書くと
「フランケ」
と読んでしまいます
Cの文字を
k の音ではなく s の音で読ませるために
セディーユを使うのです
français
これで「フランセ」と読めます
ちなみに
ai
は「エ」と発音します
「セディーユ」の語源である
スペイン語ですが
こちらでは
すでにこの文字は
使われなくなっています
サッカー界では
日本でも人気の
FCバルセロナの愛称「バルサ」
こちらは
Barça
セディーユが付いています
こちらは
スペイン語ではなく
カタルーニャ語です
カタルーニャ語には
ç があります
Barca
と書くと
「バルカ」
と発音してしまい
これは
「ボート」
という意味になってしまい
混乱してしまいます
このように
発音を大きく変えてしまう記号もあります
記号による違いに慣れている人からすると
日本人にはささいな違いに思われる
音の違いも
大きな違和感となってしまいますので
符号の使い方は
「かっこいい」
とか
「なんとなく」
だけで付けるわけには
いきません
上で挙げた例は
もちろん正しい使い方がなされていますが
中には
「雰囲気だけで付けたんだろうなぁ」
と
気になる看板も
結構目にしたことがあります
特に
右上がりや右下がり、
屋根型や点々など
アクセント符号は
ちゃんと使い分けないと
ちゃんと読んでもらえません
ロゴや店名などは特に
その辺を認識した上でデザインされることを
強くおすすめします
みなさん
このブランドご存じですか?
デザイナーの黒木理也さんが
ジルダ・ロアエックさんと立ち上げた
パリ発のファッションブランド
2013年に南青山に初のブティックをオープンし
今では青山のカフェと
代官山にも店舗を構える
今人気のブランドです
このキツネの名前も
「KITSUNE」
ではなく
MAISON KITSUNÉ
と、
アクセント符号が
最後の E の上についています
これは
フランス語では
e の文字が
そのままでは
「エ」ではなく
「ウ」(エとウの間くらい)
で発音されてしまうので
これを
アキュートな「エ」と発音させるために
符号を付けています
つけないと
「キツーヌ」
と発音されてしまいますからね
ところで・・・
この季節になると
かなり目にするようになると
思うのですが・・・
この文字・・・
この記号のついた文字を
目にしたことは
ありませんか?
私は子供の頃
この e の上についた点々を
「まろ」
と呼んでいましたが・・・
この「麻呂眉」のような記号は
「トレマ」と呼ばれます
この季節
Noël
という文字が
日本の街のなかでも
ちらほら見られるようになってきました
これはフランス語です
Noël
(ノエル)
とは
クリスマス
という意味です
昨今は日本でも
英語だけでなく
フランス語やイタリア語、スペイン語など
あらゆる言語が
普通に見られるようになってきました
20年、30年前までは
Christmas という文字しかなかったのに
時代は変わったなぁ
とつくづく思うものです
そして
クリスマスと言えば
私が子供のころは
生クリームのショートケーキか
バタークリームのデコレーションケーキ
だったような気がしますが
(めいっぱい背伸びをして)
今では
クリスマス(ノエル)の季節になれば
フランスのビュッシュ・ドゥ・ノエル
ドイツのシュトーレン
オーストリアのクグロフ
などなど
国際的になり
バラエティーも増えました
そのフランスの
ビュッシュ・ドゥ・ノエルの
Noël
が
クリスマス
と言う意味で
ここにも
ë
トレマ付きの E
が使われています
これ、
トレマ(マロ)がないと
Noel
(ヌゥル)
と発音されてしまい
意味不明となりますので
ご注意
ま、
「ビュッシュ・ドゥ」と
セットで書いてあれば
察してもらえるとは思いますがね
でも
プロフェッショナルの仕事をするのであれば
ここは間違えられないポイントです
ちなみに
「ビュッシュ・ドゥ・ノエル」
は
日本では
「ブッシュ・ドゥ・ノエル」
とか
「ブッシュ・ド・ノエル」
と発音されたり
書かれたりすることが
多いと思いますが・・・
「ビュッシュ」とは
「薪」
を意味する
bûche (ビュッシュ)
です
「ビューシ」
に近い発音です
英語の「ブッシュ」(bush 茂み)
ではありませんのでご注意を
bûche de Noël(クリスマスの薪)です
写真はAll About からお借りしました
おいしそうな「ブッシュドノエル」の
レシピが紹介されています
ブッシュドノエルの作り方!クリスマスロールケーキの簡単レシピ [簡単お菓子レシピ] All About
このレシピには
「ブッシュドノエル」とありますが
見かけ上は
「ビュッシュドゥノエル」と
同じっぽいですwww
コロナ禍で外出がままらない
今年のノエルは
娘さんや息子さんとキッチンに立って
一緒に作ってみては
いかがですか?
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丸山清志 🇯🇵『WHOLE』(コリン・キャンベル著)翻訳者/Seishi Maruyamaさん (@marusan_jp) / Twitter
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