難病患者の障害者雇用率への算定の方向が示されました。2027年の法改正を目指しています。

個人的にはかなり期待をしています。おそらく算定の基準には診断名でなく「社会モデル」の要素が多分に入ると思われるからです。


特に難病患者の多くが抱える疼痛(痛み)については一人ひとり多様で、社会モデルでしか扱えないと思います(評価スケールとしてはNRSが知られています)。実は何らかの疼痛を持つ人はなんと、5人に1人と言われる隠れた国民病といっていいかもしれません。プレゼンティーズムにおいては、年間9万円/1人の損失らしく(※)、1000人の会社なら年間9000万円の損失になります。職場での難病患者の疼痛への配慮は一般社員と地続き、そして経営課題であるともいえます。近年、健康経営においてもプレゼンティーズムとして慢性痛は注目されています。

就労支援においても、今後、難病患者の支援の機会が増えるかもしれませんね。私たちも疼痛管理の基礎知識を学ぶ必要がありそうです。

 

疼痛管理は痛くなったら主治医から処方された鎮痛剤を飲む・・といっただけでなく、きちんとペインクリニックで痛みの、器質的(痛みの原因)、心理的(認知)・社会的(職場や生活)を行い、痛みと上手につき合う治療が有効です。上手につき合うことで復職を果たしたり、痛みのスケールが2段階下がったなど、ウェルビーイングが向上します。

支援者の役割としては職場への配慮事項の助言があります。もちろんクライアントが職場に伝えるのが基本ですが、こと難病患者の疼痛については、第三者からも伝えることがポイントです。自分の痛みを説明し配慮を得る(交渉する)のはかなりの負担です。日頃から通院やお休みで、肩身が狭い状況で働いている方も多く、周囲に申し訳ない気持ちもあって、なかなか話を切り出せない場合が多いと想像します。また、職場環境の工夫として、周囲の理解、勤務制度、業務内容や工夫があると、心理・社会的な側面から疼痛をコントローすることが可能です。

 

※「慢性痛予防マニュアル」より一部引用

 :頸部痛・肩こり4.7万、腰痛2.8万、頭痛1.5万

https://riomh.umin.jp/lib/painmanu.pdf