引きこもり支援をする、ある心理士のレポートを読んで思ったこと・・

最近、引きこもり支援に係る心理士が増えてきたように感じます。とてもよいことで、地域で当事者・家族が身近に心理の専門家にアクセスできるようになればだいぶ景色は変わると期待しています。

 

親の人生にも敬意を・・・

レポートは引きこもりの子を持つ親に向けて書かれたものです。そこでは、子への接し方のいろはが紹介されています。ざっくりいえば「親は正論をやめて、無条件肯定で接しましょう・・」といった内容です。一読した感想ですが、かなり専門家目線+当事者よりで、親は裁かれているような気持ちになるのでは・・とちょっと切なくなりました。親もその時その時、その人なりの最善の意思決定を重ねて、誰よりも必死に生きてきました。そして今は、自分の育て方が間違っていたと自己肯定感がとても低くなっている状態の人が多いように見受けます。個人的には、クライアントは「親」→「あなた」にして、「先ず、あなた自身のことを聴かせてください」からスタートしてほしいなぁという感想です。子どもや家族関係を専門にする心理士が多いからかなぁ。

 

引きこもり支援のポイントは家族の支援と考えています。当事者と会うことが困難な場合が多く、唯一の関係性の「親(家族)」が要になります。だからこそ、親が支えられてポジティブな状態であることが大切です。

そして、長期化したのは親の対応が間違っていたのでなく、親を支えるソーシャルサポートが足りないから、また世の中の価値観や雰囲気が大きく関係したと考えます。心理士さんには家族関係に目を向ける前に、「あなた(親)」への関心を持って聴いて「あなた」をポジティブにすることが遠回りのようですが大事と感じています。

 

家族会に参加すると、多くの家族が、ごくごく一般的などこにでもあるような親子関係であることに驚きます。隣近所の○○さん、同じクラスだった○○くん、もしかして自分が当事者や親になっていたかもしれないと思ったりします。勉強会で講師の専門家のお話を熱心にノートにとっている姿を見ると、専門家の役割はちょっとズレているような・・と感じた自分です。