精神障害のある人の就労支援が数年前から伸びていますが、ちょうど数年前に就職した定着5年目あたりの人の転職が目立ちます。仕事も慣れて職場の信頼も得て、すべて順調と思っていたら突然「3月いっぱいで・・」といった感じです。
誰しも仕事に慣れてきた頃に、自分らしい働き方についていろいろ考えるキャリアの踊り場を経験します。よくキャリアは川の流れに例えられますが、1・2年目は仕事を覚えることと環境に慣れるための急流で余裕がない状態です、3年目になると仕事内容や周囲の状況も見えてくる流れの緩やかな中流に差し掛かります。
精神障害のある人で特に社会経験のある人にとって、この中流域で、これまでのなんとなくの違和感も相まって転職の葛藤があります(理解できます)。近年の働き方の価値観の多様化、流動化、売り手市場も後押ししています。
そして、自分であれこれ考え尽くして結果的に転職、周囲が知った時には既に気持ちは固まっており・・・というパターンです。この時に、企業内のキャリア面談の制度や支援者機関がキャリアカウンセリングを提供できれば、もう少しよりよい意思決定と選択ができると考えます。実際に、うまくいかない転職も見かけます。例えば発や離転職を繰り替えしキャリアが中断してしまいます。自身でエージェントを使って戦略的に移動する方は問題ありません。
「雇用の質」の議論がありますが、個人的にはキャリア支援の質が非常に重要と考えています。
先日、さる就労支援の集まりで、キャリコンの人は障害者の特性を理解しておらず専門性が低い・・という話題がありました。一部納得するも、私たち就労支援もキャリア支援の専門性が低く、この3年目の葛藤をキャッチアップできていません。わりと一生懸命に辞めるのを思いとどまらせようとする支援に終始しています。(反省も込め)
最近では雇用の流動性が高まっており、自分たちのいうところの「定着」とは何か、ちょっと考えたくなります。