「障害者雇用枠で採用したのに、障害を理由に雇い止めするのは違法」 元従業員が会社に対し約200万円を請求(引用:弁護士JPニュース、2024.9.30)

https://www.ben54.jp/news/1548

 

このニュース、わりと原告・弁護士側から書かれており、会社側の言い分や経過を時系列でつぶさに見ないとなんともいえません。おそらく「障害を理由」というより「安全配慮義務の履行」が焦点のようです。もし原告が非障害者であったなら有期雇用契約満了でよくあるケースともとれます。被告は大手生命保険会社なので安全配慮や労務管理へのノウハウもあるはずですが、ではどうして問題が複雑化したのでしょうか・・そんなことを思いました。また、問題が安全配慮義務から「障害者の働く権利を守ることも企業の責任・・」の方向へ持っていかれました。


ここからは私の想像になりますが、非障害者の契約社員の場合と同じ対応で進めたところに問題があるように思います。契約社員なので配属現場の管理者に任せっきり?だったかもしれません。もしかして現場任せが配慮を欠いた対応を招き複雑化したのかもしれませんね。こではいう配慮とは、伝え方や社内外連携(人事・支援機関・家族)を指します。

通常なら契約社員で雇用した社員が入社して間もなく、安全配慮義務履行のため想定し得なかった配慮が必要になった場合、労働契約の見直しや契約満了での雇止めも可能です。(もちろんきちんとした説明が必要ですが)
最近は人手不足から、どこの会社も契約社員や派遣社員は出入りが激しい状態です。そんな中で人を雇うことや雇止めに対して対応が雑になっているのかもしれませんね。対応の基本的な考え方は非障害者と同じ対応で問題ないと考えますが、人事と連携をとって、丁寧な伝え方や、丁寧に本人の言い分を聴く、家族や支援員のサポートを使いながら進めるのがポイントです。

また、障害者雇用における「合理的配慮」はどこまでか・・、特に労働条件の内容に関する部分の判断は難しく、人の考え方によって差がでるところです。人事は現場に判断させるのは避けた方がよいでしょう。できれば会社としての統一した考えや判断で現場の管理者をサポートするのがよいでしょう。そしてこれから「合理的配慮」と「労働契約条件」についてノウハウを積むことも必要です。労働裁判でも今のところ「合理的配慮」で争われたものはほとんどないらしいです。ノウハウを積む中で自社の基本的な考えを持つことは現場にとっても働く障害のある従業員にとっても安心感安定感につながります。

 

気になったのは今回のケースでも登場人物に支援者が見当たりません(もともと関わっていないかもしれませんが)。支援機関や定着支援のサポートの在り方についても考える必要がありそうです。