特別支援学校の生徒さんを持つ親御さんからのご相談です。家族の役割や準備についてのご質問をいただきました。
あくまで炎の経験上でのコメントになります。
 

先ず、高等部の生徒さんはこれからどのような時代を生きていく人たちでしょうか。急激な人口減少社会、働き方の変化、グローバル化、凄まじいスピードのテクノロジー、温暖化等の環境変化、さらに地政学的な変化・・・どれをとっても予測のつかない道なき道を進む人たちでしょう。

仕事も、上司も、場所も、支援者も目まぐるしく変わる時代であることは間違いなさそうです。変化に弱い、繰り返しが強いなど先入観を持っていると職域はどんどん狭まってチャンスも閉ざされてしまいそうです。その人なりに学び変化しチャレンジを楽しむ、そんなスキルが必要です。目先の一般就労に目を向けるのでなく、わが子が人生を通してウェルビーイング(よい状態)であることが親御さんの願いでもあるはず。

ちょっと逆説的になりますが、そんなウェルビーイングな人生を歩むためにはどう関わればいいのかから考えてみました。

まず、どこに行っても通用するスキル(ポータブルなスキル)について考えてみます。

①自己肯定感(①②のベースにも)
②社会技能
 他人と仲良くできるスキル
 修正(変化)できるスキル(学ぶスキル)
 困った時に相談するスキル
②生活習慣
 生活リズム(睡眠、食習慣)
 身だしなみ
 整理整頓

では具体的に、ご家庭の役割、準備(就労前)について上げてみます。
・身だしなみ(集団に入るための条件)
・生活リズム(パフォーマンスを最大限に発揮するため)
・人と関わるスキル(挨拶・笑顔・所作・言葉遣い)
・役割遂行(家での役割、例:戸締り、お風呂洗い、ごみ捨て、食器片づけ、庭の掃除等々)
・整理整頓(いつの時代も職場での基本)
・健康管理 (健康への意識、食習慣、検温、通院、服薬)
・情緒の安定感(自己肯定感・思いやり)…親子・家族の情緒的な体験
・主体性…自分で決める機会、意見を聴いてあげる、気持ちを聴いてあげる機会
・変化・修正できる…やってみてできた体験、うまくいかなくても失敗にさせない声掛け
・粘り強さ…試行錯誤の体験、先取りせずに「待つ」
・思春期、性、自我、自分の障がいについて…向き合う、成長の機会、蓋をしない
・道具の使い方…雑巾絞り、拭き、箒・塵取り、コロコロ、食器洗い、衣服のたたみ、ハサミ、ホチキス、紙折・・・

次に、ご家庭の役割、準備(就労後)を上げてみました。
・家庭:温かい雰囲気、労を労う(ベース基地)
・フィードバック、話を聴く、気持ちを聴く
・支援機関とのコミュニケーション(障害福祉課・就労支援・生活支援)
・余暇活動やコミュニティへの参加支援
・思春期、性、自我、自身の障がいについて
・家族自身が自分らしい人生を大切にする(楽しむ)
・高齢期(福祉・介護制度がどうなっているかわかりません)
 とりあえず支援機関とずっとつながっておく
・兄弟姉妹との関係、負担がない程度にゆるい長いつながり 
 ※兄弟姉妹とっても重要意味があります


そして、私たち支援者がどう道なき道をいかに伴走していくか・・・ですね。