先日、ある企業担当者より支援機関のエピソードを聞かされました。なんでも業務内容への注文や、はたまた部署の異動まで提案されたとのことです。月1回の訪問で何がわかるのと思わず言いたくなるとのことですが、福祉の人、障害の専門家ということで一言も返せずいわれるがままらしいのです。「これって越権行為ですよね・・」、担当者のお話を聴いて、ハッとしました。おそらく所変わればそれはそれは自分かもしれません。

支援者側から見れば以下の意味があるものと思われます。
・業務の内容への注文は → 障害特性に応じたアレンジ
・部署異動の提案 → 職務適性や環境調整

「越権行為」と映るのは、おそらく当該支援者の以下の課題があります。
・担当者が主体でないこと(ポジション取り)
・相手側の言語で会話できていないこと(コミュニケーション)

また、普通の人事の視点では、ジョブを変更することや、特に異動はかなりハードルの高い対応です。そう簡単ではありません。例えばジョブを変更する場合は、残された仕事を誰かが担当することになりますし、また新しいジョブといっても今まで担当していた人のキャリアはどうなるのでしょうか。
異動の場合は予算の問題以外にも、誰かが入れば誰かが出る玉突になった場合、出された人はどうなるのでしょうか。人事では処遇において得する人、損する人を出していけません。

そして、異動先で上手くいかなかった場合にまた異動ということも少なくありません。結局これを機に部署を渡り歩くことになったりします。基本的には今いる部署で問題解決をするのが人事の基本です。

企業(クライアント)のルールを知らずにあれこれアドバイスをしていると「越権行為」と映ります。

会社訪問をしていると訪問自体が「企業支援」と勘違いしてしまいますが、相手のルールのもとで相手の言語で話せるスキルが問われます。