最近は、人事コンサルの「2.5%対策」などのセミナーも見かけなくなりました。喉元過ぎればみたいな感じでいると、気がつけば自社の障害者雇用は周回遅れとなっています。何もしなかった「時間」を取り戻すのはかなり大変です。最も重要で時間の要すのは「風土醸成」です。

現場の障害者雇用は大よそ形があります。見様見真似でもある程度は上手くいく部分です。資料を集めて先行企業をベンチマークすれば短期間に立ち上がりまでは可能です。もちろん経営層の後押しは必要です。出来上がった職場は2・3年目くらいで大きな岐路を迎えます。①どこかうまく回らなくなる(離転職頻回)②なんとなく回っているが現場の負担が大きい③生産性向上、業務拡大。御社の雇用の現場はどのタイプですか?個人的な体感ではその割合は3:6:1くらいでしょうか。

実は風土醸成こそがタイプ③を生み出す打ち手です。風土醸成がないと、①・②のタイプが社内に増える一方です。稀に属人的に③が誕生しても人が変わると①②に劣化します。①②を長年放置すると今度はそれが風土になってしまいます。そうなると今度は変えるのが物凄く大変になります。


風土醸成は理念や方針とは別の戦略的なものです。企業が障害者雇用を行う優位性について現場が知っている状態がゴールです。
【優位性】
・障害者雇用のベースとなる理論「比較優位論」、組織の生産性が最大化する。
・多様性のある組織が創造性・生産性が高い、心理的安全性も高い。
・サービスの消費者。(障害者・家族・関係者は世界人口の15%で10億人、市場ニーズは8兆ドル)
・そして、自社の障害者雇用は進んでいるという雰囲気。(関心がある状態)


上記の4点を醸成浸透するための社内研修・広報を企画実施します。組織開発の取り組みに似ています。裏の目的は現場の障害者雇用の下支えです。風土が浸透しているかを測るサーベイも必要ですね。人事や総務でこれらを戦略的に取り組むのには時間がかかりますが、中長期に大きな差となっていくと考えます。