戦略障害者雇用とは、マイノリティの持つパワーを個人や組織の成長に活用しようとする取り組みです。これまでの障害者雇用はいわゆる「社会連帯のもとで」といったアファーマティブアクションであり、場合によっては「やらされ感」など、ポジティブさや力強さに欠くイメージがあいます。実際の現場でも、業務の切り出し、マッチング、本人の熟達を中心とした職業リハビリテーションのイメージですが、本当にそれだけでしょうか、もっと見過ごされている価値があるのでは・・・、障害者雇用の現場では稀に、障害のある本人が成長し、担当者も成長し、さらには組織が成長していく、そんな現場に巡り合うことがあいます。別の軸でもう一度見直すと何か発見できそうです。
実際に、米国の調査研究では障害者がいるチームといないチームでは、前者のチームが売り上げと利益が30パーセント近く高く、イノベーティブな職場が多いという報告があります。また、これはビジネスの現場ではありませんが、障害のある生徒がいるクラスが一番成績が高かった、まとまりがあった、文化祭や体育祭で盛り上がって担任の先生から教員生活で一番思い出に残るクラスとか・・・。さらにベテランの保育士さんのお話では、よい保育園の見分け方は障害のあるお友だちを受け入れているかどうかとか、思いやりのあるやさしい子どもが育つそうです・・・。
このマイノリティの持つパワーを個人や組織の成長に生かす、障害者雇用の「型」があるのではというのが出発点です。