矢野経済研究所から障害者雇用支援サービスの市場概況が報告されました。
【矢野経済研究所プレスリリース】障がい者雇用支援サービス市場に関する調査を実施(2022年)
(https://www.dreamnews.jp/press/0000262257/)
見る立場によっては様々な想いがあるでしょう。(以下、抜粋)
2021年度の分野別市場規模
・就労移行支援・就労定着支援 862億円(前年度比4.0%増)
・就労継続支援A型・B型 5,946億円(同8.2%増)
・人材紹介・採用代行サービス 26億円(同13.0%増)
・農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」が97億円(同24.4%増)
※当該市場は「就労継続支援A型・B型」が占める割合が高いものの、「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」が調査対象4分野の中では最も高い伸び率で推移しており、規模を急速に拡大させている。
以上抜粋
経済原理に任せておくと、やはり「農園・サテライトオフィス型雇用支援サービス」が拡大します。今後予想されることとして、多くの参入があり、価格のダンピングがおこるでしょう。そうすると、スタッフの人件費が安くなるので現場の支援の質が下がります。その他に、設備や休憩室等様々なところでコストダウンがすすみ、環境の劣化も心配です。
この分野をこれくらいの市場規模にしておかないと、障害者雇用にとってへんてこな未来が来そうです。※人材紹介に迫る額です。
本気で障害のある人の「労働市場」について本格的に考えることの必要性を感じます。現状では需給関係が成立しているとはいえません。市場とは、企業が必要とする能力の人がいたら、市場に募集をかけると、能力をもった人が手を上げる仕組みです。
労働市場が形成されない特殊性として、以下が考えられます。唯一、人材紹介会社は小さいながら市場を作っています。
・需要側が供給側に対して明確なメッセージがない。
・供給側が職業訓練機能をはたしていない。(就労支援や定着よりも本格的な職業訓練が必要)
・双方にコミュニケーションがない。
・手厚い就労支援が時に需給関係を歪めている。(なんとか、とりつくろってくれる)
大きなデザインを描いて、それを実現するための各種の就労支援制度や、報酬単価を決めるべきかと思われます。
(つづく)