精神障害のある人への就労支援で、調子を崩して妄想チックな傾向が出てきた時に、私のよく使う声かけは、「そのようなことを考えてしまう○○さんがいるわけですね」。これは、対象者の認知の偏りを一緒にチェックしバランスをとろうとしている意図があります。最近気がついたことなのですが、この声かけはカウンセリングの応答に似ています。
 
先ほどの声かけは、対象者の健康な部分に働きかけて、例えば「周囲の人が自分のことを話している」と感じるのは事実であり症状でもありますね…ということを気づいて認知してもらいたいのです。毎回この声かけをしていると、私がしなくても自身で自身に「そう感じている自分がいる」と声かけし、自動思考のぐるぐるのスパイラルに落ちずに済むようです。ある方ですが、「また(妄想)やってきました、疲れているみたいです」と言って自身をコントロールされています。調子の悪い時は悪いなりにやりすごすようになりました。
 
そこで思ったことですが、カウンセリングの手法とは、相手のメタ認知の代行を一時的にカウンセラーが担い、クライアントの自己一致を支援することではないでしょうか。何か自分なりにつながった感じがして満足しています。
 
メタ認知…(「知っている」ことを知っているの認知。自分の思考や行動そのものを対象として客観的に把握し認識すること)