全て実名!実録山口組映画『山口組三代目』『三代目襲名』 | HONDAのブログ

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2度と 世間に DVDとして出ないと思われた

「山口組三代目」と「三代目襲名」が DVD発売

になり さっそく レンタルして観賞しました。

 

S48年に 東映で公開され 当初

S488月お盆公開 第一部 ~S12年 大長八郎 刺殺事件

 

S498月お盆公開第二部 S15年~S21年 三代目襲名

 

S50年正月公開予定 第三部 S22年~S38年 全国制覇

 

という 三部作構想であった。

S481月公開の 「仁義なき戦い」が予想以上のヒットとなり

「これからは 実録路線や」と 当時の 岡田茂 東映社長は

実録映画路線に舵をきった。当然 エースは 菅原文太 とな

ると今までの 大スター 鶴田浩二は 実録路線では 自分の

居場所はないと S48年9月の 特攻隊映画「ああ決戦航空

隊」以降東映映画にでることはなくなった。 岡田茂は もう

ひとりの大物高倉健に 山口組三代目を実名で描く この3部

作を用意した。

 


では 監督を誰にするか? 深作にやらしたら「仁義なき戦い」

の 神戸版になってしまうのと 当時健在だった 田岡もやる

なら息子 田岡満を プロヂューサーにし 「格調高い映画に」

との要望もあったのであろう、 純任侠映画監督の 山下耕作 

が メガホンをとった。

東映社長 岡田茂の 本当の狙いは 第三部~広島抗争 につ

なげていくような 営業戦略であったようであるが、 

「実録」「実名」を使った ものの 監督が 山下 で 主演 

が高倉となっては S47年前の「任侠映画」とならざるをえ

なかった。

 

当時 高校生であった自分は S48年1月の 仁義なき戦い 

5月の仁義なき戦い 広島死闘篇 で 衝撃をうけた この 

流れで 当然この 8月の「山口組三代目」も 深作タッチの

映画を期待して 映画館に足を運んだが、 内容的には期待

はずれ映画であった。

 

しかし、 映画内容はどうあれ 戦後日本最大の暴力団の組長の

映画を まったくの実名で 作った(作れた)当時の 日本は

ある意味すごかったということ、今後このような映画は絶対作れ

ないだろう。

 

S49年の 第二弾 も 同様に 映画的には 深作タッチでは

ない任侠映画 第三弾 は S22年~S38年 という時代を

描くとなるとS28年の 鶴田浩二 襲撃事件 や 美空ひばり 

との 関係力道山との 関係 等 等 「どない描くのやろ?」

と 興味深々でしたが第二弾 三代目襲名の 映画招待券から 

警察の捜査が入り 結局 このシリーズの 第三弾は 幻と終わ

ってしまった。

 

岡田茂 は 警察権力への報復として S50年の5月ゴールデ

ンWに「県警対組織暴力」を 菅原主演 深作監督 で 撮らせ

たというのは有名な話。

 

高倉健 は このシリーズで東映に嫌気がさしたのか、 S50

年いっぱいで 東映を退社 S51年2月に 他社(松竹)出演

第一弾「君よ憤怒の河を渉れ」に出演している。

余談であるが この 君よ憤怒の河を渉れ は日中国交正常化の 

記念第一号 中国公開映画であり 中国において 今も高倉の 

人気の高いのは この映画が 中国で「大ヒット」したことによる。

 

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全て実名!

実録山口組映画『山口組三代目』『三代目襲名』

 

『山口組三代目』(S488月公開)

高倉健、菅原文太、松尾嘉代 他

日本最大の暴力団・山口組。その三代目組長・田岡一雄の

半生を描いた特大級の実録やくざ映画だ。

登場人物の名前も、実録やくざ映画の代表格『仁義なき戦い』

山口組を描いた多くの作品のように実名をもじったもので

はなく、あくまで実名を使っている点が特徴だ。実名ヤクザ

や三国人ネタのせいか、長らくDVD化されなかった。

1作目は、山口組三代目・田岡一雄が6歳で孤児になる所から、

山口組員となり、ライバルと決闘する所まで。

「実録」という体だが実際は任侠映画の趣が強いため、

実質、いつもの山下耕作作品になっている。

実録の特徴である泥臭さや下品さやエログロといった要素は

殆ど無く、情緒深いベタな演出が続く。

田岡組長を演じるのは高倉健だが、そこにいるのは完全に

いつもの「人格者ヤクザ」である。

女郎に筆おろししてもらう時に「ようし、一生懸命やろう」

と意気込むシーンは笑った。

殴り合いより1発の目潰しで喧嘩のケリがついたり、

角界とのいざこざを経て権力を吸収したり、相撲やボクシング

等の興行の世界で力を伸ばしたり、実際にあった出来事の生々し

さと山下任侠の高潔な雰囲気が混ざり込み、水と油のように反撥

し合っている。山下演出はいつも通り情緒豊かで、菅原文太との

決闘シーンも綺麗なのだが、もう全く「実録」ではない。

エピソードから所々垣間見える生々しさや凶悪さを、高倉健の

「いつもの任侠」に押し込めている。

任侠映画のいちパターンとして観るならいいが、所謂「実録路線」

的なものを期待すると面白くない。

それでも、この映画は『仁義なき戦い』を超えるヒットを

叩き出してしまったらしい。

 

・『三代目襲名』(19748月公開)

高倉健、松尾嘉代 他

続編となる2作目。監督は小沢茂弘に変更されている。

出所した田岡組長が在日朝鮮・韓国・中国・台湾人等の所謂

「三国人」と神戸を舞台に抗争する。

色んな意味で今ではお目にかかれない映画である。

前作に比べ、実録路線らしい暴力描写や臨場感のある

カメラワークが増えている。

前半は、前作を引き継ぐ形で任侠映画らしい渋く味わい深い

展開が続く。だが、玉音放送のわずか数時間後、三国人に

よる暴動が開始され、神戸が無法地帯と化してから映画は

一気にヒートアップする。集団テロ、強奪、リンチ、輪姦

…実録映画らしく陰惨な光景がせきを切ったように流れ出

していく。

「こいつらは人やない!豚や!」やがて田岡組長率いる山口

組が自警団を組織し、神戸を跋扈する三国人愚連隊と激突し

ていく。罵声と血反吐が飛び交い、実録路線らしく結構激し

いアクションもあったりする。田岡組長自身は1作目の方が

お気に入りだったようだが、個人的にはこっちの方がずっと

面白かった。

 

『三代目』シリーズは三部作の予定だったが、おまわりさんが

「東映と山口組に癒着の疑いあり!」と怒ってしまったため、

『三代目襲名』をもっておじゃんとなった。

幻の最終作がどこまでやる予定だったのかは知らないが、後の

「鶴田浩二襲撃事件」や美空ひばりの成り上がりまで描いたな

ら、出来はともかくとして日本芸能史に残る映画になっただろう。 

 

今回 43年ぶりで 本作品を見て感じることは、 内容はとも

かくとしてこういう映画が かつて法治国家 日本で 作り 

公開されたという事実を 評価する必要があるだろう。