私がジョナサン・キャロルと出会ったのは、
もう20年くらい前。
上板橋のたしか一葉書店という名の小さな書店です。
創元文庫がズラっと並んでいて、
ミステリーもファンタジーも大好きで、創元推理文庫っ子だったので、
夢の空間かと、めまいを感じたほどでした。
その中でもひと際目をひいたのが、このタイトル。
しかも読んでビックリ。
超絶のおもしろさ。


それ以来、出版された本は全て何度も読み尽くし、
途中、引っ越しでなくした分を買おうとして、
「絶版ですよ」という非情の声を聞き、
それでも最近、巷の本屋でジョナサン・キャロルが手に入りやすくなったような気が。


ダークファンタジーといわれることもある『死者の書』ですが、
コレはまさに本が好きな人のための小説です。
本好きなら誰もが1度は夢にみる、アノ世界が描かれています。
あとは、
ブルテリア好き、
パウル・クレー好き、
操り人形好き、
そんな人々にも訴えるものがあるかと思います。

またも短編集です。
大久保康雄氏訳の新潮文庫短編集1です。
これまたスッゴク面白い本であります。


O・ヘンリの作品には、
社会の端っこの、ほんのりと薄暗い辺りに住まう人々が、
数多く登場します。
そうです。あなたやわたしのような、です。


普通に生活しているつもりでも、
たまに、ある日突然ホームレスになったらどうしよう?
とか、やむにやまれぬ事情で犯罪者になっちゃったりすることもあるかも?
なんて思って不安になったりすることありませんか?
大丈夫。
そんなときにはO・ヘンリを読んでおけば安心です。

どんな不遇におちいっても、きちんと生きていけるぞ、
というような、妙な安心感を得ることができます。


しかも文章のはしばしが美しい。
描写や隠喩が細やかで風のように軽やかで。
そんな言葉の流れに浸っているだけでも至福です。


特に好きな1編は、
「ハーグレイブズの一人二役」でしょうか。
これをきちんと読めば、
最近テレビなんかではやっている「ちょっといい話」モノが、
如何にチャチか、わかるはずです。

「この世には不思議なことなど何もないのだよ・・・」 
言わずと知れた衝撃のシリーズ第一弾です。

私が京極夏彦の小説を読むようになったのは、
ジョナサン・キャロル好きな会社の同僚にすすめられて以来です。
他人に勧められて本を開くなんてことのない人間ですが、
このときばかりは人の話は聞くものだと、思い知った次第です。

衝撃でした。
ホントに面白かった。
とりこになった。
眠れない、仕事も手につかない、食事も喉を通らない、
ともかく、
読み終わるまでは。


私がとくに好きなのは、
京極堂と関口氏があらゆる事柄について論じ合うシーンです。
あんなふうに自分の考えをとことん語りあってみたいっ。
いつも羨ましく、また自分が参加しているつもりになって読んでいます。

それから「南総里見八犬伝」のように仲間たちが助け合って(?)、
事件を解きほぐしてゆくところにも弱いです。
これは「巷説百物語」にも通じるところがありますね。


またこのシリーズを読み始めてからは、
民俗学の本が大好きになったし、
南方熊楠の本も好きになってしまいました。

おどろおどろしい妖怪の挿絵とも相まって、
明治頃版の「高野聖」(鏑木清方の挿絵)の雰囲気です。


このシリーズの続作を心待ちにしています。
どうか京極夏彦様よろしくお願い致します。

今日はW.P.キンセラの短編集『ダンス・ミー・アウトサイド』のお話です。


W.P.キンセラは映画『フィールドオブドリームス』の、
原作『シューレスジョー』の作者でもあります。


この『ダンス・ミー・アウトサイド』は、
まさに抱腹絶倒、涙チビっと、という名作です。
カナダにあるインディアン居住地に住む、サイラスとその仲間や家族のお話。
世間のマイノリティに対する、腫れものを扱うような態度を逆手にとって、
さまざまな笑いをしかけていく物語です。
それは語る人によっては、全然笑えない物語になりがちなストーリーでもあります。


自分をしっかりもつこと、
そこにはじめて生きる力が溢れ、
そこからしか生まれない笑いというものがあるのだと感じました。

私は本のタイトルになった短編が好きです。
どれが1番好きか?
という議論ができるのって、短編集の歓びですよね。

なぜか読んだ人に片っ端から感想を聞いてみたくなる1冊です。

こんにちは。
今日はジョン・グリシャムの『謀略法廷』です。
言わずと知れた法廷ミステリーの雄です。
映画化された作品も数知れず、
しかもその映画も俳優・演出に恵まれてかなりみせる映画になっているという、
幸せな作家さんではないでしょうか?


何年も前から小説を読み続けてますが、
これまで著者のことにはあまり興味がありませんでした。
今日は良い機会なので調べてみました。

子供の頃は野球少年。プロ野球選手になるのが夢。
その後夢破れミシシッピ州立大学で会計学を学んだ。
この頃からの日誌がやがて後の創作活動の助けになった。
卒業後ミシシッピ大学ロースクールに進んだが、関心が税法から刑法や刑事訴訟法に移る。
卒業後弁護士を開業し、刑事事件などを中心に10年間のキャリアを積む。
1983-90年の間、ミシシッピ州議会議員として活動。その間に、裁判や訴訟に関連した小説を書き始め、その多くが映画化されてヒットする。2006年にはノンフィクションを初めて刊行した。

という感じらしい。
なるほど、なるほど。


今回の『謀略法廷』には、作者の影が沢山ちりばめられているようです。
例えば、ラストに印象的な経緯をしるす野球少年。
州議会議員。
なんかこじつけっぽいかな?
同じように感じた人もいるんじゃないかと思いますが。

この度の小説も、とにかくラストまでグイグイ引き込まれます。
さほど魅力的とは思わないけれど、その分リアルな登場人物たち。
これまで描かれてきた陪審裁判などの問題点からさらに進んで、
裁判官の指名についての問題が展開します。
日本の裁判員制度のことを考えるときにも参考になりまっせ。

食わず嫌いだった浅田次郎作品にはまって数か月。
このところ読みまくっています。


何がいけなかったか、食わず嫌い。
映画「鉄道員」と「壬生義士伝」の貧乏しみったれ感のせいです。
あれで小説もどうせしみったれなんだろうと思いこんでました。
スミマセン。
いやアリガトウ。
いまは日々そう叫んでいます。
涙、流してます。


思えば最近ぜんぜん泣いてなかった。
人生で最も辛いと感じたとき、
涙はまったく出なかった。
あぁ、ホントに辛い時は涙がでないんだな、と初めて知りました。


それがどうでしょう?
最近は涙腺ゆるみっぱなしです。
天切り松のおかげです。
しかも、不思議に爽快な涙。
なんだか身も心も洗われていくような、
そんなキレイな涙なんです。
仁義の切り方、松の話し方、本物の人情などなど、
全部が最高です。

この本は知人にすすめられて読みました。
面白かったし、感動すらしてしまって、我ながら驚いています。


なぜに驚くほどかというとですね、
第一に、私の場合、人から勧められた本で面白いのって、滅多にない。
第二に、タイトルからしてなんだかイヤ(食品不信をあおるような内容かと思った)。
でも全く違うものでした。
1にも2にも、食わず嫌いはいけない、という良い教訓になりました、はい。


まず基本的にこの本の主題は、
一部の意識高き人々の間で声高に叫ばれている「食品の危険」ってホントかウソか?
といったところです。


作者は食品業界に20年いて、貿易などを行い(専門はウナギ)、
食品流通の実態を熟知しているとのことで、
さすがにいろいろな詳しい情報がでています。


で、
私の心にきたのはそういった情報より何より(それらも面白かったけど)も、
「食品」というものにかかわる全ての人や物に捧げる、
作者自身の感謝の念が伝わってきたことでした。
そういったハートある文章は、
こういった分野の本では珍しいと思うのです。


読後は私も、食べ物に対する感謝の思いを、
以前よりも意識するようになりました。
何よりも大切なことをあらためて教わった気がします。

これは度肝ぬかれる作品です。
まだ読んでいない方には、是非モノでオススメしたいです。


舞台は物語のために存在するような街ブルックリン。
主人公は孤児で、トゥレット症候群(チック)を患っている青年。
同じ施設の出身者である仲間たちとつるんでいる。
ボスで兄貴で父親がわりでもあったフランク・ミナが殺されて・・・。
という内容。


なにしろ面白いので、何度も笑ってしまう。
でも笑いのなかに涙が宿っているような、そんな笑いです。


父や母を慕う気持ちや、仲間への愛着やがクールに描かれていて、
街もクールで、女もクール。
こんなふうにクールな女になりたいわ、と思ってしまいます。


しかもしかも、文庫本のあとがきにあった映画化の話はちゃんと進んでたようです。
あのエドワード・ノートンが映画化・主演するというのだから期待しちゃいます。
来年公開予定とか?
あぁ早く見たいよぉ。
エドワード・ノートンといえば『ファイトクラブ』最高でしたね。
あの眼の下のくまの感じ、病的な、あれがなんか魅力的なんですよね。

文豪とされる作家のなかでも、かなり好きなのが谷崎潤一郎です。


先日、浅田次郎の『見上げれば星は天に満ちて』で、
「秘密」という谷崎の短編を読みました。
いやぁ、なんでしょねぇ、あの雰囲気。
隠れ家のあの様子をそのままバーかなんかにしたいです。
そんな店に通いたいですぅ。


というわけで、この大文豪にはデザインの才があったとしか思えませんね。
『陰翳礼讃』のなかでもそのセンスの良さが光りまくってます。
タイトルだけをとっても、なんてカッコいいんでしょう。
トイレのこと、電灯のこと、女性の肌のこと、女性の着物のこと、
さまざまな事柄の見え方や見えない具合について、
細かく好きなように述べてあるのですが、
そのどれをとっても素敵なんですよね。


小説のなかで、
そういった個人的な趣味の世界を、思う存分、
つくりあげていく。
なんてすばらしい才能なんでしょう。
ホント、かっこいいよなぁ。

これはスゴイですね。

ネビュラ賞長篇小説部門、サイドワイズ賞、
ローカス賞 SF長篇部門、ヒューゴー賞長編小説部門を受賞した話題の作品です。


マイケル・シェイボンの作品はお初でしたが、
面白かったので、これまでの作品を追って読んでいくつもりです。
楽しみ、楽しみ。


『ワンダー・ボーイズ』って映画は観てたけど、
原作がマイケル・シェイボンだとは知りませんでした。
マイケル・ダグラス、トビー・マグワイア、ロバート・ダウニー・Jrなんかが でていて、
地味だけど、なんか残る映画でした。
(ロバート・ダウニー・Jr好きなんですよね。 ナチュラルボーンキラーズよかったし)
う~ん、ますます好きになったぞ。


なんと言っても、
タイトルになっている「ユダヤ警官同盟」の登場の仕方が素晴らしい。
陰謀の臭いで鼻がピクピクしてるところに、このユニオンがでてきて、
ふぅっと肩の力が抜けます。


パラレルワールド、味のある主人公などなど、
ジョナサン・レセムの『銃ときどき音楽』にちょっと近いようなそんなような。

コーエン兄弟で映画化も決まってるそうです。
今後のさまざまな展開も楽しみな作品です。