今日は『ミレニアム』です。
この作品は「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」の3部作として発表されています。
作者の構想としては5部まであったらしいのですが、第1部の発売前の2004年に作者が心筋梗塞でなくなってしまうという悲劇が。
私は現在、3部を読み始めたところなのですが、今から「う~、次が読みたい」と歯ぎしりしているくらいです。残念。

主人公のキャラクターがとても大胆で、それもそのはず、あとがきによると「長くつ下のピッピ」のピッピがイメージにあったとのこと。
最近スウェーデンの国民的作家リンドグレーンの大姪にあたる作家カーリン・アルヴテーゲンの小説を読んだばかりで、その面白さにリンドグレーンの作品を懐かしく思い出していたところなので、この「ミレニアム」もかなり面白く読みました。

そろそろリンドグレーンの作品をまとめて大人買いする頃あいのような気がしてきました。きっと宝物になると思います。

この「ボーン・コレクター」から始まったリンカーン・ライムシリーズは、
現在「ソウル・コレクター」という最新作も発売されて、
お馴染みのメンツに出会える喜びを感じている人も多いのでは。

スーパーマン役で知られたクリストファー・リーブが、
落馬で脊椎損傷して四肢麻痺患者となりながらも、
勇気をもって治療やリハビリにあたったということはご存知の方もいると思います。
この小説の主人公である科学捜査の天才リンカーン・ライムも捜査の最中の事故で、
四肢麻痺となり、絶望の淵に立たされています。

主人公の状況の奇抜さ、事件や犯人像の特異さ、
ストーリー展開の巧みさ、登場人物の造形などなど、
面白い要素が盛りだくさんの小説です。
それでも、創作テクニックよりも何よりも、
魂のこもった作品であると思います。
「仏つくって魂入れず」っぽい作品の多いなか、
人々の生き続ける姿が勇気をくれる最高の作品です。

今日は、NHKで小出しにドラマ放送しているアノ名作です。

ところで最近のテレビドラマの番宣。
あれは一体なんなんでしょうね。
俳優さんたちを使って本編より沢山流してるんじゃないかと思われるメイキング。
勘弁してほしいです。

司馬遼太郎という大作家の作品は、
どれもとても長くて、発表当時連載されていたせいか、
くどく何度もグルグル回ってる感じがするときがあります。
それでもグイグイ引っ張られるように読めてしまったのは、
本作と『翔ぶがごとく』の2作品です。

とくにこの『坂の上の雲』は、
バルチック艦隊との日本海海戦の様子が面白く、
何度も読み返してしまいました。
Z旗というもののことも初めて知ったし。
これがきっかけで横須賀の戦艦三笠にも行ってきました。
ともかくハマったということです。

司馬遼太郎というと、
教科書にのっていた『モンゴル紀行』の「草の草原」を思い出します。
と言っても、
タイトルは今回調べたのでわかったくらいで記憶になかったのですが、
夜空満面の星空のイメージだけはずっと覚えていました。
それくらい印象的な文章だったのだと思います。

今日は、ジョン・アーヴィングの、わりに地味な作品です。

いつも奇妙な人々がでてきますが、
今回も地味に奇妙な人々の日常の風景が印象的です。
丹念に描かれた細部が重石になって、
それほど長い描写でなくても、
しっかりと脳裏に焼き付いて離れません。

「泣かないでルース、ただのエディとママじゃない」
このセリフが好きで、忘れられません。
なんてことのない日常のなかで、
ふっと蘇ってしまう言葉です。
辛いとき、大人だって誰かに支えてもらう必要があります。
そんなときにこの言葉を思い浮かべれば、
泣くのをやめようと思えます。

ストーリーが面白いので、
どんどん読めちゃう小説。
特に後半のエディが笑えて楽しいです。

今日はキッド・ピストルズでお馴染みの、
山口雅也氏の長編小説です。

この『生ける屍の死』はキッドやピンクが現世界アメリカに現れたら、
という主人公たちの物語で、
葬儀場が舞台となっています。
アメリカの葬送のしきたりやエンバーミング技術など、
道具立ても面白くて飽きさせません。

とくにグリンとチェシャには泣かされます。
破天荒なミステリで、コメディタッチで書かれている本作ですが、
主人公たちのパンクファッションに込められた(隠された?)心が見えると、
ホントに涙がでそうになるから不思議です。

面白いカラクリや人情に飢え、厭世的な気分におさらばしたい人にはオススメ。

大好きな宮部みゆきです。
他にも沢山紹介したい小説がありますが、
今日はとりあえずこの作品を。

これはある殺人事件をめぐる人々のお話を、
それぞれの登場人物の持つ『財布』が語る。
という妙な小説です。

こういうお話って、なんともたまらなく好きなんです。
平山夢明の『独白するユニバーサル横メルカトル』みたいな
(アレって面白いっすよねぇ)。

そしてそれが宮部みゆきの手なると、
よぉしゃべるんですわぁ、その財布たちも。
こう何て言うか、
ベテラン刑事の取り調べでうたいまくる犯罪者のようとでも言いましょうか?

まさにこれぞ『物語』という作品です。

スウェーデンの女性作家の作品です。
スウェーデンって、あんまり馴染みがないなぁ。
スモーガスボードとかボルボとかサーブとか、そんな感じかぁ、
と読み始めましたが、
コレが面白い!

この作者、
ななんとあのアストリッド・リンドグレーンのご親戚だとか?
おぉ、スウェーデン馴染んでいたではないかと、
思い当りました。
子供のころ、どれだけリンドグレン作品で励まされたか。
やかまし村に長靴下ピッピ、大好きでした。

この作品は、
ホームレスとなった女性の過去の現在、
そして未来をも予見させるミステリです。
路上生活について丁寧に描き、
精神の揺れ動く様をみごとに表現しています。

今後の活躍が楽しみな作家です。

今日は河合隼雄さんの書物を。

これまで数々の著作を読んできました。
それらは人生の大きな助けとなるものです。
亡くなられたと聞いた時はショックでした。
もっと沢山のお話を聞いていたかった、と感じました。

この『影の現象学』を読むと、
大谷崎の『陰翳礼讃』が思い浮かびます。
光あるところに必ず影も存在します。
人の内面も同様で、
心の底にいるもうひとりの自分の存在を感じたとき、
それが吉とでるか凶とでるか?
そんな危機に直面したときに、
自分をひろげる手助けをしてくれるのが、本書のような書物です。

著者は日本におけるユング心理学の第一人者です。
そのユングの言葉。
「影はその主体が自分自身について認めることを拒否しているが、
それでも常に、直接または間接に、
自分の上に押し付けられてくるすべてのこと
―たとえば、性格の劣等な傾向や、
その他の両立しがたい傾向―を人格化したものである」
なんとも切ない言葉です。

ポール・オースターは大好きな作家です。
この人の脚本で作られた「スモーク」という映画。
これが好きで、煙草という悪癖と出会ってしまったほど。
役者のハーヴェイ・カイテルにも惚れたし、
続編の「ブルー・イン・ザ・フェイス」には、
これまた大好きなルー・リードも出演していたりで、
ホント、たまらんです。

「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」の基になったのは、
ラジオ番組のリスナーとっておき話を集めて放送する企画。
本に掲載されているのはその一部ということです。
そもそもこの企画というのが、とてもいかしてますよね。
さまざまな世代の、さまざまな立場にいる人々の、
生の体験が語られていくなかで、
ポール・オースターの目を感じます。

笑いあり、涙あり、腑に落ちない思いあり、
不思議な話、ぞっと鳥肌がたつシーン、
すべてが体験者の言葉で語られていきます。

まさに人生!
こんな本が読みたかったぁ。
という至極の本です。

翻訳は村上春樹です。
原題は『July, July』と、なんとも素敵なタイトル。

60年代に青春をおくった人々が、
さまざまな人生を経て集う同窓会。
その後の人生を生き延び、晴れて参加できた人、
まともな状態ではないものの、足を引きずって参加した人、
生き延びることのできなかった人。
それぞれの人生が語られる章は圧巻。

期待、興奮、混乱、落胆など、
時間を追うごとに変わる"場"の状況が面白いし、リアルです。

ティム・オブライエンの作品は大好きで、
日本語に翻訳されているものは全て読んでます。
なかでも『ぼくが戦場で死んだら』や、
初めて読んだ『ニュー・クリア・エイジ』が好きです。
何しろ『ニュー・クリア・エイジ』読んだ時はブっとびましたね。
次回はこの作品について書きます。

何よりも、次々に登場するさまざまなタイプのタフな人々に勇気づけられます。
このタフさが世代的なものなのか私にはわかりませんが、
多分、これは皆が持ちえるタフさなんだろうと思います。

40歳近くなってから同窓会に集うのは、異な体験です。
懐かしくもあり、まったく未知の世界でもあるのです。