久々に読み応えのある海外ミステリでした。
とは言え、
筋やトリックがすごいというよりも、
人物の造形や描写、その世界観に好感がもてました。
会話もこっているので、
楽しみながら味わいながら読むことのできるミステリです。

主人公が元合衆国陸軍犯罪捜査部准尉という経歴なので、
なにか事件に、軍とか国防とか陰謀の匂いがしたりもするのですが・・・
なかなか興味深い展開となっていきます。
というより事件よりも、
人々の方に関心が移っていってしまうので、
正直筋はどうでも良いというか、
それよりも人々のかわす言葉が気になる。
そんな小説でした。
私はそういうミステリが好きなので(本格ミステリ派ではないので)、
とても楽しめました。
今後同じ著者の作品をかたっぱしから読む予定です。
あぁ楽しみ。

とても読みやすく、グイグイと引っ張られる文章は流石です。
しかも前から不審に思っていたホームレスマネーの話や、
これからの日本のなすべき課題などの話があって、
納得の1冊でした。

日頃、テレビのニュースなどで政府の動きなどを見ていると、
かなりウンザリしてきて食傷ぎみになるし、
首相の「疎い」発言には口がアングリしてしまいます。
そんな日々のなか、
ソマリアやハイチの実情などをテレビで見て、
政府が機能しないことの恐ろしさを実感し、
贅沢言っちゃダメだ!
と思っていましたが、
この本を読んで、やはりこのままでは世界中の経済はダメになるぅ!
と改めて思いました。

ともかく世界を放浪する節度なきホームレスマネーを、
なんとか日本に呼び込んで、
定住させる方法を、誰かみつけてくれぃ~!
なんとか日本の新幹線と原発のビジネスを売りこんでくれ!
と思いました。

副題として「ファージング」とつけられたシリーズの第1弾です。
イギリスを舞台にした歴史改変ものミステリで、
それを聞いただけでも、
お好きな人にはたまらないのではないでしょうか。

私はイギリスの階級社会を浮き彫りにするような読み物が好きで、
カズオイシグロの「日の名残り」を読んで、
面白くてたまらなかったクチなのですが、
このファージングシリーズも、
さまざまな階級の人々の語り口が楽しめます。
物語の筋はもちろん、
ひとつひとつのエピソードが興味深く描かれているのです。

パラレルワールドの話だと安心して読んでいると、
現代の世界情勢を厳しく批判するかのような内容になったりして、
背筋が寒くなるような恐怖を感じる場面も多々あります。
そんなこんなで一気にシリーズ3作を読んでしまいました。

あの、子供の頃からテレビドラマでお馴染みの、
松本清張の短編をまとめて読む良い機会となりました。
宮部みゆきの責任編集!ということで、
かなりの期待大!でした。
文庫版で上中下の3部ですが、
どうしようもなぁく、暗ぁい、重ぉい、
切ない気持ちになりながらも一気に読んでしまいました。

松本清張さんの短編は260編もあるのだそうで、
長編も合わせて多作で有名な方です。
しかも本格ミステリのトリックあり、
人間の内奥の哀楽をえぐりだし、
時代の底を流れる知られざる一面を暴くという、
どれもスゴイ作品ばかりです。

とくに好きなのは『或る「小倉日記」伝』『西郷札』。
まあまあが「地方紙を買う女」。
チェーホフっぽくて好きなのは「支払いすぎた縁談」です。

電子書籍として発表したことからも話題になった本書。
さすがは村上龍!
「電子書籍で利益を出すのは大変だが、
このメディアで何ができるのかを示したい」
とおしゃっています。

私はいつものごとく紙書籍を購入いたしました。
いつものごとく、表紙の美しさに感動!
電子書籍では坂本龍一さんの音楽も入っているそうですが、
なんのなんの紙上での空想で充分補えますので・・・。

これまで「ヒュウガウイルス」や「イビサ」などで、
かなりグロいシーンでもだいじょぶだった私ですが、
本作の全編に漂うグロテスクな未来観に、
ちょっと食傷ぎみです。
それだけスゴイ筆力だということだと思うので、
怖いもの見たさの人は、是非読んでみていただきたいです。
暴力的なシーンが多いとか、そういう次元でなく、
そこはかとなくグロイ。
そういう世界の広がっている小説です。
もっと元気で、血に飢えたような気分のときに、
また読むことにします。

はじめにアニメで見て、なんだこりゃあ?
と思ったのがきっかけで読んでみました。

「黒塚」というのは、
福島県二本松の安達ヶ原に伝わる鬼婆伝説が元になった能の演目で、
手塚治虫もこれを題材に漫画「安達ヶ原」を描いています。

旅人を殺して喰らっていたという鬼婆伝説というのが、
切なく怖いお話で、
そんな言い伝えに後世の偉大な作家たちが取り組むというのも、
なんともロマンチックなお話だと思います。

本書の「黒塚」はもともとお芝居用に書かれたものだそうで、
視覚的に訴える面がかなりあるように思いました。
時空を超えて求めあう魂の物語にはゾクゾクさせられます。

世界中で先陣をきって高齢化社会が進む日本。
「草食男子」とかいう言葉も流行り、
お酒を飲まない、車に乗らない、出かけない、あんまり食べない、
なんていう若者が増えている現状。
デフレや内需の行き詰まりやTPP。
なんだか日本経済の未来は暗いっ!
というのが日々思うことではないでしょうか?

でもでもそんな思い込みの誤りを正し、
ニュースの正しい読み方を指南して、
新たな日本経済の方向性を指し示してくれるのが本書です。

日本の高い技術力のブランド化や、
高齢富裕層から若年への所得移転を促す相続税対策、
さまざまな光明を見出すことができます。
経済は回るモノ。
行き詰まりはないのですね。

誉田氏の作品では『ジウ』を初めて読んで、
その衝撃的な内容、かなり強い個性をもった主人公などに圧倒されました。
その主要な人物造形ではかなりダークな側面が強調されていて、
対する人物はステレオタイプかと思うほどの明るさをもたせてあるのが、
少し難ありの感があったのですが、
この『ストロベリーナイト』では、
その辺が適度に緩和されているようで、読みやすかったし、
読後感もそれほど悲観的になることなく済みました。


この小説はドラマ化され、
11月13日からフジテレビで放送される予定だそうで、
話題性は抜群の作品なのではないでしょうか。
キャストを見てみると、
主役の姫川に竹内結子というのもうなづけますし、
あの井岡はこの人しかいない!という生瀬勝久さんで、
日下も遠藤憲一と、やはりこの人しか・・・という配役。
しかもガンテツに武田鉄矢!
最高だと思います。
シリーズ新作も楽しみだし、ドラマも楽しみにしています。

なんだか最近ミステリ小説ばかり読みすぎてて・・・。
もう現実には戻れないっ!
という気分です。


この「沈底魚」は江戸川乱歩賞を受賞したという名作。
大物の沈底魚が、日本に潜っている。
亡命中国外交官による衝撃情報を受けて、
公安刑事たちの極秘捜査が始まる!
というワクワクドキドキ小説です。


警察小説なんかを読んでいると公安刑事というのは、
目つきの悪さだけが目立つチョイ役だったりするのですが、
この小説を読んでいると、その味方も変わるってものです。

そもそもアメリカのCIAもの小説なんかを読んでいていつも思うのは、
はて日本の国家機密は外交は、誰によって守られているのか?
ということなのですが、
この本でその辺がハッキリしたりするかも?です。
日本の公安も立派な面白いお話になると証明された作品です。

日本のユング派心理学の第一人者であり、
臨床心理学者で文化功労者、さらには文化庁長官を務めた。
独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け、
物語世界にも造詣が深かった。
そんな著者が惜しまれながら亡くなったのが2007年。
もうそんなにたってしまったのか・・・。
とちょっと茫然としてしまいました。

著者の作品はどれも面白くて、
落ち込んで身動きのとれなくなった自分を助けてくれる存在であり、
ひとりで深く潜航することを肯定してくれた唯一の存在でした。

何度も読み返す本も沢山ありますが、
久しぶりに新刊ということで早速手にとったのが、
この遺作となった「泣き虫ハァちゃん」でした。
いつもの悪い癖で本のおしまいのところから読んでしまい、
奥様のあとがきで不覚にも号泣・・・。
物語が始まってからも、
自然の風景に触れ、兄弟の優しさに触れ、
涙が溢れてとまりませんでした。

ふるさとを失った全国民に告ぐ!
これは必読の書であるぞ!