【観劇記録】春すぎて | 手上のコイン Blog

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ラーニングラパン第一回公演
『春すぎて』

2011年5月10日(火)~15日(日)
笹塚ファクトリー

作・太田善也(散歩道楽)
演出・木野花

■Cast

兎本有紀
荒谷清水
宮下今日子
瀬川亮
皆口裕子
小椋毅
田岡美也子


■Story

もしかしたら人生の「春」はすでに過ぎ去ったのかもしれない。
いろんなものを失ってきて、その怖さも、自分を守る方法も知っている。
それでも、未来への不安を抱えながら、やっぱり人恋しい。
もっとこうすれば上手くゆくのに、と分かっていても、どうしても割り切れない。
いつも何処かに行こうとして道に迷い、
人生に遭難しかかっている登場人物たちの
「いま」・「ここ」での物語。
(チラシより)


舞台はルームシェアで4人の男女が暮らす一軒家。
その家の持ち主であり、ライターの美智子は、突然、この家を売り払うので、ほかの住人にはあと2ヶ月で立ち退いて欲しいと言い出す。

慌てるルームメイト達。
なかなか芽の出ないシェフ見習いの西野。
売れないカメラマンで、旅行好きのエミ。
妹が出戻ってきて、肩身が狭く、実家から出てきた岡留。
3人は美智子に何かあったのかといろいろ勘ぐるのだが、なんだか美智子ははっきりとせず…。

そこで、他の3人は何とか家の売却を思いとどまらせようと話し合い、
とりあえず連載を打ち切られた美智子の金銭面をカバーしようということで、
納屋を整理して新しい入居者を募集したり、家賃の五千円アップを提案したりする。

3人に頼み込まれていちおう期限付きでそれは許可を出したものの、彼女の様子は優れない。
そんな中、2ヶ月という制約付きでもいいという入居希望者が現れるのだが、彼女もどうも訳ありの雰囲気が漂う。

人生がこれでよかったのかという、漠然とした不安。悔恨。
なかなか上手く回らない現実と、それでも続いてゆくこれからと。
明確な答えなど出ないけれど。普通はそれでもみんな生きているし、どうにかやっている。

けれど、たまにその小さなひっかかりに躓く時があったりするのだ。
些細なことで躓いて。
でもまた些細な何かで少し気持ちを持ち直したりして。

繰り返し。
繰り返し。
繰り返し。

台詞の中に、日本人は3割が幸福で、7割は不幸なんだという言葉があった。
手に入らない欲しいものの存在が、人間を不幸にするのだと。


それを知ることが、「幸福」なのか。「不幸」なのか。
その答えは、それぞれが見つけていくもので。
ただ。
この芝居を観終わって、
悪くないなと思った。



それも悪くない。

いい芝居だったな~。