…書いても書いても去年の宿題(観劇記録)が終わらないのはなぜだろう…。がーん。
演劇集団キャラメルボックス
『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』
名鉄ホール 2009年11月6日~8日
新神戸オリエンタル劇場 2009年11月14日~22日
サンシャイン劇場 2009年11月2日~12月25日
■Cast
西川浩幸
渡邊安理
大森美紀子
坂口理恵
菅野良一
前田綾
細見大輔
岡内美喜子
三浦剛
筒井俊作
左東広之
阿部丈二
多田直人
小林千恵
■Story
もし、突然他人の心の声が聞こえるようになってしまったら?
ふいに手にした天使の耳のような不思議な力。
けれど、聞こえてくるのは、知りたくない心の声ばかり。
仲がいいと思っていた家族が、本当は自分のことをどう思っているのかとか…。
そんな中、娘がある事件に巻き込まれていることを知り……!
彼は、その危機から娘を救おうと立ち上がる!
今回は、とりあえず印象的だったのは細見さんで。それは役としてではなくて。
汗だくで、これでもかと動きまくっていたからで…(^_^;)
普通に考えると明らかにやりすぎな気がするのに不思議とやりすぎ感が湧かなかったのに、『?』マークを点してました。
動き回って、自分の『心の声』役の筒井さんを翻弄しているのが面白かったわ…。まぁ、ああいう遊びは、他の『心の声』がきちんと成立していてこその『遊び』だから。っていうのもありますが。…つまり、高度なんだよな。あれは。
あと役としては、丈二くんの秋人さん。
笑いをとるような役もいいけど。やっぱり私は、真面目な役の彼が好きだなと。光の帝国のライブスパイア見た時も、やっぱりいいなぁと思ったしね。
秋人という人物の繊細さ、優しさが滲んでいて、凄く良い役作りだと思った。
物語の中での秋人の扱いには不満が残るけれど、それは脚本の弱さなので、役者さんには如何ともしがたい部分だしな…。
あとは、左東さん演じる詩郎くん。
以前から、ちょっとテンションの高いウェイターとか(笑)アクセント的な小技を使う役はチョコチョコやっていた気もするけれど、
明らかに以前とは出来る芝居が変わっていて、個人的にニヤリとした私…(笑)
これも、役者さんには如何ともしがたい要素で『イラッと』させられる部分があるものの。(そしてそれが成井さん的には決め台詞なんだろうあたりがなんとも…)それを持ち味で覆してくれる部分もあって。またまたニヤリ。
あとは、綾さんが素敵でした。ああいった『静か』な役作りって、どれくらいぶり?猫針以来?綾さんも、個人的にはコミカルな役より、ああいう方が好き。
っていうか、ムダにテンション高い、上滑りする笑いは、全体的に無くていいです。
特に今回のような役だとね…。
お話としては。
あらすじからして私には特に目新しい要素がなく。
正直なところストーリーに期待した部分はなかった。観て、今回はどうにも脚本が弱いなと思ったのも事実。
『心の声』の演出がなかったら、この芝居は完璧にコケている気がする。
前二作品が『作品力』のある再演作品だっただけに、どこをどうしてこうなっちゃったの?という思いが拭えない。
ただ、『心の声』に主人公の静治が打ちのめされるのかなぁと思っていたけれど。実際には心の声よりも、娘の奏の口から飛び出す言葉の方がよほどきつくて、『おや?』という…。
心の声なんか聞こえなくても、ちゃんと話をする時間や、子供に対する興味を持っていれば、コミュニケーション取れていたんじゃ?お父さん。
って、そもそもの設定の意義までひっくり返すのはやめておこう……(-_-;)
いや。そこはね、意外と良かったんですよ。ただ、怖い頑固オヤジに対する子供の反応としては、あまり屈折してないなぁ…と思いはしたけど。
考えるだに、西川さんのお父さんて、頭を打つまではよっぽど酷い父親だったとしか思えない。子供は実に健やかに育ってるますけどね(笑)お母さんがしっかりしてたんだろうねぇ…。もしくは反面教師か。
そして同時に。そんな父親だった静治がいくら『心の声』という荒療治があったにしても、いきなり人の心の裏まで読める思慮深さを手に入れるのがイマイチ腑に落ちないままで終わってしまった。
たぶん、腑に落ちなかった最大の原因は、『心の声』があっさり聞こえなくなったことで。でも、個人的にはそれは静治の嘘であって欲しいな…と。もし、『本当に聞こえなくなって大団円』なんてつもりで成井さんが脚本書いていたらそれこそガッカリだなぁ…。
と思いながら観劇していたら、どうやら小説のほうではそのあたりまで描写されているらしい。
静治自身がこの『天使の耳』との付き合い方を考えた結果、『聞こえなくなった』ことにする決意をした。という形で。
しかしそれはそれならば、もうちょっと簡明に観客に匂わせて貰いたい。だって、キャラメルだし。
そこで観客が『なるほどね』と思ってニヤリとして終わる方が絶対的に面白いし。
で、その場合はそれを知っているのは白神さんだけになる訳だね。
静治の決意を思えば、それに気づいている人間は少なければ少ないほどいい。
それが静治自身の抱える秘密の重さと、彼の成長の大きさに比例していく筈だから。
ストーリーとしてはその方が良質だよね。
ま。どちらにしても、そのあたりが中途半端なのが納得いかないのでした。
と、芝居そのものの感想はひとまずここまで。
(結局、あのしゃっくりは22日時点で改訂されてなかったから千秋楽まで変わらなかったんだろうな…)
役者さんの芝居を見ながら、この人は成長したなぁ…とか。停滞中だなぁ…とか。もう一つ殻が破れたらなぁ~とか。そこまでやりますか?とか。流石だなぁ~とか。
なんか、色々思いつつ。
演出も楽しみつつ。
『これで脚本に納得出来てたらな……。』
一抹の不安と不満を残したクリスマスツアーでありました。