顔が猿で体は狸、手足が虎で尻尾が蛇の、「平家物語」などに登場する妖怪。
鳥のトラツグミに似た、「ヒョーヒョー」という声で鳴くとされた。
胴体について何も書かれなかったり、胴体は虎だったり、背が虎で足が狸で尻尾が狐、また頭が猫で胴は鶏とする資料もある。
一説には雷獣であるとされ、その出現時期も、平安時代のいつごろか、資料によって諸説ある。
元来は夜に鳴く鳥のことであり、現在ではその正体はトラツグミであるというのが定説。
この鳥の寂しげな鳴き声は平安時代の人々には不吉なものに聞こえたため、凶鳥とされた。
平家物語の中では鵺退治の一部始終が描かれており、現在でも静岡県伊豆の国市では毎年1月に鵺払い祭が行われたり、関西の各地に鵺退治に由来する史跡が存在する。
鵺(江戸時代。歌川国芳・画)
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恐るべしキメラ。
なんだかわからないけどとにかくすごい。
実際に確かめると鳥の鳴き声だったりするものでも、正体がわからないというのはとにかく不安。
小さいころにお化けが怖くてトイレに行けなかったりしたのと同じことだと思うのだけど、
それがこんなに具体的な形になっていて、みんなが共通に認識していて、
それを退治する任務まであったというのだから、すごいことだよなあ。
目に見えないものの力というのが、今以上に強くて、畏れを抱いていた時代だったんだな、と思う。
良くも悪くも。