数年前のことです。
いつも行くボディケアのお店(マッサージ屋さん)に新しい施術師(男性)が入りました。
その人が、たまたま担当になった日、頭皮のマッサージをしてほしくなかった私は、そのことを伝えました。
ストレートに「頭皮はさわらないで下さい!」と言うと、かなりキツい口調になると思ったので、
「美容院でヘアカラーをしたあとに、美容院のヘッドマッサージコースを受けたのですが、それが強かったせいか、頭皮が傷んでいるんです。すごく痛くて……」と言いました。
普通だったら、ここで「じゃあ、頭皮はさわらないようにしますね」と、わかってくれると思ったのですが……
男性はクールに「それで?」と聞きます。
「え? えっと? なので、今日は頭はしなくていいです」
「頭はさわらないでほしい、ということですか?」
「あ、はい、そうです」
男性はちょっと怒ったような感じだったので、「なんでかな? 言い方がまずかったのかな?」と思いました。
それから、その男性が担当になることはなく、3ヶ月くらいたった頃、男性は辞めました。
そのお店はその後、ほどなくして閉店しました。
それから私は、またボディケアのお店を探し、あちこちに行って、とあるお店に行ってみたら……そのお店には、あの時の男性がいました。
私の担当になり、マッサージをしてもらっていると、若干、強めです。
それを伝えました。
これもバーン! とストレートに言うと、せっかく一生懸命にしてくれているのに、キツい言い方になるかも? 失礼かも? と思った私は、
「あの? もうちょっとゆるくても大丈夫です」と言いました。
「弱くしてほしいということですか?」
「もっと軽めでもオーケーです」
「それは、弱くしてほしい、ということですか?」
ここで、初めて、「ああ、この人はちゃんと正確に言わないとダメなんだ!」と気づきました。
「そうです、弱くして下さい」と言うと、
「はい、わかりました」と、男性は機嫌を悪くすることなく、少し力を抜いて、指圧をしてくれました。
その後もそのお店に行って、男性が担当になった時は、「もっと強くして下さい」とか「今日は腰はさわらないで下さい」と、思いっきりストレートに言っています。
男性は、「わかりました~」と、いつもニコニコです。
人は誰でも、自分と同じ……と無意識に思ってしまいますが、違うのですね。
においに関しても人それぞれで、香りによっては、におわない人もいます。
私は強度の近視です。
裸眼でいなければいけない、というところでは、「あ、この人、自分の足も見えていないんだ〜」と思われる立場です。
相手も自分と同じだと思うと、かみ合わない時に「なんでそういう言い方するんだろう?」と不快に思ってしまうかもしれません。
けれど、「相手の感覚は、自分と違っているかもしれない」と思えば、悪く取ることはないように思います。
言葉を理解する感覚が違う人もいる、という、大切なことを、私は今まで知りませんでした。
でも今は、常に頭の片隅に置いています。
私にとって、とても大きな学びになった、というお話でした。
ついでと言ってはなんですが、においの感覚の記事も貼っておきますね。
10月31日発売です。