これ圧着できる?と聞かれて圧着端子だけを渡されても筆者ならできます。(豪語)
まず、圧着端子を見て型番を特定します。今回は日本圧着端子製造株式会社(JST) のSLシリーズでした。対象となる線の太さは0.75㎟です。
日本圧着端子製造株式会社(JST) SLシリーズ
各型番は以下です。
リセプタクルハウジング
SLR-02VF
プラグハウジング
SLP-02V
ピンコンタクト
SSM-21T-P1.4
ソケットコンタクト
SSF-21T-P1.4
※リセプタクルハウジングにはピンコンタクトが、プラグハウジングにはソケットコンタクトが入ります
取扱説明書
CHM-1-041
※こちら転載厳禁との事で本記事では取り上げません
筆者はオープンバレル圧着の調査と試作圧着を得意とします。
参考Blog内リンク:
SSF-21T-P1.4の連鎖端子状態
リセプタクルハウジング SLR-02VF、プラグハウジング SLP-02V
リセプタクルハウジングにはピンコンタクトが、プラグハウジングにはソケットコンタクトが入る(ややこしい!!)
ピンコンタクト SSM-21T-P1.4、ソケットコンタクト SSF-21T-P1.4
カタログの図面
ハウジングと内部ピンが逆転していることが分かる立体図
SLシリーズはクランプが上下入れ替わって篏合しているところも特徴
今回の圧着は純正の指定工具を用意しません。依頼された本数と価格が見合わない為ですが、調査は行いました。
SSF/M-21T-P1.4用圧着工具は国内だとYC-550なのですが、ネットを検索するとより小型のWC-550がヒットします。但し、日本のカタログにはWC-550は記載されていません。国内のJSTに問い合わせを行ったところ、WC-550は海外法人が設計製造している工具の為、日本国内でのサポートは一切しませんとの事でした。そうは言っても、ユーザから見れば同じJSTですしそもそもハンドツールは試作のみ対応ですしそんな事は関係ありませんので、ロケータ付きのWC-550を使用する方がきっと圧着もうまく行くはずですので試作圧着の際の工具を悩まれている方がいらっしゃいましたら、工具の性能的にWC-550をお勧めします。
JST Sales America Inc. WC-550(WEZAG社のOEM、Xで教えてもらった)。YC-550はAMP時代の工具と似た形状
SSF/M-21T-P1.4用圧着工具は国内だとYC-550、海外だとYC-550&WC-550。WC-550は日本国内ではサポート外とのこと
指定工具はあきらめて、汎用工具での圧着を行う為にダイスの選定を行いました。使用した工具は下記リンクで取り上げている
Neutrik
圧着工具 HX-R-BNC
圧着工具用交換ダイス DIE-R-HA-1
RENNSTEIG品番
圧着システムプライヤー PEW12 624-000-3
圧着ダイス 624-053-3-0
以上を使用します。
Neutrik 圧着工具 HX-R-BNC、圧着工具用交換ダイス DIE-R-HA-1
このダイスは最小しか使用ないため・・・・
真ん中のダイスを加工し、心線クランプ部分を縮小した
このダイスは被覆クランプ部分がオープンバレルの標準系でよくあるω型の断面ではなく、右側の丸型になっている
取扱説明書 CHM-1-041が引用できない為、MOLEXの圧着ハンドブックを引用します。
(転載禁止って・・・マニュアルなのになぁ・・・)
オープンバレル圧着端子の適正圧着については下記外部リンクが参考になります
【PDF】Visual_inspection_of_crimped_connections
【PDF】MOLEX 圧着ハンドブック注文番号 63800-0029
MOLEXの圧着ハンドブックより1
MOLEXの圧着ハンドブックより2
オープンバレル圧着の規準に則り、圧着を行う
汎用工具での圧着例※指定工具は使用していません
指定工具を使用していない為、100%の仕上げを念頭に80%平均くらいを目指す。決してすべてを100%でやろうなんて考えてはならない
完成した状態
篏合もOK
実際の端末処理
もう何度も経験した手順ですので今回もうまく行きました。信じられるのは自身が積み上げた技能であることが伝わると幸いです。