数あるマイクロホンケーブルの中でも最大の端末処理難易度を誇るのがKLOTZ MC5000 マイクロホンケーブルです。
これが難しい理由は、とにかく半田付けの熱に弱い事です。
半田付けをする為のケーブルなのに半田付けの熱に弱い(なぜ?)
普段、半田付けの際の半田ゴテ温度は340℃で行い、3秒程度当てていますが、その通りに行うとXLR側に余熱が残り、KLOTZ MC5000のシースを熱収縮させます。
良いケーブルの第一条件は、「端末処理がしやすい事」とはある方の受け売りですが、これほどまでに痛感する事は初めてでした。とにかく、半田付けを拒絶するケーブルです。
KLOTZ MC5000の内線シースを溶かさないために半田を低温度用に変える、規定通りの半田付けをせず、チョンチョンつけてごまかす等の方法はありますが、半田の熱で溶けてしまうケーブルに対して半田付け方法を変更するのは本末転倒ですので対策を考えました。(悪いのはケーブルです)
それは、内線シースに熱収縮チューブをあらかじめかけ、耐熱性を上げておく事です。
パンドウイット HSTT09-YK1
熱収縮チューブ カラーコンビネーションパック 7色入り
最小収縮前内径(φmm):2.4 最大収縮後内径(φmm):1.2 長さ152mm 24本入り
自作の定尺熱収縮チューブカットツールで15mmにカットする
ちょっとしたツールがあるだけで作業性が格段に上がる(時間がある時に定期的にこの様な作業法を確立しておく)
参考Blog内リンク:
※上記記事は発注段階でカットしてもらっています
熱収縮チューブを取り付け、予備半田をした状態
耐熱性は劇的に向上し、しっかりと予備半田も行う事が出来るようになりました。
端末処理完了
これで、内線が半田付けの熱でトロットロに溶けて熱収縮してしまうKLOTZ MC5000 マイクロホンケーブルの端末処理が可能になります。
このKLOTZ MC5000 マイクロホンケーブルの端末加工の注意点は半田の熱に弱いだけでない為、下記に箇条書きをしました。
注意点。
1.ケーブルが太く、参考作例の様にケーブル外側に熱収縮チューブを被せるとノイトリックのXLRで掴めるギリギリのサイズになる(ケーブルがΦ7mm、XLR最大保持が8mm。場合によってはNeutrik BXX14を使用しチャック径を上げる必要がある)
2.スパイラルシールドの素線が多すぎてまとめるとノイトリックのXLRのオスに乗らない(メス側は何とかギリギリ乗る)
3.内線を包んでいる白いインナーシースが内線に肉薄しており、ストリップし辛い。(内線シースに傷を付けないように気をつける)
4.内線が熱に弱く、半田付けを規定通りに行うとシースが収縮してしまう。
以上の懸念事項があり、KLOTZ MC5000 + Neutrik XLRの組み合わせは端末処理初心者には不向きであると言えます。自信が無い方は完成品を購入しましょう。(その際は信頼できるショップを選びましょう)
最後に繰り返しますが、良いケーブルの第一条件は、「端末処理がしやすい事」です。なぜなら現場で作業員が困るようなケーブルは作業効率を落としますし、作業効率が低いケーブルは普及に繋がらない為です。
本記事がどなたかの参考になれば幸いです。