鋏によるワイヤーストリップの方法 | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

鋏によるワイヤーストリップの方法です。「ケーブルストリップ」と表記したいところですが、ケーブルに対して鋏で端末処理を行うには、対面指導無しの説明だけでは不可能に近いので、非常に簡単に説明が済む「ワイヤーストリップ」のみに絞ってみる事にしました。分かりやすいようにイラストを作成し、映像も撮影しました。

 

最初に明記しておきますが、鋏による端末作業を推奨するものではありません。どんな道具を使おうとも、結果が伴えば何でも良いのです。

※筆者はカッタとニッパと鋏を使用した作業を推奨しています。

 

参考Blog内リンク:

池坊型花鋏によるケーブルストリップを考える

 

それでは説明です。

 

 

1. シースのみに少しだけ切り込みを入れる。

※「刃が心線に触れない事」を常に意識する

 

 

2. コードを90°回転させふたたびシースのみに少しだけ切り込みを入れる。

(チョン、チョン、くらいのイメージで行います)

 

 

3. 切り込みから少し外側のシースをつかみ、引き抜く。

 

 

4. 親指を支点にし、テコの原理でシースを引き抜くと作業が楽。

 

※ 線種に応じて、上記の工程を1-3-4、1-4(そのままシースを引き抜く)と踏んでも良い。

 

 

 

参考写真

 

 

鋏でのみ行えるケーブルストリップ 

 

 

【参考映像】鋏によるワイヤーストリップ

 ※おまけでAE線のストリップも撮影しています

 

 

以上の様に、鋏によるワイヤーストリップは比較的簡単に出来、かつ実用に耐えうる性能があります。特に数ミリ単位で狙ったところをストリップするには最適です。

これが多種多様なケーブル丸ごとを鋏1本で・・・となると途端に難易度が上がります。想像してもらえると分かりますが、ケーブルを鋏でつまむと言う行為はケーブルの弾性変形を伴います。すると、シースに掛かる「鋏の2枚の刃の圧力」が両側から挟む事になる為になかなか一定になりません。筆者はカッタナイフではシースの厚みに対して半分の深さで切れ込みを入れる事が出来ますが、鋏で同じ事を行うには相当の訓練が必要に感じました。刃が一つであるなら出来ることが、刃が二つになる事により難易度が増すというわけです。

※動画で紹介しているAE線は比較的難易度が低い

※このケーブルは鋏で可能、このケーブルは鋏に不向き、など条件が出てきます

(筆者としてはシースが硬いと可能で、ゴム系のような柔らかいケーブルに対して鋏は不向きであると考えています。)

 

 

カッタでシースの厚みに対して半分の深さで切れ込みを入れる例(比較的短期間の訓練で可能)

 

 

筆者が習った方法(カッタナイフでシースの厚み半分に刃を入れることで内部シースや編組に傷が付くことがない)

 

 

他の記事でも散々紹介している、そこまでの訓練を積まずとも確実な端末処理ができる上記の方法を筆者は推奨しています。

最後にもう一度書いておきますが、以上の記事は鋏による端末作業を推奨するものではありません。どんな道具を使おうとも、結果が伴えば何でも良いのです。

 

以上が鋏によるワイヤーストリップの方法です。参考になれば幸いです。

 

 

おまけの考察

 

池坊型花鋏によるケーブルストリップを考えるでも触れていますが、現在進行形で様々な鋏を試し、考察しています。そんな中、華道用花鋏と電工用ケーブル鋏では刃の付け方に決定的な違いがあることが分かりました。おまけでこの記事に残しておきます。

 

 

花鋏の刃の断面
先端まで尖り、繊細な作業に向く。同軸ケーブルの絶縁体の切断も行えるが反面、固いものを切断する際に刃こぼれを気にする必要がある。

ケーブル鋏の刃の断面
先端で刃の角度が変わり、固いものを切断する際に(花鋏よりかは)刃こぼれを気にする必要がない。反面、同軸ケーブルの絶縁体切断などの繊細な作業に不向き。

 

 

筆者は長年、電工用ケーブル鋏を使用しており、華道用の物を触ったのはここ最近の話です。「鋏で同軸ケーブルの端末処理を行う」と言う話は聞いた事がありましたが、絶縁体の切断が直角に出来ないので無理では・・・と思っていました。が、華道用の鋏では垂直に切断が可能な事が分かりました。(だから何なんだ・・・)

 

 

同軸ケーブルの絶縁体切断イメージ

 

 

「蕨手(わらびて)花鋏」でケーブルストリップを行う人がかつていて、今も各地に残る。

この調査はまだまだ続きます・・・