BTS 3心プラグを2020年に発注してみた | 音響・映像・電気設備が好き

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以前に書いた、110号プラグの歴史を調べてみた2~ホール音響編~でBTSプラグの知識が付きました。

 

NHK放送技術規格(BTS)4101(1964) 3心形プラグ(単頭のみ)

3心プラグ 3C(N110号Eプラグ)
短絡プラグ S3C(110号TR-Aショートプラグ)
負荷プラグ L3C(110号Tプラグ)
断路プラグ O3C(材質:電気用エボナイト捧)

 
 
Aizakiさんのホームページでは未だにBTSプラグが掲載されているので、代理店経由で発注が可能なのか問い合わせてみた所、取引実績もあり可能との返事が来ました。
 
参考リンク:
株式会社 Aizaki 製品情報(通信用プラグ・ジャック)
但し、負荷プラグ L3C、断路プラグ O3Cが現在生産できるとの事でした。というわけでこの2本を1本づつ頼んでみました。待つ事、一か月・・・
 
 
負荷プラグ L3C(110号Tプラグ)、断路プラグ O3C(材質:電気用エボナイト捧)
 
 
来ました!!記念購入で申し訳ありません・・・・(ちなみに23000円くらいです)
負荷プラグ L3Cの元になっている 日本電信電話公社仕156号 図ー29617 110号Tプラグは昭和36年5月11日制定(第4版)となっています。110号プラグが未だに生産されているのも凄いですが、負荷プラグが2020年の今でも需要があるという事に驚きです。これはつまり、600Ωで終端しなければならない機器が存在すると言う事です・・・
 
追記:ラジオ送信所が送信機を購入すると負荷プラグが付属されるとの情報がありました。と言っても数百本出るなんて事は無さそうですね・・・代替が無いからBTS規格準拠品を使っているのでしょうね。つまり、送信機はトランス受けの600Ωインピーダンスマッチングとの事です。
 
 
負荷プラグの拡大写真。新品を見るのは初めてで、仕上がりが参考になりました(ピカールで磨かれたものが多い為、この光沢状態は初めて見ます)
 
 
断路プラグの拡大写真。材質は電気用エボナイト捧で削り出されています
 
 
背面の刻印はBTS 4101(1964) 3心形プラグには規定されていない仕様ですが、当時からこの刻印は他社製品でも採用されていたとの事です(写真を頂きました)
 
 
記念にイラストも描きました。こういう絵はAdobe Illustratorの3D回転体機能で簡単に描けるので良いですね
 
 
 
分解写真。バネ材質はピアノ線、抵抗は巻線抵抗となっている(構造としては110号プラグの後ろの露出する段差部分を切り落とし、絶縁カバーを掛けています)
 
 
NHK放送技術規格(BTS)4101(1964) 3心形プラグの解説には以下の事が書かれています。
 
負荷プラグは電電公社仕様に合わせて、従来より多少細くなっている。
負荷プラグも短絡プラグと全く同じ構造として、抵抗に巻線を用いず、炭素皮膜固定抵抗器を用いたものも試作されたが、公社仕様に合わせることとした。
 
NHK放送技術規格(BTS) 4101(1964) 3心形プラグは昭和39年12月25日改正で、制定日は昭和25年9月9日です。この昭和25~39年の間のうちどこで負荷プラグが定義されたか不明ですが、昭和39(1964)以前は負荷プラグは一回り大きかったと言う事が解説から読み取れます。
当時は巻線抵抗でないと30dBm(1W@600Ω)を受けられなかったのでしょうか?また、内部のピアノ線で作られているバネも何のために組み込まれているのかが良く分かりません。抵抗が動かないようにするためですかね?
※気軽に分解するとどこかに飛んでゆきます。
 
 
2020年5月製造の刻印
 
 
 
 
頂き物の1974年9月製造のL3Cプラグと並べて撮りました。彫刻の精度が全く異なります
 
 
内部刻印は1973年4月製造でした。2020年5月製造とは実に47年の差があります
 
 

全く誰かの役にも立つ情報ではありませんが、2020年でもBTSプラグは発注できると言う事です。

自社でプラグを製造しているわけですから、規格通りに生産すればいつでも出荷が可能なのでしょうね・・・プラグ屋さん恐るべしです。