ハイインピーダンス・スピーカの出力音圧算出計算式 | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

ハイインピーダンス・スピーカの出力音圧算出計算式を作成しました。

元々、非常放送設備の設計をされている方なら常識の話なのですが、今回、計算がしやすいようにエクセルでまとめました。また、PAさんが屋外でホーンスピーカを使用することを想定して、ディレイタイム算出をおまけでつけました。

ダウンロードは以下から
■デシベル計算表と換算表■
http://www.holycater.sakura.ne.jp/zip/db_kansan.zip
※一連の音響計算式がまとめて入っています。タブを切り替えて使用してください。

イメージ 1
こちらがエクセル画面です。

ひとつ算出例を出します。
TOA CS-153 ワイドホーンスピーカー15Wを使用すると仮定しましょう。
こちら90度指向性なので平面図での計算が楽です。あと、型番が筆者のラッキィナンバと同じです。

イメージ 2
TOA CS-153 ワイドホーンスピーカー15W

これのスペックを調べます。
出力音圧レベル:97dB、インピーダンス切り替え:15W、10W、5Wです。
これを15W鳴動させるとします。
実は上の計算式ですでに入力されています(笑)

能率97dB(1W、1m)、つまり1W時に97dBのスピーカに15Wですので、10logで計算します。
※筆者もいつもいつも思い出せるわけではありませんが、ワット数が基準の場合、つまり電力の場合は10logです。電圧の場合は20logです。
普段、dBu、dBVという単位で扱う場合は後者ですので、「倍だと3dB」という感覚は10logを普段扱わない人にとっては違和感があると思います。
ちなみに、ハイインピーダンス・スピーカの世界では、パワーアンプに0dB(1Vが多い)の入力をしたときに出力される電圧が100Vであり、末端であるスピーカが1Wなら、能率のdB値をドライブするという単純な話です。

10*log10(15W/1W)

なので、増加量は11.8dB、能率97dBは97dB SPLのことなので、合計108.8dB SPLと算出されます。

普段ハイインピーダンス・スピーカに触れている方は常識ですが、100^2/15でインピーダンスが算出できます。この場合は666.6Ωで、メーカ公証は端数を切って670Ωですね。

ここで算出される値は「距離1mでの場合」なので、ここから自由空間減衰量を引きます。

自由空間減衰量は20logで減衰しますので、15mを想定した場合、計算式は

20*log10(15m/1m)

なので、減衰量は23.5dB、先ほどの値、108.8dB SPLから減衰量を引いて、85.2dB SPLという値が算出されます。
85.2dB SPLというと相当うるさいです。(交差点の車の騒音に相当)
ちなみに、普通の会話が70dB SPLほどと言われています。


おまけですが、気温15度中の音速は秒速340mですので、1m進む秒数をここから逆算して、

1m/340m = 0.00294sec = 2.9msec
15m*2.9msec = 44.1msec

スピーカから、15mの距離にある受聴点では44.1msecの遅延があることがわかります。

こうして、計算式で出すのが面倒なので、エクセル化しました。
誰かの助けになれば幸いです。