フォトダイオードとベイヤ配列 | 音響・映像・電気設備が好き

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フォトダイオードとベイヤ配列という題名ですが、専門的な事はひとまず置いておいて、CCDやCMOSなどで画像を撮像するということはどういうことなのか?という概念を説明します。

この仕組みは基本中の基本なのですが、このBlogで理解した方が一人でもいらっしゃったら幸いです。

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まず、「フォトダイオード」という素子があります。これは簡単に言ってしまうと「光をエネルギィに変換」する素子です。身近なところでは太陽電池(ソーラ・パネル)や赤外線リモコンの受光部などで使用されています。似たものであれば、暗くなったら点灯する街灯などがあると思いますが、あれのセンサ部分に利用されています。
この「光をエネルギィに変換(正確には光が加わると電子が飛び出す)」出来る現象「光電効果」は19世紀には確認されていましたが、アインシュタインが「光量子仮説」で説くまで理論的な解明が出来ませんでした。
ちなみにアインシュタインはこの光電効果を説明した光量子仮説でノーベル物理学賞を受賞しています。※特殊相対性理論・一般相対性理論では受賞していません。

フォトダイオードは光の受光量に応じて電子を放出するので、時間軸に沿って電子の数を観測することにより「光の強弱」が分かります

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さて、一つのフォトダイオードでは「光の強弱」しか分かりませんが、カラーフィルタで光を三原色に分けて、3つのフォトダイオードで受光すればRGBの3値が得られるので、色が分かります
これが、色を捉える基本的な考え方です。

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このカラーフィルタ3つとフォトダイオード3つを「一つのセル」として扱い、敷き詰め撮像素子をつくり、レンズで像を結べばカラーの画像が得られます


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しかし、実際は上記の方法ではオーバ・スペックなので、大概の場合、Eastman Kodak社のDr.Bayerが発明した「ベイヤ配列」が用いられます。ベイヤ配列は人間の「緑に対して高い感受性を持つ特性」に基づき、緑の素子が赤と青に比べて倍の数配列されています。
この方法ですとフォトダイオードを1/3に減らすことが出来る為、生産性が向上するのでコストダウンが図れます。

※このBlogでも何度か触れていますが、動画・静止画ともに記録する段階で人間の目の特性に合わせて何らかの補完や圧縮が施されているので、撮像する段階だけ特別に機能を上げる必要がないのです。


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ベイヤ配列における各画素は一つの色のデータしか持たないので周辺にある違う画素の色データの平均値を貰い、RGBの3値を算出します。これは「補完」であって、色の再現性は損なわれてしまいます。
※この補完アルゴリズムは、実際は各社さまざまだそうです。
※デジタル一眼レフなどでRAW撮影というものがありますが、あれは、カメラ内部で画像処理をさせずに、CCDで得られたベイヤ配列(もしくはそれに似た方式)そのままのデータを記録する方法です。

市販のビデオカメラで、「1920×1080のフル・ハイビジョン撮像素子を搭載しています!」と謳っている物は単板素子なのでほとんどがベイヤ配列です。各画素(ドット)がRGB値を持っているわけではありません
※余談ですが、撮像素子とは反対に、FPDパネルなどの画像表示素子は1画素がRGBと3セルあるので、例えば1920×1080のパネルの正確な解像度は5760×1080なのです。業務器などでは仕様書に5760(3セル1画素)×1080という表記がされていたりしますね。

プリズムで分光し、3つの素子で画像を撮像する3CCDや3CMOSはベイヤ配列を用いず、「補完が入らないで同じ位置のRGB3値が得られる」素晴らしい方式なのですが高価です。
※これは最初に説明した「カラーフィルタで光を三原色に分けて、3つのフォトダイオードで受光すればRGBの3値が得られる」をフォトダイオードのセル数を増やすことなく実践しているのです。

駆け足ですが、以上で説明は終わりです。
※少しづつ修正を重ねますのでご了承ください。


参考文献:
映像情報インダストリアル2010年1月号
   「低コストFPGAによるCMOSイメージセンサ・プロセッシング」より
光と光の記録 光編 安藤 幸司著 産業開発機構
光と光の記録 光編その2 光の属性・干渉・回折 安藤 幸司著 産業開発機構
相対性理論と量子論 佐藤 勝彦監修 PHP研究所
基礎からの物理学 原 康夫 学術図書出版社
Newton別冊 アインシュタインの「ひらめき」時間と空間 ニュートンプレス