民生用映像ケーブルにBNCを取り付ける | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

設備としてはNGですが、例えばデジカメの映像出力を利用した簡易的な送出だとか、業務用モニタのコンポーネント入力(YPbPr・YCbCr・Y R-Y B-Y)に確認用としてDVDプレーヤを繋ぎたい(※モニタの設定を変更する必要あり。詳細は一番最後。)だとかで、どうしても民生用映像ケーブルのRCAアウトがBNCだったら楽なのに…でも変換プラグを常時使うのはナンセンス…なんて思う時があるでしょう。そんな時に役に立つかもしれませんので「民生用映像ケーブルにBNCを取り付ける方法」を情報としてここに残します。
※機種依存コネクタ→RCAピン・ケーブルのRCAピンをBNCに置き換えることが可能ってことです。

 

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今回の加工に使用するケーブルはJVCのD端子→RCA×3のコンポーネント変換ケーブルです。(制御線3本はカットされている)
まず、大前提として、加工するBNCは1.5C用のCANARE BCP-C1を使用します。
従って、ケーブルの径が1.5C相当でないと加工ができません。
※1.5Cの寸法は、外径Φ2.9mm、絶縁体Φ1.6mm、心線Φ0.27mm(注:ヨリ線ですが、mm表示)
※BCP-C1を取り付けるには圧着工具が必要です。工具は少し高価に思えるかもしれませんが、ケーブル加工の幅が広がるのでオススメです。

 

 

加工寸法は下記を参考にして下さい。 写真のような最近の映像ケーブルは1.5C相当を満たしている製品が多いです。

製作方法

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1.RCAピンを写真の位置で切断します。

 

 

 

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2.ケーブルの内部構造を確認します。
民生用の1.5C相当の映像ケーブルの構造は主に下記の三種類に分かれます。
※中心からの構造
・「心線」「絶縁体」「編組」「シース」
・「心線」「絶縁体」「アルミラップ」「編組」「シース」
・「心線」「絶縁体」「編組」「アルミラップ」「シース」
その他、D端子ケーブルなどアルミラップのみでシースが存在しないものもありますが、その場合は熱収縮チューブでシースを作ってしまえばOKです。また、シース厚が足りない場合も同様の処理をします。

 

 

 

写真の構造は、「心線」「絶縁体」「編組」「アルミラップ」「シース」となっています。
※シースは珍しくチューブはめ込みタイプ。

 

 

 

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3.忘れない様に先にケーブルブーツ、圧着スリーブを通します。

 

 

 

 

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4.シースを剥ぎ取ります。(※先端から11mm)

 

 

 

 

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5.絶縁体を剥ぎ取ります。(※先端から3.5mm)
※あれっ?このケーブル、絶縁体とシースのカラーが不一致ですよ!!どれが正しいのかわからなくなったので調べてみたらシースの配色が正解でした…。

 

 

 

 

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6.心線を中心コンタクトにハンダ付けします。

 

 

 

 

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7.編組を写真のように織り込みます。L-1.5C2VSでは豊富だった編組も、民生用の1.5C相当ケーブルではわずかですので、圧着のカサを増やすためにできる限り織り込みます。
これがこの加工の最大の難所ですので丁寧に行ってください。
※編組の量がものすごく薄い場合は、シースをより深く剥ぎ取り、編組のカサを増やしてください。

 

 

 

 

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8.編組を詰め込んだら、圧着スリーブをはめ込み圧着します。

 

 

 

 

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9.ケーブルブーツをはめ込めば完成です!
※繰り返しますが、1.5C相当の民生用映像ケーブルにBCP-C1を取り付けることは設備としてはNGですので誤解なさらぬよう…。個人用途や会社内使用ならOK。

 

 

 

CANARE BCJ-RUC1製作方法でも紹介しましたが、BNCレセプタクルも同様の加工が可能です。

 

 

おまけ

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シース厚が足りない場合は熱収縮チューブでカサ上げします。

 

 

コンポーネント信号規格

D端子・RCA×3・BNC×3(EIAJ CP-4120/EBUN10/SMPTE)
Y +700mV
Pb,Pr ±350mV

 

 

BNC×3 Betacam(SONY)
Y +714.3mV
Cb,Cr ±466.65mV

 

 

民生用SD映像コンポーネント信号を業務用モニタに繋げる場合は、モニタの設定を変更する必要があります。
※参考までに実機の実例
・SONY LMD-9020の場合 マトリクスをSD映像なら「601」(※HD映像なら「709」)コンポーネントレベルを「SMPTE」に設定
※601=ITU-R BT.601、709=ITU-R BT.709
・SONY BVM-9045QD/PVM-9045Qの場合 背面「COMPONENT LEVEL」スイッチを「N10/SMPTE」に切り替える。
・Panasonic TM-1490BTの場合 コンポーネントレベルを「SMPTE」に設定

 

 

近年のマルチフォーマットモニタでは設定を詰めれば問題ありませんが、古い機種やデッキのSD映像コンポーネント入力では色が正しく表示されない場合があります。業務用コンポーネントは「BETACAM基準」、民生用コンポーネントは「EBUN10/SMPTE基準」です。
参考リンク:

 

 

まぁ民生用SD映像コンポーネント出力→業務用SD映像コンポーネント入力は映っていれば良い程度に考えてください…。
※HD映像だと民生・業務の両者は同じです。

 

 

※きのこさんご指摘ありがとうございました。勉強になりました。