インターレース処理とは | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

インターレースの話です。

 

ビデオを語る上で避けては通れないインターレースです。
インターレースはブラウン管が主流だった時代は、非常に合理的で歓迎された方式でしたが、Webが主流の動画や、プラズマや液晶にディスプレイの首位が奪われた現在では反対に足かせとなっており、ノンリニアでしかビデオ編集を知らない自分にとっても、ありがたみをさほど感じない方式となってしまいました。

 

 

今回、このインターレースについて歴史的背景を若干無視し、理解するということに重点を置き、ナチュラル・ボーン・ノンリニアから見た視点で、わかりやすく解説したいと思います。

インターレースについて

日本の映像の規格は、1秒間に30枚の静止画を表示させ、連続した動きを再現しています。
この静止画一枚のことを「フレーム」と呼びます。
1秒間に30フレームは、「frame per second:フレーム・パー・セカンド」ということでfpsという単位が使用されます。この場合は30fpsというわけです。
※厳密な話を始めると、自分の理解が及ばないところに突入するので29.97がどうだ、とかは今回やめましょう。
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インターレースとは図のように「フレーム画像一枚を垂直解像度の限界(つまり1ピクセル)まで横方向にスライスし、上から順番に番号をつけ、奇数番号と偶数番号でふたつに分ける方法」で分割します。
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図のような「1フレームを奇数・偶数に画像をスライスし伝送する」ことをインターレース(飛び越し走査)と呼びます。
個人的には「飛び越し」という表現ではこの方式のニュアンスが伝わらないと思っているので、「飛び越し走査?あぁ、インターレースね」程度に思ってください。

 

 

1fを奇数にスライスした画像を「ODO=オッド」「TOP=トップ」
1fを偶数にスライスした画像を「EVEN=イヴン」「BOTTOM=ボトム」
と呼びます。名称統一は、されていない模様です。

 

 

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1fを二分割した画像は、一枚画の「フレーム」に対して「フィールド」と呼ばれます。
分数で表示すると「1/30」がフレーム、「1/60」がフィールドです。

 

 

※逆に言うと、フレームは二つのフィールドから構成される、というわけです。
※映像編集ソフトでフィールドという概念が存在するものが希少です。
※分割するとき、トップを最初に持ってくるのか、ボトムを最初に持ってくるのかは映像記録方式によって違います。参考:DVDはトップファースト、DV記録はボトムファースト。

 

 

フレームを二分割したわけですから、当然伝送する速度も2倍にしないと、50%のスローな映像になってしまいます。
伝送する速度をどうやって2倍にするかですが、単純にフレームレートを倍の60fpsにするだけでOKです。

 

 

この60fpsは、1秒間に60フレームというには不完全なので、インターレースの頭文字の「i」をとって「60i」と呼ばれます。

 

 

※30fpsですが、実際は29.97fpsですので、60fpsは59.94fpsとなり、60iも59.94iと表現されます。
※別名が沢山ありますが、実際、様々な名称が乱用されています。困りますよね…。

ブラウン管に都合が良かった60fps

なぜ、インターレースという処理が存在するかですが、当時の受像する装置、つまりブラウン管に技術的な問題があったためです。
ブラウン管は、ビームで画像を描きます。(レーザーポインタのON・OFF切り替えで画を描いているようなもの。人間では無理な動作ですね。)
このビーム方式は、人間の目の残像を利用して、実際は1点の光なものを一枚の画像に見せかける「騙し」なのです。しかし、いざ30fpsを表示しようと思ったら、ビームの残像が継続せず、(画が描き終わるまでに最初に描いた残像効果が薄れてしまう)パカパカした画になってしまいました。

 

 

これを解決するには受像機のフレームレートを30fpsの倍の60fpsで表示させる必要があったのです。
但し、そのまま60fpsにしたのでは情報量が倍になるので、インターレース(フィールドで分割し、情報量を半分にする)という方式が採用されました。※伝送する情報量も、時間軸方向に分散させることが出来る。

 

 

しかし、昨今の液晶やプラズマ、有機ELを使用したディスプレイではブラウン管のようなビーム方式ではないので、一度描いた画像は消えないようになっています。そのため、現在ではインターレースのメリットが十分発揮されなく、そればかりか解像度を変更するのがあたりまえのWeb動画からは、やっかいもの扱いになってしまいました。

なめらかな60i

さて、上記の説明の60iは元を正せば30fpsで、実際はフィールド単位(垂直解像度が半分)の画を60fpsで表示しているわけです。ということは、必ずしも元になる映像は30fpsでなくてもいいわけでして、60fpsでもフィールドを破棄することにより60iに変換することができます。
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この、60fpsが元になっている60iは非常に滑らかな動画を描けることから広く普及し、存在する動画カメラはほぼこの方式で収録されています。

 

 

※但し、30fpsが元になった60iは、インターレース伝送をしても元の30fps(30f)に戻せますが、60fpsが元になった60iは、記録している時点でフィールドの偶数・奇数どちらかを破棄してしまっているために30fps(30f)に戻そうとしても、60分の1秒フィールドがズレている状態になってしまい、早い動き(つまり、60分の1秒での動き)があると、櫛状のちぐはぐな画になってしまいます。
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これはパソコンで動画を見ると、たまに目にすることができます。
※ノンリニア映像編集ソフトでフレーム単位でのポーズをしても、動きが早ければこのようになります。

 

インターレースとは反対に、フレームをスライスしない状態、つまり30fpsをそのまま送る方式をプログレッシブと呼びます。
プログレッシブは頭文字の「p」をとって、(60iのように)60pと表示されます。
プログレッシブは一般的に、素材そのままのフレームレートでフレームそのまま伝送することを言い、60fpsから生成された60iを30pに変換したものは、上記の理由から、完全な一枚画が復元できないので(個人的には)プログレッシブと呼ぶには不完全です。

 

※ブラウン管で見たとき、この30pは60iに比べ、パカパカ映像に見えてしまい、液晶やプラズマで見たときの印象とだいぶ変わってしまいます。(但し、24fフィルム・ライクなので自主映画などで使用されたりします。)
※30fpsから生成された60iは30pに復元できるのでプログレッシブと呼んでも差支えがないのでは?…例えば連番静止画30fで製作された映像など…これは疑問です。
(実は仕事でこの30fpsがもとのDVCAM素材が来てびっくりしました…。ブラウン管で見るとパカパカ、液晶で見るとまぁ良し、パソコンで見るとものすごくキレイ。CMなどでは30pベースの60iは頻繁に使用されているようですね。)
※ゲームやDVDプレーヤなど、プログレッシブを特徴に挙げている場合は60pのことを指すようです。(見た目の印象では30pより60iのほうがなめらかのため、対抗できるのは60pというわけ。)
※29.97fps、30fps、29.97i、60i、59.94iは同義語です

 

 

すこし複雑かもしれませんが、理解の助けになれれば幸いです。