NTi Audio XL2にはシネマメータ測定オプションがあります。試そうにもかなり高額かつ身近でもない為特に詳しく調べていませんでしたが、シネマメータの説明書を読むと、実質的な測定を担う「スペクトラムリミットオプション」と測定手順をアシストする「シネマアシスタントオプション」の2つから構成されるとありました。これは、測定だけに限れば「スペクトラムリミットオプション」のみで可能だということです。スペクトラムリミットオプションは既に持っていますのでXカーブ測定を試してみました。尚、シネマアシスタントオプションは単体でも購入が可能です。
Blog内参考記事:
NTi Audio XL2 シネマメータオプションのイントロダクション。メイヤーサウンドと共同開発とある。かつては起動時にメイヤーのロゴが表示されたが今はその機能は無くなっているようだ
発表当時の記事。Wayback Machineより引用。
発売当時は表示されたと推測されるMeyer Soundロゴ
Xカーブについては下記に詳しい。いまは昔、アカデミーカーブといふもの有けり(こわい)
Xカーブ測定に必要なトレランスデータはNTiの公式サポートサイトからダウンロードできます。ただ、Multi tone Headroom test用のトレランスデータはダウンロード出来ません。シネマメータ測定オプションは間違いのない手順アシストとトレランスの組み合わせの為、どこかトレランスデータがあるはず・・・まてよ・・・とXL2のファームウェアをテキストエディタで見たら平文で記載されていました。暗号化をしている訳でもありませんし、ここで手順を公開しても別に良いでしょう。
XL2 Support PageにあるXカーブトレランスデータ。ここにシネマメータオプションで使用するトレランスデータのすべてがあるわけではない
XL2のファームウェア。冒頭にトレランスデータっぽい記述がある
1万行あたりに直接トレランスデータが記述されていることが分かる。トレランス周波数範囲は31.5 Hz~16.0 kHz
つまり、XL2 Support PageにあるXカーブトレランスデータはあくまでもスペクトラムリミットオプションを持つ方に参考で提示しているデータであり、XL2シネマメータオプションに内包されているシネマアシスタントオプションは実際はこのファームに直接書かれているトレランスデータを参照している、ということです。なるほどなるほど。
従って、XL2 Support Pageに公開されていないMulti tone Headroom testに必要な「HR_Screen」「HR_LFE」はファームウェアからトレランスデータへ変更することが可能です。(意味があるのかはおいといて・・・こんな事調べた人他にいるのだろうか?)
尚、測定に必要な音源はMR-PRO/MR2 Support Pageに公開されています。
用意できたトレランスデータ
おおまかに、SCREENは音響透過スクリーンの向こう側にあるスピーカで85dB(C)、スクリーンより前にあるサラウンドスピーカはSURRNDで82dB(C)
シートの数によってXカーブの重みが変更され、その区分は30、150、500、1000、1500、2000と規定されている
Multi tone Headroom testに必要な音声データはMR-PRO/MR2 Support Pageに公開されている
準備ができましたのでこれでNTi Audio XL2を使ったXカーブ測定が行えます。
Xカーブ測定用のピンクノイズをシネマプロセッサから各チャンネルに出力します。この際に規定されている出力レベルが-20 dBFSです。規格で目にする-20 dBFS = 85 dB(C)ですね。但し、こちらは音響透過スクリーンの向こう側にあるLCRスピーカの規定で、スクリーンより客席側にあるサラウンドスピーカは合成分をあらかじめ-3 dB差し引き、82 dB(C)と規定されています。
マイクの設置はリファレンスポジションで行います。
※手順はマニュアルに書いてありますのでシネマアシスタントが無くても十分行える範囲です。
注意点として、トレランスデータは1/12octでもFFT + Tolでも使用できるため、下記の組み合わせを守る必要があります。
1.1/12octトレランスモードで1/3octを指定し、31.5 Hz~16.0 kHzの周波数範囲で使用するトレランスデータ
- n_SCREEN_SMPTE202
- n_SURRND_SMPTE202
- LFE_SMPTE202
2.FFT + Tolで使用するトレランスデータ
- HR_LFE
- HR_Screen
準備ができましたらあとは測定をするだけです!
実際の測定状態。キャプチャ用に電気音響のみで接続している
Multi tone Headroom testを行っている画面。システムの歪を測定する為に使用する
以上でNTi Audio XL2でのXカーブ測定は終了ですが、他にもXカーブ測定が可能な手法はありますので紹介します。
AcoustX--win|RTAで行うXカーブ測定。シングルチャンネルであればフリーで試すことが出来る
AcoustX--win|RTA公式ページ
Rational Acoustics Smaartで行えるXカーブ測定
Rational Acoustics SmaartでもXカーブトレランスは標準で備わっています。但し、シート数に応じての減衰は含まれていませんので500シート以外の場合は手動でカーブを作成する必要があります。
なかなか身近にない映画館の測定。仕事でも定期的にミニシアターの施工や音響調整は携わっていますのでもっと勉強しないとなりませんね。知らないことばかりです・・・。
おまけ
なぜ本記事を書いたかというと、@magicarchtec さんが映画館の音響測定に興味を持ち、規格を調べ調査し、実際に自分で劇場を借りて測定を行う会を実施したからです。
当日、お手伝いで参加してきました。狂気の規格のまとめは以下。これの為にSMPTE会員になったとの事です・・・・・・・。





































































