英文法シリーズ第5回: S+V+O | 異文化交差点

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S+V+Oの文型における動詞Vは、目的語Oがあって意味が成立します。この動詞は他動詞(transitive verb)と呼ばれます。但し、先にも述べたように、一つの動詞が自動詞(intransitive verb)と他動詞(transitive verb)の両方の機能を持つ場合が多いので、辞書を調べながら、その活用法を確認して行ったほうが良いのは言うまでもありません。

 

辞書を引くのは、英語辞書のみならず、国語辞書もそうなのです。こういった文章を書く時に、私は、自分自身が書く日本文で、この助詞、この熟語、この漢字で良いのかななどと疑問に思う時、必ず国語辞書を引いて、それを確認します。

 

英語はましてや外国語です。英語辞書を頻繁に引くのは当たり前のことで、何度も何度も辞書を引くことにより、辞書が黒ずんできます。だから、私は何度か買い替えています。私が愛用する岩波国語辞典は、1974年5月12日(日)に中央線荻久保駅近くにあった共栄堂で買いました。この辞書は、私がインドネシア、シンガポール、英国、米国と移動した時、肌身離さず持っていたもので、表表紙が破れかけて、それをセロテープで貼り付けて補修していますが、流石に見るも哀れな状態になっています。

 

また1987年2月にロンドン市内のFoylesという大きな書店で買った英文法書『A Practical English Grammar』は、紙面が黒ずんでいて、数年前に新しい本をアマゾンから購入しています。

 

こういった辞書や文法書は、何物にも代え難く、大事に使いながらも、年月と共に黒ずみ、頁が剥がれ落ちそうになり、時折、その本が愛おしくなるものです。

 

閑話休題

 

例文: I stopped smoking 38 years ago. 私は38年前に禁煙した。

 

38 years agoは時を表す副詞句で、文型要素になりません。なので、これはIが主語、stoppedが(他)動詞、smokingが名詞のOとなります。大学受験の英文法参考書に、これと関連させて、I stopped to smoke.と比較し、単に、stopは不定詞句を目的語に取らないとだけ説明していますが、それだと高校生には不親切です。I stopped to smoke.の文型は、S+Vなのです。なぜなら、to smokeは副詞句の不定詞だからです。意味は、「私は立ち止まって煙草を吸った(私は煙草を吸うために立ち止まった)となります。to smokeはstoppedを修飾します。この説明を加味するべきなのです。おそらく、その英文法参考書を書いた著者の英語力が劣るとしか考えられません。

 

例文: Mary became a Japanese teacher. メリーは日本語の先生になった。

 

うっかりすると、これはS+V+Oの文型だと勘違いするかもしれませんね。これはS+V+Cです。主語Maryの属性がa Japanese teacherであることを言っているからです。C(補語)はS(主語)の意味を補うから補語なのです。一方、Istopped smoking.は、「煙草を吸うことを止めた」ですから、主語が「何をする/した」のか、の意味を表します。主語が「何なの/だった」のかを意味するのがC(補語)です。「する」と「ある」の違いがSVOとSVCの違いにある、と思って良いでしょう。別の言い方をすると、SVCの場合、S=Cである、と思って差し支えありません。I stopped smoking.はI≠smokingです。

 

こうやって、S+V+OとS+V+Cの意味の違いを理解していきましょう。