Quoraで首記の質問が出され、興味があったので、すぐに回答を書いたら、3日間で500以上の「高評価」が押されて嬉しい驚きがありました。令和2年11月19日 08:25現在で「高評価」が684となっています。
以下がその回答です。
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日本人に英検指導して分かる事があります。多くの日本人は、普段の行動を言語化していないんです。だから、外国語の英語が尚更話せなくなります。
例えば、家から職場までどうやって行くか、それを日本語で話してみて、と聞くと、しどろもどろになります。だったら、それを英語で話せないのは自明です。
私が英国、米国に居た頃、車で顧客に会いに行くために、電話でその道順を聞くと、見事に詳しい説明をしてくれて、その通りに行けば目的地に到着しました。
最初の頃の私は、道順の地図を手で書いてファックスで寄越してくれ、と頼んだのですが、そんなの面倒なので、電話で説明するから、と言うんです。電話で言う方が面倒だろう、と私は思いました。でも、ほとんどの英米人が言葉で道順を説明する方が楽だ、という事が分かり、以後、ファックスで手書きの地図を要請することを諦めました。
そして気付いたのです。日本人は道順を絵画的に捉え、英米人は、それを言語化する文化的な癖がある、と。
道順を絵画的に捉えると、言葉はほとんど必要ありません。英米人は言語化する文化的性癖を持っているために、図示するよりも言葉で説明した方が楽なのです。
それが分かったのが、1990年、私が39歳の頃でした。そして閃きました。なるほど、だから日本人は話すのが苦手なんだ、と。英語だけでなく日本語の活用も多くの日本人はあまり上手ではありません。
以来、日本人に対する国際化研修において、日常の行動、行為を言語化する癖を身につけると、英語も話せるようになる、と指導し始めました。英検指導の時、これを生徒にやって貰っています。
一例を挙げますと、「今朝起きてからこの授業を受けるまで何をしましたか」と聞き、それを日本語で言って貰います。言語化する癖がついていない場合、沈黙が2分から3分続きます。そこを私は指摘します。「なぜ沈黙するかと言えば、あなたが日頃の行動を絵画的に捉えているからです。それを言語化する癖をつけましょう」と言います。
ようやく英語を学ぶことの基礎は母語の運用にあり、と気づいてくれます。それは、言語化という癖をつけることにあります。